情報確認日:2026年10月14日
相続人ではない親族が、無償の療養看護などで亡くなった人の財産の維持・増加に特別に寄与した場合は、相続人へ「特別寄与料」という金銭を請求できます。介護しただけで自動的に遺産を受け取れる制度ではありません。家庭裁判所への申立ては、相続開始と相続人を知って6か月、相続開始から1年という短い期間があるため、まず期限と介護の記録を整理します。
相続人ではない親族が対象。相続放棄をした人は除かれる
制度は、相続人として財産を受け取る立場ではない親族の特別な貢献に応えるものです。たとえば、亡くなった人の子の配偶者が無償で介護した場合は、親族関係と寄与の条件を満たすかを検討します。
相続人、相続放棄をした人、相続欠格や廃除で相続権を失った人は対象から除かれます。子が相続人の立場で介護した場合の「寄与分」と、この特別寄与料は別です。放棄すれば特別寄与料を請求できるという仕組みでもありません。
親族ではない知人や近隣の人の介護を、同じ制度の対象としません。法的な親族関係は戸籍等で確認し、離婚などで関係が変わった場合は専門家へ相談します。2019年7月1日より前に開始した相続には、この裁判所の手続きは使えません。裁判所の対象・申立期間
必要なのは、無償の労務と財産に対する特別の寄与
民法は、無償の療養看護その他の労務によって、財産の維持・増加に特別の寄与をしたことを条件としています。家族として世話をした気持ちの大きさだけで金額が決まるものではありません。
介護の内容・期間・頻度、専門のサービスを代わりに利用した場合の費用との関係、本人が受けていた支援や介護報酬の有無などを整理します。入院中の見舞いや短時間の手伝いが、すべて特別な寄与になるとは限りません。
また、無償かどうかを判断するには、介護に対して支払われた金銭や生活費の関係も説明します。領収書の立替があったことと、無償の介護労務を提供したことを混ぜずに記録すると、請求の根拠が伝わりやすくなります。民法第1050条
介護の記録を、日数と内容と資料に分ける
| 整理すること | 手元の資料の例 |
|---|---|
| いつ・どれくらい介護したか | 日記、予定表、連絡履歴、訪問記録 |
| どんな介助が必要だったか | ケアプラン、認定資料、医療・介護の説明 |
| 誰が何を担ったか | 介護事業所の利用記録、家族の分担 |
| お金との関係 | 報酬・立替の入出金、サービス費用の明細 |
本人の記録だけでなく、医療・介護側の資料、相続人との連絡等を対応させます。記憶で補った部分は後から作成したメモと区別し、過去の日付の記録を作り直して当時の資料のように扱いません。
親の医療記録を取得する手続き、ほかの家族の個人情報、提出してよい範囲は医療機関・裁判所等に確認します。請求金額を先に決めるより、何が本人の財産を守ったのかを資料に結びつけることが必要です。
6か月と1年は、家庭裁判所への申立ての期限
家庭裁判所で協議に代わる処分を求める場合、相続の開始と相続人を知った時から6か月を経過したとき、または相続開始から1年を経過したときは申し立てられません。二つの期間の両方を意識し、遅いほうまで待てると考えないようにします。
起算の確認では、亡くなった日と、亡くなったこと・相続人を知った日を分けて記録します。遺産分割が終わった日や、財産額が分かった日から一律6か月ではありません。家族間の話合いが続いていても、この申立期間を止められると決めつけないようにします。
戸籍等を申立前にすべて入手できない場合、裁判所は後から追加提出できる扱いを案内しています。期限が近い人は、資料がそろうまで黙って待たず、申立先と必要な初回資料を裁判所の手続案内で確認し、法律相談も早めに使います。
請求する相手は相続人。額は話合いか裁判所で決める
特別寄与料は、亡くなった人の財産に新しい相続分を作る制度ではなく、相続人に金銭の支払いを求める制度です。相続人が複数いる場合、民法はそれぞれの相続分に応じた負担を定めています。
まず対象となる相続人へ、介護の経過、無償だったこと、財産維持等への寄与、請求の考え方を説明して協議します。合意できた場合は、誰がいくら、いつ、どこへ払うかを文書で残し、送金の記録も保管します。
額について一律の日当や割合が決まっているわけではありません。家庭裁判所は時期・方法・程度、相続財産等の事情を考慮します。上限も、亡くなった時の財産価額から遺贈の価額を引いた残額を超えられません。介護時間に想定単価を掛けた額が、そのまま認められる保証はありません。
協議できないときは、専用の調停・審判を使う
話合いがまとまらない、または話合い自体ができない場合、特別の寄与に関する処分調停や審判を利用できます。調停の申立先は相手方の住所地の家庭裁判所、または合意した家庭裁判所です。審判の管轄とは違う場合があるので、手続き名を指定して問い合わせます。
調停では双方の話と資料を確認して合意を目指します。不成立なら審判へ進み、裁判官が資料等から判断します。普通の遺産分割の話合いに参加するだけで、この特別寄与料の申立てをしたことにはならないため、必要な事件を確認します。裁判所の専用申立書・記入例
申立書・戸籍・費用をそろえ、控えを手元に残す
主な資料は、申立書と相手方人数分の写し、申立人・相手方の戸籍、死亡の記載がある戸籍、進行に関する照会回答書等です。寄与の事情を説明する資料も求められます。申立先の案内に合わせ、裁判所用・相手方用・自分の控えを分けます。
調停の収入印紙は申立人1人につき1,200円が基本で、相手方や被相続人が複数なら人数により増えます。郵便料等は裁判所ごとに違います。京都の資料には地域の提出様式等もありますが、その切手内訳を全国一律に使いません。京都家裁の申立資料の案内
請求できるか、どの額を主張するかは法律相談で整理し、裁判所には受付・書類・郵便料等の手続きを確認します。負担した介護を評価してもらいたい場合は、相続が落ち着いてからではなく、期限内に記録と手続きを並行して進めることが大切です。
参照資料
執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT
