相続した実家を売って空き家の3,000万円特別控除を使うときは、家がある市区町村へ「被相続人居住用家屋等確認書」を申請します。住んでいた人、相続後の利用状況、売り方などを示す資料をそろえ、交付された確認書を確定申告に使います。
確認書が発行されても、税の控除を受けられることが確定するわけではありません。控除額が2,000万円になる場合もあります。建築時期、相続人、売却額、期限などの適用条件は、先に相続した空き家の特別控除の条件と税務署・税理士への相談で確認してください。
この記事では、条件確認後に「どの書類を、誰から、いつまでに集めるか」を整理します。売却後に買主が工事をする場合は、引渡し前から証拠書類の受渡しを決めておくと申請を進めやすくなります。
相談のために書き出す日付
- 親が亡くなった日、家と土地を取得した人
- 親が施設に入所していた場合の入所日と、家の利用状況
- 売買契約日、引渡し日などの譲渡関係の日付
- 耐震改修・取壊しをした日、または予定日と工事の担当者
- 確認書の申請予定日、確定申告の期限
売却、工事、申請の日程を一本の表にします。書類の取り寄せだけでなく、自治体が確認書を交付するまでの日数も確保してください。
1. 所在地の窓口で、売り方に合う様式を選ぶ
家の所在地の市区町村で、住宅政策課や空き家担当などの窓口を確認します。売主が現在住んでいる市区町村や、所得税を申告する税務署が、確認書の発行先とは限りません。
2024年1月1日以後の譲渡では、大きく「耐震基準を満たした家を売る」「先に取り壊して土地を売る」「売却後に買主が耐震改修・取壊しをする」に分かれます。自治体の案内で、それぞれに対応する様式1-1、1-2、1-3などとチェックリストを取得します。
国土交通省の制度ページにも様式がありますが、実際の提出方法、原本・コピーの扱い、追加資料は所在地の案内に合わせてください。
問い合わせ例:「父から相続した〇町の家を〇年〇月に売却し、買主が翌年2月15日までに解体する予定です。確認書の申請様式、必要な工事完了資料、原本が必要な証明書、交付までの日数を教えてください」
ここまでの目安:売り方に合う様式・チェックリストと、担当窓口・提出方法を確認できた。
2. 居住・相続・物件を示す証明書を集める
親の住民票の除票、自治体が指定する相続人の住民票や戸籍の附票、家と土地の登記事項証明書、売買契約書などを確認します。資料ごとに「誰の」「どの時点の」「何を証明するものか」をメモしてください。
住民票の「写し」は市区町村が発行する証明書の名称で、手元のコピーでよいという意味ではありません。原本提出が必要か、発行日や記載事項の条件があるかを先に確認します。
例えば八王子市の書類一覧は、売り方に応じて、譲渡日以降または取壊し日以降に発行された相続人の住民票を求めています。相続直後に取った資料だけで足りるとは限りません。
老人ホーム等に入所していた場合は、要介護認定等の資料、施設契約書、入所後の家の利用状況を示す記録も確認します。介護保険証を返却済み、契約書が見つからないなどの場合は、発行元と自治体に代わりの資料を相談します。
証明書を兄弟で共同利用できるか、誰の分の確認書を申請するかも確認してください。1人の確認書をコピーすれば全員の申告に使えるとは考えず、申請者ごとの必要部数を数えます。
ここまでの目安:証明する人・期間・内容を確認し、必要な原本と部数、未取得の資料が分かった。
3. 相続後に利用していないことを示す資料を集める
電気・ガス・水道の使用中止日が分かる書類や、不動産会社が空き家として広告した資料などを確認します。解約した記憶だけでなく、日付と物件が分かる記録を用意してください。
国土交通省の要件確認に関する通知では、空き家の状態や利用状況を確認するための資料が整理されています。全国で全種類を一式提出するという意味ではなく、該当する区分の資料を自治体のチェックリストと照合します。
