情報確認日:2026年10月14日
親名義のお墓をそのまま使い続ける家族は、墓地の管理者へ使用権の承継を申請し、使用許可証と連絡先を新しい使用者へ変更します。長男や実家を相続した人が、自動的に墓地の名義人になるわけではありません。墓を守る人を決めることと、管理者の承継許可を受けることを分け、親族関係の書類、管理料、許可証の所在を確認します。
お墓の承継は、通常の遺産分割と分けて考える
民法897条では、系譜、祭具、墳墓の所有権を、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が承継すると定めています。亡くなった人が祭祀を主宰する人を指定していた場合は、その指定によります。指定がなく、慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所が承継する人を定めます。民法の現行条文の祭祀に関する規定です。
「祭祀を主宰する人」は、お墓や供養を担う人のことです。家の不動産や預金を分ける割合から、お墓の名義が機械的に決まるという扱いではありません。親が残した遺言などに指定があるか、これまで誰が管理していたか、今後誰が管理料や手続きを担えるかを整理します。
一方、墓地の区画を使う権利には、その墓地の条例・規則・使用契約が関係します。墓石等の承継の話合いが済んでも、管理者への申請が残ります。家族間で意見が割れた場合は、管理事務所へ事情を伝え、祭祀財産の承継を巡る争いは家庭裁判所や法律相談へ相談します。名義だけ先に変えて、争いが解決したことにはしないでください。
まず許可証と墓地の窓口を探す
親の書類から、墓地名、区画番号、使用許可証、管理料の通知、契約書を探します。寺院の墓地、民営霊園、市営墓地では、受付先や使用条件が異なります。通帳の引落しや過去の通知も、管理者を探す手掛かりになります。
管理者には、使用者が亡くなったことと、墓を残して使い続けたいことを伝えます。承継申請書の入手先、申請できる人、戸籍の範囲、手数料、許可証紛失時の手続きを尋ねます。死亡後の申請期限が定められているかも、施設の規則で確認します。
親族の範囲、居住地の条件、寺院の場合の宗旨や契約上の扱いなどは、利用している施設の条件を読みます。全国で同じ条件だと考えて、別の市の様式をそのまま提出しないでください。
横浜市営墓地の例では、関係書類を管理事務所へ出す
横浜市の例では、使用者に代わって祭祀を主宰する人が、市長の許可を受けて使用権を承継できます。対象には、使用者の6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族で祭祀を主宰する人のほか、特別な事情から適当と認められる人があります。
同市の使用権承継の事務取扱要領は、死亡した場合だけでなく、使用者が65歳以上になった場合などの生前の承継事由も挙げています。親が元気なうちに手続きができるか、対象の墓地へ相談する余地があります。
| 横浜市の主な提出書類 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 使用権承継許可申請書・使用許可証 | 墓地名、区画、現在の名義 |
| 承継事由を証する書類 | 死亡など、その申請の理由 |
| 承継者の住民票・誓約書 | 新しい使用者の住所と誓約 |
| 使用者と承継者の関係が分かる戸籍謄本等 | 親族関係をつなぐ範囲 |
| 個別事情に応じた追加書類 | 管理事務所が指定する資料 |
提出先は利用中の墓地・納骨堂の管理事務所です。必要な戸籍が1通でつながるかは家族関係によるため、収集前に確認すると取り直しを避けられます。書類の発行費、郵送代と、墓地の手数料は分けて見積もります。
横浜市の条例11条では、承継による使用許可証の書換えや、紛失・破損による再交付に1件300円の手数料を定めています。この300円は横浜市営墓地の手数料で、全国一律の承継費用ではありません。また、合葬式施設などは条例上、承継の対象から除かれるものがあるので、施設の種類も確認します。横浜市の条例9〜11条で条件を確認できます。
名義変更と管理料の支払いを別々に片付ける
墓地の管理料を子が払うだけでは、使用者の承継手続きは終わりません。逆に、名義を変えても口座振替や通知先が自動的に希望どおりになるとは限らないため、支払いと連絡先も確かめます。
横浜市は、承継の手続きをしなければ通知が前使用者宛てに送られると案内しています。使用者と違う名義の口座からの振替も可能ですが、通知の送付先を口座名義人等へ変えるには別の申出が必要です。年間管理料の公式Q&Aには必要項目が載っています。
親の口座が使えなくなると、引落しが止まることがあります。未納分の有無、次の納期限、口座の変更が間に合う年度、納付書での支払いを管理者に確認してください。横浜市の対象施設では、管理料の5年間未納が使用許可の取消対象になります。5年間は待ってよい期間ではなく、死亡後も支払いを放置しないことが大切です。
承継後は、新しい許可証の氏名・住所・区画を確認し、家族が窓口を知れる場所に保管します。将来墓を移すことになった場合は、今回の名義変更とは別に、改葬許可や区画返還の手続きを進めます。
参照資料
あわせて読みたい記事
執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT
