情報確認日:2026年10月15日
遺産分割前に相続人の1人が相続分を第三者へ譲った場合、ほかの共同相続人には、その価額と費用を償還して相続分を譲り受ける「取戻権」があります。民法第905条は1か月以内の行使を定めているため、連絡を受けたら至急、契約資料を集めて弁護士へ相談してください。実家の共有持分だけの売買と同じ扱いにはできません。
まず「何を譲った契約なのか」を確認する
「相続する権利を売った」「家の持分を売った」という家族の説明だけでは、契約の内容を確定できません。契約書の対象、譲渡する割合、被相続人の氏名、日付、相手方を確認することが出発点です。
大阪家庭裁判所の2026年1月の説明は、相続分の譲渡を、亡くなった人から承継した権利義務に関する相続分を、包括的に譲渡する契約と説明しています。特定の家や土地だけの持分を移す売買とは、確認する対象が異なります。
| 見つかった書面・説明 | 最初に確かめる点 |
|---|---|
| 相続分譲渡証書・契約書 | どの相続について、全部か一部か、誰から誰へ移すか |
| 不動産持分の売買契約書 | 特定の土地・建物の持分を売るものか |
| 相続放棄の説明 | 家庭裁判所で放棄の申述が受理されたのか |
| 「遺産はいらない」と書いたメモ | 具体的にどの権利をどう処理したのか |
同じような言葉が使われていても、相続分の譲渡、共有持分の売却、相続放棄はそれぞれ別です。借金のある相続では、とくに「譲ったから債権者への責任もすべて消えた」と家族内だけで判断しないでください。
取戻しは、第三者への譲渡と費用負担を伴う
民法第905条は、共同相続人の1人が遺産分割前に相続分を第三者へ譲ったとき、ほかの共同相続人がその価額と費用を償還して、その相続分を譲り受けられると定めています。
単に譲渡した人へ「反対だ」と伝えれば契約がなくなるという仕組みではありません。誰にどのように意思表示をし、何を償還する必要があるか、期限までにどの行為を行う必要があるかを、契約と具体的事情から整理します。
償還する価額と費用は、遺産全体の評価や譲渡対象、相手方の支出内容等に関わります。契約書に書かれた金額を見ずに、実家全体の査定額へ相続割合を掛けるだけで資金を決めないでください。家の売買代金、相続分の価額、取戻しに必要な費用を分けて専門家へ示します。
相手がもともとの共同相続人なのか、それ以外の第三者なのかも確認が必要です。誰かの説明だけで「第三者だろう」と決めず、戸籍・相続関係と契約上の譲受人を照合してください。
1か月を「相談まで待ってよい期間」にしない
民法は取戻権を1か月以内に行使しなければならないと定めています。条文には、その起算点が具体的な言葉で書かれているわけではありません。ここでは譲渡日から、または家族が知った日から必ず始まると一律に断定せず、判明した日・通知日・契約日を区別して弁護士へ示してください。
相談予約をしただけで権利を行使したことになるとは考えないでください。また、相手との話合いを続ければ当然に期間が延びる、とも考えないようにします。書類が全部そろうのを待つより、分かる範囲で短い期限の問題があることを先に伝えます。
必要な連絡や証明の残し方、金銭の提供方法、相手が応じない場合に使う手続きは、個別の法的判断を伴います。ひな型の通知を自己判断で送れば足りるとせず、どこまでをいつ行うかを確認してください。
法律相談へ持っていく資料をそろえる
- 相続分譲渡証書や契約書、相手から届いた通知と封筒。
- 親の死亡日と相続人が分かる戸籍・相続関係図、遺言の情報。
- 遺産目録、預金残高、不動産登記・評価など譲渡価額を検討する資料。
- 既に遺産分割をしている場合の協議書、調停・審判がある場合の事件番号と書類。
- 契約日、通知の到着日、初めて事情を知った日、関係者との連絡履歴。
原本を第三者へ渡す前に控えを取り、資料を持っている人も一覧にします。契約の写しを入手できない場合は、誰からどの説明を受けたかと、その連絡が残る資料を見せ、必要な取得方法を相談してください。
取戻しを希望する相続人が複数いるときは、各人の意思と資金の分担も整理します。家族の窓口を担当する人が、当然に他の相続人全員の代理権を持つわけではありません。
遺産分割が進行中なら、裁判所にも変更を伝える
大阪家裁の案内と2026年の説明書は、申立て前に相続分全部を有効に譲渡した人の当事者の扱いと、譲渡を証明する資料を案内しています。相続分譲渡契約書または譲渡証書、譲渡人の印鑑登録証明書が重要な資料とされています。
この資料は、譲渡人の真意と、誰を遺産分割調停の当事者とするかを確認するためのものです。書面に署名があるという理由だけで、ほかの相続人が一方的に当事者から人を外してよい、という意味ではありません。
すでに調停中なら、契約や通知の存在を弁護士・裁判所へ伝え、当事者と提出資料の整理を相談します。取戻権を行使するための対応と、家裁の遺産分割手続きで行うことを分けて確認してください。今回の譲渡を受け入れる場合も、今後誰と分割を協議し、資料や連絡をどこへ送るのかを明確にします。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT
