親が施設を生活の本拠にする場合は、施設と市区町村の住民登録窓口へ住所変更を相談してください。介護保険を担当する自治体は、住所変更とは別に確認します。
他の市区町村にある対象施設へ住民票を移しても、介護保険は入居前の自治体が引き続き担当する「住所地特例」があります。制度の要件に当てはまると、住民票の所在地と介護保険証を発行する自治体が分かれます。横浜市の住所地特例の説明で、対象施設と基本的な仕組みを確認できます。
入居前に確認したいのは、次の三つです。
- 実際の生活場所と入居予定から、住民票をどこへ異動するか。
- その施設が、介護保険の住所地特例の対象か。
- 家族が出す届出と、施設が出す連絡票はそれぞれ何か。
住所地特例の対象になる場合も、住民票の異動と必要な届出を確認してください。家族と施設がそれぞれ出す書類も決めておきます。この記事では、入居先が決まった家族向けに、住所・介護保険・届出の確認順を説明します。制度と自治体の案内は、2026年10月5日時点で確認しています。
介護施設に入ると住民票は移す?生活の本拠から確認する
長期入居と一時的な利用を分ける
住民票の住所は、実際に生活の本拠としている場所が基本です。施設で暮らす予定や生活実態を、住民登録窓口へ伝えてください。保険料や郵便の受け取りやすさだけで住所を選ぶことはできません。
江東区の施設入所時の住民登録の案内は、生活の本拠を住所とし、施設入所では原則として施設所在地へ住民票を異動すると説明しています。一方で、入所期間などにより施設側の扱いが異なる場合もあるため、事前相談を案内しています。
老人ホームで暮らし続ける予定なら、施設での生活と住所異動を一緒に相談してください。自宅に戻る予定の短期利用では、その予定を窓口へ伝え、住所異動が必要かを確認します。
住所異動の相談では、施設の種類に加え、利用期間と生活実態を伝えてください。次の表に沿って整理すると、親の状況を説明できます。
| 相談前に整理すること | 家族が伝える内容 |
|---|---|
| 利用の予定 | 長期の入居か、退所して自宅へ戻る予定があるか |
| 実際の生活場所 | 寝泊まり・食事・日常生活を主にどこで行うか |
| 入居と退所の見通し | 入居予定日、期間が決まっているか、延長の可能性 |
| 自宅の状況 | 親が戻って生活できる状態か、家族だけが住むのか |
| 施設からの説明 | 住民登録についてどのような案内を受けたか |
住所の相談先は、施設の相談員と、現在地・転居先の住民登録窓口です。住所異動をどう扱うかが分かったら、介護保険担当へ保険者を確認してください。保険者は、介護保険を担当する自治体です。
親族宅への登録と、家族への郵送を混同しない
「親は施設で暮らすが、役所の郵便は子どもの家へ送ってほしい」という希望は、住所と送付先を分けて相談します。
住民票の住所は、施設と親族宅のどちらが生活の本拠かに沿って相談してください。親族宅で郵便を受け取りたい場合は、通知の送付先を別に相談します。
自治体に聞くときは、「住民票は施設へ移す予定です。介護保険の通知は家族が管理したいので、送付先を家族宅にできますか」と伝えると、住所登録と通知の手続きを分けて話せます。
施設から「住民票はここへ移せません」と説明された場合は、入所期間と生活実態を住民登録窓口へ伝えてください。自宅や親族宅に登録するかも、窓口に確認してから決めます。
住所地特例とは?住民票と介護保険の担当が分かれる制度
A市からB市の施設へ移る例
親がA市の自宅から、B市の住所地特例対象施設へ入居し、住民票もその施設へ移したとします。要件に当てはまる場合、住民票はB市、介護保険の保険者はA市となります。
これは、施設が多い自治体に介護保険の負担が集中することを調整する仕組みです。厚生労働省の住所地特例の説明資料も、施設所在地の住民であっても、介護保険では入所前の自治体の被保険者になる例を示しています。
| 項目 | この例での確認先 |
|---|---|
| 住民票の転出・転入 | A市・B市の住民登録窓口 |
| 介護保険証の発行 | 保険者であるA市の介護保険担当 |
| 要介護認定・認定更新 | A市の介護保険担当。受付・調査の進め方も確認 |
| 介護保険の給付・保険料 | A市の介護保険担当 |
