情報確認日:2026年10月15日
親への虐待が疑われたら、親のいる地域の市区町村の高齢者虐待担当窓口へ、見聞きした事実を伝えてください。家庭での問題は地域包括支援センターにも相談できます。施設・介護事業所の職員による疑いは、施設などの所在地の市区町村へ通報します。虐待だと家族が確定させるまで待つ必要はありません。けがや意識・呼吸の異常で救急が必要なら119番、暴力が続くなど身の危険が迫る場合は110番を優先してください。
暴力以外にも、法律が扱う虐待がある
高齢者虐待防止法は、原則65歳以上の高齢者への虐待を扱います。家庭で現に世話をしている人による虐待と、介護施設・介護事業所などの従事者による虐待を分けています。対象となる施設を利用する65歳未満の障害者を高齢者とみなす規定もあります。
厚生労働省の2026年3月改訂マニュアルは、次のような行為を挙げています。個々の状況を踏まえて、市区町村が事実確認を行います。
| 類型 | 相談につなげたい状態の例 |
|---|---|
| 身体的虐待 | 殴る、つねる、危険な物を本人に向けて投げる |
| 介護・世話の放棄・放任 | 必要な食事・水分・医療・介護を受けられず、状態が悪化している |
| 心理的虐待 | 威圧や侮辱、著しい暴言、無視によって精神的な苦痛を与える |
| 性的虐待 | 本人への性的な行為の強要など |
| 経済的虐待 | 本人に無断で年金を借金返済に使う、生活に必要なお金を不当に使わせない |
経済的虐待は、日常の介護をしていない親族による場合も対象です。「家族のお金だから自由に使える」という扱いにはなりません。
あざがある、食事量が減ったといった情報だけで、誰かの虐待と断定することも避けます。病気や事故など別の原因もあり得るため、家族は観察した状態を伝え、医療機関と公的窓口による確認につなぎます。
家庭と施設で、通報の扱いを分ける
家庭で世話をする人による虐待を受けたと思われる高齢者を発見し、生命・身体に重大な危険が生じている場合、発見者には市区町村への速やかな通報義務があります。それ以外でも、速やかに通報する努力義務があります。
施設などで働く人が、自分の勤務する施設・事業所や同じ設置者の施設などで職員による虐待の疑いを発見した場合は、重大な危険の有無を条件にせず、市区町村へ速やかに通報する義務があります。一般の家族などの発見者は、重大な危険がある場合の通報義務、それ以外の努力義務という扱いです。法律の7条・21条で区別されています。
「施設長に伝えたから終わり」と考えず、公的窓口にもつないでください。訪問介護などの職員による問題も、家庭内の親族による問題と同じ窓口とは限りません。役所に「誰による、どのサービスでの疑いか」を伝えると、担当へ案内してもらえます。
電話では、分かる事実と今の危険を伝える
初回から書類や証拠一式をそろえる必要はありません。マニュアルも、受付時にすべての項目が確認できない場合は、随時情報を収集する扱いを示しています。
家族は、親の氏名・居場所・連絡先、いつ何を見聞きしたか、今のけがや体調、疑われる行為者との関係を、分かる範囲で伝えます。施設なら名称と所在地、サービスの種類も伝えます。
自分が直接見たこと、親から聞いたこと、他の人の話を分けると、窓口が確認しやすくなります。「昨日、母からこう言われた」「今日、右腕にあざを見た」と日時を添えてください。家族の推測は、推測だと伝えます。
写真や記録が手元にあれば、相談時に扱い方を聞きます。証拠集めのために危険な場所へ戻ったり、疑われる人を問い詰めたりするより、親と自分の安全を優先してください。親が連絡を知られることで危険になる心配も、最初に窓口へ伝えます。
通報者の情報と、職員の保護
通報を受けた市区町村の職員には、通報者を特定させる事項を漏らしてはならないという規定があります。施設虐待の報告を受けた都道府県の職員にも同様の規定があります。
施設・事業所の従事者が法に基づく通報をしたことを理由とする、解雇その他の不利益な扱いも禁止されています。ただし、虚偽や過失による通報は保護規定の対象から除かれます。施設対応の現行マニュアルは、虐待を直接見ていなくても、虐待があると信じることに一定の合理性があれば、直ちに過失となるわけではないと説明しています。
不安がある場合は、氏名を伝える前に、匿名での相談や連絡方法、情報の扱いを窓口へ聞いてください。「どんな場合でも相手に推測されない」と保証する仕組みではないため、安全な連絡先も相談します。
通報後は、親の安全と介護者の負担を一緒に扱う
市区町村は、通報を受けて親の安全や事実を確認し、緊急性・深刻度と対応方針を判断します。必要な保護、医療・介護との連携、介護する人への相談支援などにつなぎます。通報しただけで、必ず同じ保護措置になるわけではありません。
家族が介護の負担に追い詰められている場合も、「自分が手を上げそう」「食事や介護を続けられない」と相談できます。法律は、親の保護とともに、世話をする人の負担軽減も定めています。
窓口名は自治体によって違います。たとえば横浜市の案内では、在宅の養護者による相談、在宅介護事業者、介護施設を分けて連絡先を示しています。親の地域の公式案内で担当と受付時間を確認し、急変時は救急・警察へつないでください。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT
