サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認と生活相談が付いたバリアフリーの賃貸住宅で、介護が必要になったら外部の介護サービスを別に契約して使います。有料老人ホームは、食事や介護などのサービスが付いた高齢者向けの住まいで、施設の職員から介護を受けられる「介護付」と、外部サービスを使う「住宅型」などに分かれます。親の今の状態と、介護が重くなったときに住み続けられるかを基準に選びましょう。
情報確認日:2026年10月8日。費用や入居条件、サービスの内容は施設ごとに大きく違います。必ず重要事項説明書で確認してください。
手続きの前に用意するもの
- 親の介護保険証と負担割合証(要介護度・要支援度、負担割合の確認)
- 主治医の意見や、服薬・医療処置(インスリン、たん吸引など)のメモ
- 親の年金額、預貯金、毎月払える金額と入居時に払える金額の目安
- 住みたい地域、家族が通える距離、親の希望(個室、食事、外出など)
1. サ高住と有料老人ホームの違いを押さえる
| サービス付き高齢者向け住宅 | 介護付有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 高齢者住まい法の登録住宅 | 老人福祉法の有料老人ホーム(都道府県等へ届出) | |
| 必ずあるサービス | 安否確認(状況把握)・生活相談 | 食事・介護など(特定施設入居者生活介護の指定) | 食事・生活支援など |
| 介護の受け方 | 外部の事業者と個別に契約(特定施設の指定を受けたサ高住を除く) | ホームの職員から受ける | 外部の事業者と個別に契約 |
| 契約形態 | 賃貸借契約が多い | 利用権方式が多い | |
| 主な入居者 | 60歳以上、または要介護・要支援認定者など | 施設ごとに定める(自立・要支援・要介護) | |
サ高住の居室の床面積は原則25㎡以上で、敷金・家賃・サービスの対価以外のお金を受け取ってはいけない、長期入院を理由に事業者から一方的に解約できない、などの登録基準があります。
ここまでの完了目安:3つの住まいの違いと、それぞれの介護の受け方が分かった。
2. 親の状態と、これから必要になりそうなケアを書き出す
今の要介護度だけでなく、1日の中で手助けが必要な場面を書き出します。夜間のトイレ介助、認知症による見守り、医療処置の有無は、受け入れの可否を大きく左右します。
自立や要支援でも、数年後に介護が重くなることを見込んでおきます。介護が重くなったら退去しなければならない住まいを選ぶと、再び住み替えの手続きが必要になります。
ここまでの完了目安:親に必要なケアと、将来の見込みを家族で共有できた。
3. 候補の種類を絞り、公的な検索システムで探す
- 自立〜軽度で、自由な暮らしを続けたい:サ高住、住宅型有料老人ホーム
- 介護が重くなっても同じ場所で暮らしたい:介護付有料老人ホーム、特定施設の指定を受けたサ高住
- 費用を抑えたい・要介護3以上:特別養護老人ホームも並行して検討
サ高住は「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」、介護付有料老人ホームは厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で、所在地や職員体制、料金を調べられます。ケアマネジャーや地域包括支援センターにも、地域の評判や空き状況を聞いてみましょう。
ここまでの完了目安:見学したい候補が3か所程度にしぼれた。
4. 見学して、介護と医療の体制を確かめる
見学では、パンフレットに載らない運営の実際を確認します。
- 日中と夜間の職員の人数、資格、夜間に看護師がいるか
- 協力医療機関と、訪問診療・訪問看護の利用の仕方
- 介護が重くなったとき、認知症が進んだときに住み続けられるか
- 外部の介護サービスを使う場合、併設の事業所を使う決まりがないか
「母は要介護2で、夜に1〜2回トイレの付き添いが必要です。夜間の職員体制と、介護度が上がった場合や入院した場合に退去が必要になる条件を教えてください。外部のケアマネジャーやヘルパー事業所を自由に選べますか」
ここまでの完了目安:候補ごとに介護・医療・退去条件の回答を比較できた。
5. 重要事項説明書と契約書で費用と退去条件を読む
月額費用は、家賃(居住費)、管理費、食費、生活支援サービス費、介護保険の自己負担、医療費、日用品代などの合計です。サ高住や住宅型では、介護サービスの自己負担が別にかかります。
有料老人ホームで入居一時金などの前払金を払う場合は、償却の期間と方法、途中退去時の返還額を確認します。入居後3か月以内に契約を解除した場合や亡くなった場合は、前払金のうち一定額が返還される仕組み(短期解約特例)があります。
ここまでの完了目安:月額と入居時の費用、前払金の返還、退去条件を理解した。
6. 契約・入居し、介護サービスの手配を整える
契約は、親本人が内容を理解して結ぶのが原則です。身元引受人や連帯保証人を求められる場合は、その役割と責任の範囲を確認してから引き受けます。
サ高住や住宅型に入る場合は、入居日までにケアマネジャーとケアプランを見直し、外部の訪問介護やデイサービスを手配します。住民票を移すかどうか、介護保険の住所地特例の対象になるかも、市区町村に確認してください。
ここまでの完了目安:契約と入居が済み、必要な介護サービスが入居日から使える状態になった。
月額費用の内訳の見方
| 費用 | サ高住・住宅型有料 | 介護付有料 |
|---|---|---|
| 家賃・居住費 | あり | あり |
| 管理費・共益費 | あり | あり |
| 食費 | 利用した分(契約による) | あり |
| 安否確認・生活相談 | サービス費として含まれる | 含まれる |
| 介護サービスの自己負担 | 外部サービスを使った分だけ(利用量で変わる) | 要介護度ごとの定額(加算あり) |
| 医療費・おむつ代・日用品 | 別途 | 別途(おむつ代は施設による) |
パンフレットの「月額〇万円〜」は、介護サービスの自己負担や医療費を含まないことが多くあります。親の要介護度で実際にいくらになるか、施設に試算してもらいましょう。
入居後に住み替えが必要になる主なケース
- 介護が重くなり、外部サービスだけでは夜間の介護が足りなくなった
- 認知症が進み、他の入居者との生活が難しくなった
- たんの吸引など、施設で対応できない医療処置が必要になった
- 長期入院が続き、契約上の退去条件に当たった
こうした場合に備え、特別養護老人ホームの申込みを並行して出しておく家族も多くあります。
よくある質問
サ高住と有料老人ホーム、費用はどちらが安いですか?
一概には言えません。サ高住は入居時の費用が敷金程度で済むことが多い一方、介護が増えると外部サービスの費用がかさみます。介護付有料老人ホームは介護費用が要介護度ごとの定額のため、介護が重い人ほど見通しを立てやすい面があります。
有料老人ホームに当たるサ高住もあると聞きました。
食事や介護などを提供するサ高住は、有料老人ホームにも当たります。ただし、サ高住として登録されていれば、有料老人ホームとしての届出は不要とされています。
特養に入るまでのつなぎとして入居してもいいですか?
入居できます。その場合は、退去するときの予告期間(1か月前など)、敷金や前払金の返還、原状回復費用の扱いを契約前に確認しておきましょう。
あわせて確認したい手続き
出典・確認先
- 国土交通省|サービス付き高齢者向け住宅
- 厚生労働省|サービス付き高齢者向け住宅の登録制度(登録基準)
- 滋賀県|サービス付き高齢者向け住宅の概要(介護付有料老人ホームとの比較)
- 厚生労働省|サービス付き高齢者向け住宅の義務付けサービス