| 施設での生活・契約 | B市の入居先施設 |
要介護認定、介護保険給付、保険料の徴収を保険者の自治体が行うことは、神戸市の制度説明でも確認できます。申請先を調べるときは、現在の介護保険証にある保険者名を確認してください。
住所地特例でも、住所異動と通知の送付先を確認する
住民票を移すかは、生活の本拠に基づいて判断します。住所地特例は、施設へ住所を移す際に、介護保険の担当自治体をどうするかを定める制度です。
保険者が同じでも、住所・施設・通知の送付先の変更は連絡してください。認定更新の案内を受け取れるよう、送付先と連絡担当の家族を記録します。
保険者がA市のままと分かったら、住所を施設へ変更する手続き、保険証等の更新、通知の送付先設定も確認してください。各手続きがどこまで終わったかを記録します。
対象になる施設・対象外の施設を確認する
対象施設は、正式な施設区分で確認する
住所地特例は、対象となる施設の区分が決まっています。2026年10月2日更新の横浜市の対象施設一覧を基に、主な区分を整理すると次のようになります。
| 施設の区分 | 確認する扱い |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 地域密着型を除き対象 |
| 介護老人保健施設・介護医療院 | 対象。住所異動の要否は入所予定・生活実態から確認 |
| 有料老人ホーム | 対象となる区分。正式な施設区分と対象施設としての扱いを確認 |
| 養護老人ホーム・軽費老人ホーム・ケアハウス | 対象となる区分 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 有料老人ホームに該当するサービスを提供するものが対象 |
| グループホーム、地域密着型特養などの地域密着型施設 | 介護保険の住所地特例の対象外。正式な施設区分を確認 |
自治体へ確認するときは、施設の正式名称・所在地・施設種別を伝えてください。パンフレットの「高齢者向け住宅」「介護付き」という表示に加え、正式な区分を確かめます。
特養・老健・介護医療院の役割から確認したい場合は、特養・老健・介護医療院の違いを先に読むと、施設に何を聞くかを整理できます。
サ高住は、名称とサービス内容を分けて確認する
サ高住は、提供するサービスと有料老人ホームへの該当によって、対象かどうかを確認します。食事、介護、家事、健康管理など、どのサービスを提供する施設かを聞いてください。
施設には、「こちらは介護保険の住所地特例対象施設ですか。市区町村の対象施設一覧では、どの区分で掲載されていますか」と聞いてください。分からなければ、施設所在地と入居前の自治体の介護保険担当へ、正式な施設名を伝えます。
要介護認定を受けていない人も、要件に当てはまれば住所地特例の対象になります。年齢などの介護保険の資格、入居先の施設、住所異動の要件を確認してください。サービス利用に必要な認定は、別に相談します。
市外の施設・親族宅・別の施設へ移る場合を比べる
対象施設から別の対象施設へ移る場合は、最初の施設に入る前の自治体が、引き続き保険者になるケースがあります。移動先の施設と住所異動の要件を確認してください。
次の表は、A市の自宅で暮らしていた親が移る例です。対象施設への入居と住所異動が制度の要件を満たすことを前提にしています。
| 移動と住民票の場所 | 介護保険者の考え方 | 家族が確認すること |
|---|---|---|
| A市の自宅からB市の対象施設へ。住民票も施設へ | A市が継続 | 対象施設か、適用の処理と保険証発送が済んだか |
| B市の施設に入居し、住民票は生活の本拠であるB市の一般住宅へ | B市となる扱い | 一般住宅を住所とする生活実態、通常の介護保険異動 |
| B市の対象施設からC市の対象施設へ。住民票も新施設へ | 要件を満たす間はA市が継続する場合がある | 旧施設・新施設の連絡と、保険者への変更連絡 |
| B市の対象施設からC市の親族宅へ。そこで生活する | 特例が終了し、住所地のC市へ | 終了と資格異動、認定・サービスの引継ぎ |
| A市内の自宅からA市内の施設へ | 自治体をまたぐ特例とは分ける | 市内転居、保険証・送付先等の変更 |
