成年後見の費用を払えないときは、本人の住む自治体へ助成を、法テラスへ専門家の費用支援を相談してください。自治体の「成年後見制度利用支援事業」と、法テラスの「民事法律扶助」は別の制度です。年金や預貯金が少ない場合も、それぞれの対象費用と条件を確認しましょう。
助成と立替えは、負担の仕方が異なります。無料相談を受けた場合も、申立費用や後見人報酬がどうなるかは別に確認してください。支援の対象となる費用、返済、自己負担を窓口へ尋ねましょう。
図解:助成は入金まで確認

図解の内容を文章で読む
- 対象を確認:費目・対象期間・住所を伝える
- 資料と期限:審判書や入退所日を揃えて相談
- 決定を確認:通知の結果と請求手続きを確認
- 入金を確認:支払予定とのずれも相談する
福岡市の手順を踏まえた確認例。自治体により異なる。
申立費用と、その後の報酬を分けて相談する
まず、支払いに困っている費用を次のように書き出してください。
| 困っている費用 | 最初に確認する相談先 | 聞くこと |
|---|---|---|
| 診断書、印紙、鑑定等 | 自治体の成年後見担当 | 申立費用助成の対象・申請時期 |
| 申立てを依頼する専門家の費用 | 法テラス、依頼先 | 扶助の利用条件と立替えの範囲 |
| 後見人等の継続する報酬 | 自治体の成年後見担当 | 報酬助成の対象者・上限・期限 |
| 日々の生活費も足りない | 福祉事務所等 | 生活保護や生活の支援も含めた相談 |
複数の窓口へ相談する場合は、既に受けた説明と、申請中の制度を伝えてください。同じ費用に複数の支援を使う場合の扱いも確認しましょう。
自治体助成の条件は、住む地域で確認する
国は、低所得者の申立費用や報酬を支える取組を進めています。助成の運用は自治体によって異なります。国の方針と、本人の住む自治体の申請要件を分けて確認してください。厚生労働省「市町村長申立てと利用支援事業の推進」
窓口へ、本人の年齢や障害等の区分、生活保護の受給状況、所得・資産、申立人、後見人等との親族関係を伝えてください。そのうえで、対象費用と申請期限を聞きましょう。生活保護を受けていない場合や、親族が申し立てる場合も、対象になるかを相談してください。
小樽市は、申立費用・鑑定費用や後見人等の報酬を負担することが難しい人への助成を案内しています。2025年4月1日以降の後見開始審判について、対象を拡充したと説明しています。地域の案内では、ページの日付に加えて、どの審判・期間に適用されるかも確認してください。小樽市「成年後見制度利用支援事業」
福岡市の例でも、上限と申請期限がある
福岡市は、市長申立てのほか、本人・親族申立てで親族ではない第三者が後見人等になった場合の報酬助成も案内しています。生活保護を受けているなど、報酬負担が難しい人が対象です。福岡市「成年後見制度利用支援事業」
同市の実施要領では、助成上限を施設等に入所している場合は月1万8,000円、その他は月2万8,000円と定めています。これは助成の上限であり、裁判所が決める後見人報酬の定額ではありません。施設等の区分や対象期間も確認が必要です。福岡市実施要領
福岡市の要綱では、原則として、裁判所が後見人等の報酬額を決める「報酬付与審判」の翌日から6か月以内に申請します。担当窓口へ、必要書類と期限を聞いてください。後見人がついても、自動で助成金が振り込まれるわけではありません。この期限は福岡市の例です。他の自治体では、その地域の期限を確認してください。福岡市実施要綱
申立てを依頼する専門家の費用は、法テラスへ相談する
法テラスの民事法律扶助には、無料の法律相談、弁護士等による代理援助、裁判所へ出す書類の作成援助があります。成年後見の申立てでも利用できる場合があります。収入・資産等の条件と、援助の対象になるかの審査を受けます。法テラス「民事法律扶助業務」
法テラスの費用支援は通常、立替えで、原則として返済が必要です。返済の猶予・免除に当たる事情があるかは、個別に確認してください。継続する後見人報酬の支援は、自治体にも並行して相談しましょう。申立ての費用と報酬を一括して立て替えてもらえるとは限りません。法テラス「代理援助・書類作成援助の返済」
弁護士・司法書士へ正式に依頼する前に、「法テラスを利用したい」と伝えてください。既に依頼や支払いをしている場合は、その日時と金額も相談先へ説明しましょう。
相談前に、収入と支出を一枚にまとめる
本人の月収、預貯金、住居費、施設費、医療・介護の支払いを一枚にまとめてください。分からない項目は「未確認」と記し、年金通知や請求書など、分かる範囲の資料を持参しましょう。