片付けのため電気を残していた、井戸を使っていて水道の解約資料がないなどの場合は、その事情を伝え、何で確認できるかを相談します。書類がないことを隠したり、実際と異なる日付の説明を作ったりしないでください。
取壊し後に土地を売る場合は、取壊しから譲渡までの敷地の利用状況も確認されます。更地の写真を撮るなら撮影日と場所を残します。駐車場として人に貸していたなどの利用があれば、その期間と利用方法を税務署・税理士へ伝え、控除の条件に合うかを資料作成前に確認します。
ここまでの目安:必要な期間の利用状況を説明でき、不足資料の代替可否を窓口へ確認できた。
4. 取壊し・耐震改修の証拠を受け取る
売主が先に取り壊した場合は、家屋の閉鎖事項証明書など、取壊しを確認する資料をそろえます。未登記家屋などで通常の証明書が取れない場合は、工事契約書や取壊し証明などの扱いを自治体へ相談してください。
売却後に買主が工事をする方法は、2024年1月1日以後の譲渡で認められる区分です。国税庁の案内では、譲渡した年の翌年2月15日までに一定の耐震基準を満たすこと、または家屋全部の取壊し等をすることなどが要件です。
「工事を注文した」「着工した」だけで完了と扱わず、工事終了日と必要な証明書の受領予定を確認します。耐震改修なら適合を示す証明、取壊しなら閉鎖事項証明書など、売り方に合う資料を受け取ります。
買主・仲介会社とは、工事の期限、進捗報告、売主へ渡す書類と受渡し期限を契約前に整理します。申請先には、契約書に特約がない場合の資料も相談してください。特約がないだけで確認書は絶対に交付されない、と決めつける必要はありません。
ここまでの目安:工事が期限内に完了したことを示す資料を受け取り、申請書の工事日と照合できた。
5. 申請し、確認書の記載内容を確認する
申請書の氏名、家屋の所在地、相続日、譲渡日、工事日を、集めた資料と突き合わせます。売買契約書の日付と引渡し日が異なる場合は、どの日を記入し、何を添付するかを確認してください。
提出方法は窓口、郵送、電子申請など自治体ごとに違います。例えば川崎市は電子申請も案内しています。提出した添付書類が返却されないこともあるため、控えを保存してから提出します。
交付までの日数は全国一律ではありません。八王子市は必要書類がすべてそろってから2〜3週間程度、申告期は1か月以上かかる場合もあるとしています。申請の投函日だけで日程を計算しないでください。
交付されたら、申請者、対象家屋、売り方の区分、確認内容に誤りがないかを確認します。費用は、確認書の発行手数料の有無と、証明書取得費・郵送料を分けて問い合わせます。
ここまでの目安:不足資料への対応が終わり、自分の申告に使う確認書を受け取って内容を確認できた。
6. 確認書を確定申告の資料に加える
確認書は、適用に必要な一部の事実を自治体が確認した資料です。税務上の全要件を審査して控除を確約する書類ではありません。譲渡所得の内訳書、契約書、登記・耐震関係資料など、申告に必要なものを国税庁の案内で照合します。
買主の工事が遅れた、確認書の交付が申告期限に間に合わない可能性がある場合は、期限前に税務署または税理士へ相談します。自治体へ申請中であることを理由に、自動で申告期限が延びるとは考えないでください。
確定申告を提出したら、受信通知等の提出記録、申告書一式、確認書の控え、契約・工事・費用の資料をまとめて保管します。確認書の取得と、申告の提出・必要な納税を別の完了項目として管理してください。
ここまでの目安:確認書を含む申告資料をそろえ、申告の提出・納税の確認と記録の保管を終えた。
売却と工事の手続きを確認する
出典・確認日
2026年10月5日確認。本文中の国税庁、国土交通省、八王子市、川崎市の公式案内を参照しました。自治体の例を全国共通の必要書類・日数として扱わず、家屋所在地の窓口と申告先で確認してください。