施設から施設への移動、施設から一般住居への移動の違いは、神戸市が示す適用・非適用の例で確認できます。
A市、B市、C市と施設を移っている場合は、現在の住民票の住所、介護保険証の保険者、最初の施設に入る前の住所を伝えて相談してください。この経緯から、どの自治体が担当するかを確認します。
たとえば、B市の施設からC市の施設へ移る家族は、新施設に「住民票はB市ですが、介護保険はA市の住所地特例です」と伝えます。この一言があると、新施設が連絡すべき自治体を確認しやすくなります。
入居前に家族・施設・自治体で決める確認事項
入居日、住所異動、認定の期限を一枚にまとめる
施設と自治体へ同じ情報を伝えられるよう、次の表に沿ってメモを作ってください。各窓口に確認した日も記録します。
| 記録する項目 | 記入・確認する内容 |
|---|---|
| 現在の介護保険者 | 介護保険証にある自治体名・被保険者番号 |
| 入居先 | 正式な施設名・所在地・住所地特例の対象区分 |
| 日程 | 実際の入居予定日、住民票の異動について相談した日 |
| 認定 | 要介護・要支援区分、認定の有効期間、更新相談先 |
| 家族の連絡先 | 窓口となる家族、電話、通知の送付先希望 |
| 書類の担当 | 家族が出す書類、施設が出す連絡票、提出先・期限 |
入居日と住所異動の日は、実際の生活の変化と、窓口で確認した扱いに沿って届け出てください。
認定の期限が近い場合は、入居手続きと並行して、現在の保険者へ更新の進め方を聞いてください。入居と認定更新が重なることは、新しい施設にも伝えます。
電話で聞く質問の例
施設には、次のように聞けます。
親が○月○日に入居する予定です。今の住民票と介護保険者はA市です。ここは住所地特例対象施設ですか。住民票の異動についての案内と、施設が自治体へ出す入所連絡票の担当を教えてください。
入居前の自治体には、次のように伝えます。
B市の○○施設へ入居し、住民票を施設へ移す予定です。介護保険の住所地特例になるか確認したいです。本人・家族が提出する届出、必要書類、保険証の扱い、通知の送付先変更を教えてください。
電話の後は、回答した部署、確認日、次の手続きをメモしてください。「施設が届け出る」と聞いた場合は、書類の名前と提出先を確認します。本人・家族が出す届出も、一緒に聞いておきます。
負担割合証などの書類も別に確認する
介護保険証に加え、負担割合証、該当する人の負担限度額認定証なども確認してください。それぞれ、今の書類を使えるか、返却や再発行が必要か、どこへ送られるかを保険者へ聞きます。
入居契約の書類と自治体への届出は分けて管理します。契約日、実際の入居日、料金の発生日を整理したい場合は、親の介護サービスを契約する前に確認することも使えます。
住所地特例の届出は自治体で違う|必要書類と受付を調べる
本人側の届出がある名古屋市と、追加届出不要の神戸市
住所地特例の説明を読んでも、本人・家族が何を提出するかは自治体の案内を確認する必要があります。2026年10月5日に確認した二つの例は、次のとおりです。
| 自治体の案内例 | 本人側の手続き |
|---|---|
| 名古屋市「住所地特例の届出」 | 市外対象施設への入所、別施設への変更、退所の都度、入所前に最後に住んでいた区へ届出。適用・変更・終了届と介護保険証を案内 |
| 神戸市「介護保険の住所地特例制度」 | 住所地特例の適用に関する本人の追加届出は不要。住民票の異動完了後、施設からの連絡と自治体間連絡で処理 |
神戸市でも、転出・転入届による住民票の異動は必要です。追加届出の有無は、親の保険者の案内で確認してください。神戸市と他の自治体では手続きが異なります。
自治体のサイトでは、「住所地特例」「適用・変更・終了届」「施設入退所連絡票」といった語で探します。様式が見つかった場合も、誰が出す書類なのかを確認してから記入します。
住民票の期限と、介護保険の届出を別々に確認する
住所異動には住民登録の手続きがあります。たとえば、横浜市の窓口での転入届では、新しい住所に住み始めた日から14日以内と案内しています。
住民登録窓口へは、転出・転入・転居の手続きを確認してください。住所地特例の追加届出は、介護保険担当へ必要書類と期限を聞きます。転入届の14日という期限とは、別に確認が必要です。