たとえば「報酬が高い」よりも、「毎月の年金から施設費を払うと残りが少なく、報酬を払うと日用品代が足りない」と説明すると、助成の要件や生活の支援を検討しやすくなります。これは相談方法の例で、一定の残額なら必ず助成されるという基準ではありません。
申請期限、次に出す書類、担当部署と連絡先をメモし、次の相談日を決めてください。別の窓口を紹介された場合は、紹介先と引継ぎ方法も確認しましょう。
施設へ移った場合は、入居日と自宅生活の期間を伝える
報酬助成の上限を調べるときは、対象期間中の住まいも伝えてください。自宅から施設へ移るなど、期間の途中で住まいが変わった場合は、それぞれの期間の扱いを窓口へ聞きましょう。
たとえば福岡市の要領には、入所している期間とその他の期間が同じ月に混在する場合の計算方法や、一か月未満の期間の日割り計算があります。施設等の区分を改めた2026年6月1日施行の附則では、施行の日までの期間は従前の扱いとしています。これは福岡市の地域ルールです。福岡市実施要領・第8条と附則
例:助成を相談する間に施設へ移った場合
自宅で暮らしていた母が、後見人の報酬対象期間中に施設へ移りました。家族は現在の施設費だけでなく、入居日、自宅生活の期間、転居先の名称を後見人等に伝えます。同じ月でも生活場所が変わっているなら、その期間をどう扱うか窓口に確認します。これは架空の相談例です。
申請、決定、入金を別々に記録する
窓口での相談回答と、助成の決定は別です。福岡市では、申請書、現況報告書、報酬付与審判書などを提出し、市の審査を受けます。市は決定・却下を通知し、決定後に助成金を請求する手順です。福岡市実施要領・第9条
報酬の支払予定日と、助成金の入金見込みを比べてください。入金を待つ間の支払い方も、後見人等と窓口へ相談しましょう。「あとで助成されるはず」と本人の生活費を使い切ることは避け、支払い前に確認してください。
次の欄を使って、相談・申請の記録を残してください。確認漏れを防ぐメモで、自治体の申請書に代わる書類ではありません。
| 記録欄 | 記入する内容 |
|---|---|
| 対象になる費用 | 申立費用/後見人報酬/監督人報酬等 |
| 審判と対象期間 | 審判日、報酬の対象となった期間 |
| 生活場所の変化 | 入退所日、入院期間、転居先 |
| 受付と不足資料 | 提出日、追加資料、提出期限 |
| 結果と支払い | 決定日、認められた額、請求・入金 |
提出した資料の控え、窓口の回答、届いた通知を同じ場所に保存してください。期限は「いつまで」と日付で聞き、通知の日付と、期限を数え始める日を確認しましょう。
本人が法律相談を申し込めないときの支援もある
法テラスの「特定援助対象者法律相談援助」は、認知機能が十分でなく、法的問題があっても自分から相談を求めることが難しい人への支援です。親族などの支援も期待できない人が、対象となる場合があります。法テラスが定める特定援助機関の支援者からの申入れで、出張相談を行います。法テラス「特定援助対象者援助事業」
資力にかかわらず利用できる仕組みですが、有資力者には相談料がかかる場合があります。本人・親族からの出張希望は、この支援者申込型の対象と区別されます。地域包括支援センター等へ「本人が自分では相談を求められない」と事情を伝え、相談方法を確認してください。申立費用や継続報酬がすべて無料になる制度ではありません。
一度対象外と言われたら、相談を終えるべきですか?
対象外と言われたら、どの費目・条件が理由かを窓口へ聞いてください。書類不足と、制度の対象外では、次に取る対応が異なります。入所や収入などの状況が変わった場合の扱い、他の相談先、生活費の支援も尋ねましょう。再相談で必ず助成が決まるわけではありません。
親族が後見人なら、第三者と同じ条件ですか?
自治体によって、親族関係に関する条件があります。福岡市の要綱には、親族後見人等を対象から除く規定があります。「申し立てた人が親族か」と「選任された後見人が親族か」を分けて窓口へ伝えてください。福岡市実施要綱・第9~10条
よくある疑問
家族が申し立てたら報酬助成は使えませんか?
本人・親族申立てを対象に含める自治体があります。申立人だけで判断せず、地域の最新要綱を確認してください。
費用が払えないなら市長申立てになりますか?
市町村長申立ては、申立てを担う人がいない場合などの仕組みで、費用助成とは別の判断です。市町村長申立ての相談も参照してください。
本稿は2026年10月1日時点の現行制度を前提にしています。成立済み改正法の仕組みを、施行前から利用できると考えないでください。法務省の案内/2026年改正の内容と施行
福岡市の施設区分変更に伴う期間と、法テラスの出張相談の対象条件を、2026年10月8日に公式資料で確認しました。