代理で届け出る場合は、本人との関係、同一世帯か、本人が書類を書けるかを窓口へ伝えてください。その条件で使える提出方法と、委任状や本人確認書類の扱いを聞きます。
書類をそろえる前に、受付方法と提出先を確かめてください。郵送や電子申請を使えるかは、自治体によって異なります。
入居後・施設変更・退所時に確認すること
保険証の未着と紛失を分ける
新しい介護保険証が届かない場合は、手続きの状況を確認してください。神戸市は、自治体間の資格異動処理の後に保険者から送るため、届くまで時間がかかる場合があると案内しています。未着の場合は、発送前なのか紛失したのかを調べます。
届かない場合は、現在の保険者へ処理の状況と発送先を聞いてください。施設へは、入所連絡が済んだか、届いた保険証を保管しているかを確認します。
家族が分かる範囲で、入居日、住所異動日、届出日、施設名、親の氏名と被保険者番号を用意すると、どの段階を確認すべきか整理しやすくなります。新しい書類が届くまでに施設へ何を提示するかも、保険者と施設へ確かめてください。
処理待ちではなく、手元にあった証をなくした場合は、親の介護保険証が見つからないときの再交付手順を確認できます。
届いた書類で、保険者と送付先を確かめる
届いた書類は、氏名・住所、介護保険者、認定の有効期間を確認してください。住所地特例でA市が保険者のままなら、B市の施設へ移っても、A市が保険証を発行します。確認していた保険者と照合し、保険者名が合っているかを確かめてください。
家族のメモには「住民票はB市の施設、介護保険者はA市」と並べて記録します。認定更新、負担割合証、保険料通知の連絡先も、そのメモから確認できるようにします。
退所や施設変更の予定が決まったら、移動前に相談する
対象施設から別の対象施設へ移る場合は、特例の継続と変更の処理を確認します。自宅・親族宅へ戻る場合や、対象外の施設へ移る場合は、特例の終了や保険者の変更を確認します。
新施設の区分、今の保険者、移動先の住所を伝えて相談してください。施設間で引き継ぐ内容と、自治体へ連絡する内容・担当も確認します。
退所後に在宅サービスを使う予定なら、退所日、住所異動、ケアプラン、利用開始日を一緒に調整します。家族ができる実務は、旧施設・新しい支援先・自治体に同じ日程表を共有し、誰がどの連絡をするかを決めることです。
施設入居時の住所変更でよくある質問
住所地特例なら住民票を動かさなくてもよい?
住民票を移すかは、生活の本拠に基づいて判断します。住所地特例は、住所を移した後の介護保険者を定める制度です。入居期間と生活実態を、施設と住民登録窓口へ伝えて確認してください。
サ高住なら必ず住所地特例になる?
有料老人ホームに該当するサービスを提供するなど、施設の区分と要件に当てはまるものが対象です。施設の正式名称を使い、自治体の対象施設一覧や介護保険担当の案内と照合してください。
介護保険が同じなら、医療保険や税金も同じ?
医療保険や税金は、それぞれの制度で確認が必要です。医療保険の資格・住所変更は加入先へ、税金は税の担当窓口へ相談してください。この記事の住所地特例は、介護保険についての説明です。
要介護認定がない親は対象にならない?
要介護認定がなくても、制度の要件に当てはまれば対象です。介護保険の資格、対象施設への入居、住所異動の要件を確認してください。必要な介護サービスがある場合は、認定も別に相談します。
家族が代わりに届け出るなら、最初に何を聞く?
住民票の手続きと介護保険の手続きを分け、「本人は来庁できない。子である自分が届け出たい」と説明します。委任状、本人と家族の本人確認、保険証、提出方法を聞いてください。施設の連絡票と家族の届出の担当も決めておきます。
入居後に届出の漏れに気づいたら?
今の介護保険証、住民票の住所、実際の入居日、施設名を用意し、保険者の介護保険担当と施設に連絡してください。未了の処理を確認し、案内された書類を提出します。届出には実際の日付を記入してください。保険料通知の自治体が想定と違う場合も、支払いを止める前に担当へ確認します。
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