権利証や登記識別情報を紛失しても、実家の所有権は残ります。別の本人確認を準備すれば、売却を進められる場合があります。書類の再発行はできないため、売却代金の残額を受け取る「決済」の日を決める前に、司法書士へ紛失を伝えてください。
実家を売る準備中に権利証がないと気づいたら、以下の順に進めてください。親が亡くなっている場合は、まず相続登記の状況を調べます。通常の相続登記に親の権利証は原則不要なので、戸籍など必要な書類の準備を進められます。
紛失しても権利が残ることと、再発行できないことは、法務省の権利証紛失に関する案内でも説明されています。
最初に整理する書類と事情
- 土地・建物それぞれの登記事項証明書と固定資産税の資料
- 購入時・相続時の契約書、登記完了証、司法書士からの書類
- 登記名義人の氏名・住所と、現在の氏名・住所
- 紛失に気づいた日、最後に見た場所、盗難の可能性
- 売却先や決済予定の有無、親の生死と意思確認の状況
登記識別情報の12桁の英数字は、依頼する司法書士に提供方法を確認してから渡してください。家族や業者へ書類の写真を送るときも、その情報が写っていないかを確認します。
1. なくした書類と対象不動産を特定する
昔の権利証は「登記済証」、現在の仕組みでは「登記識別情報通知」という書面が一般的です。登記識別情報は登記名義人が本人であることを確認するための情報で、土地・建物や取得した登記ごとに確認が必要です。
土地と建物のどちらの書類がないのか、誰が取得したときの書類なのかを確認してください。父が購入したときの権利証と、自分が相続した後の通知も区別します。地番・家屋番号を照合し、手元にある書類と紛失した書類を分けてください。
所有者や抵当権など、登記された内容は登記事項証明書で確認できます。この証明書は取り直せます。売却時の本人確認に使う権利証とは、役割が異なります。法務局の証明書取得案内から請求できます。
ここまでの目安:どの土地・建物の、誰に通知された書類がないのかを一覧にできた。
2. 現在の名義と相続登記の状況を調べる
登記名義が存命の親なら、売主は原則としてその親です。子が準備を手伝う場合も、司法書士などに親の売却意思や代理権を確認してもらいます。親の判断能力に不安がある場合は、売却契約の前に手続きの方法を相談してください。
亡くなった親の名義のままなら、先に相続登記を準備してください。戸籍、遺言書、遺産分割の資料などから、相続人と実家を取得する人を確認します。親の権利証の紛失とは、別に確認する事項です。
一般的な相続登記の添付書類は、法務局のよくある質問から確認できます。すでに自分への相続登記が完了している場合は、その際に通知された登記識別情報の有無を調べます。
ここまでの目安:現在の登記名義と売主になる人が分かり、先に必要な相続登記などを確認できた。
3. 盗難・情報流出が心配なら法務局へ相談する
家の中で見当たらないのか、盗難や第三者への流出が疑われるのかを整理してください。登記識別情報には、不正利用を防ぐために、その情報を使えなくする「失効」の申出があります。売却時の本人確認と、失効の申出は、それぞれ手続きを確認します。
法務省の失効申出の案内では、通知を受けた名義人やその相続人などが申し出られるとしています。失効させた情報を使って登記することはできなくなるため、売却予定も含めて相談してください。
紙の登記済証をなくした場合は、登記識別情報の失効とは別の対応が必要です。不正な登記をされる差し迫ったおそれがあれば、「不正登記防止申出」などを法務局へ相談してください。実印もなくした場合は市区町村の印鑑登録窓口へ、盗難なら警察にも連絡します。
ここまでの目安:紛失の事情を整理し、不正利用への対応と売却手続きを分けて相談できた。
4. 司法書士と本人確認の方法を決める
売却時に登記識別情報等を提供できない場合は、別の方法で本人確認を行います。代表的な方法は、法務局からの「事前通知」と、司法書士などの資格者代理人が作成する「本人確認情報」です。
「事前通知」では、登記申請後に法務局から届く通知に対応し、申請が本人の意思に基づくことを確認します。売買契約前に代わりの権利証を受け取る制度とは異なります。通知に対応する日程を含め、残代金の決済と登記をどう進めるか、司法書士に相談してください。
「本人確認情報」は、登記申請を依頼された司法書士などが、面談や資料確認をして作成します。免許証のコピーを渡すだけで済む手続きではありません。作成した情報を登記官が適正と認めることも必要です。制度の説明は法務局の登記識別情報を提供できない場合の案内で確認できます。
問い合わせ例:「〇市の実家を売却予定ですが、現在の名義人に通知された登記識別情報がありません。本人確認情報と事前通知のどちらが可能か、面談・必要資料・追加費用・決済日への影響を教えてください」
入院中、遠方や海外に住んでいるなど、面談や郵便の受け取りに制約がある場合は、最初に伝えてください。本人確認の方法と必要な日数を相談してから、決済日を決めます。
ここまでの目安:担当の司法書士と、使う本人確認の方法・必要資料・本人が対応する日を確認できた。
5. 費用と日程を確認し、売却準備を終える
見積もりは、通常の登記費用と、紛失による本人確認情報の作成費などを分けてもらってください。司法書士の報酬は全国一律ではないため、依頼先の見積もりで予算を組みます。
見積書では、対象の土地・建物、相続登記や住所変更の有無、面談・出張の費用、証明書取得費、売却時の追加費用を確認してください。親の判断能力や相続人間の争いに問題がある場合は、その手続きも含めて売却までの段取りを相談します。
担当者が必要書類と本人確認の方法を確認し、決済までの日程を関係者で合意できたら、準備完了の目安になります。売却後は、登記の完了報告と、残代金の入金・鍵の引渡しの記録をまとめて保管してください。
ここまでの目安:追加費用と決済までの段取りが分かり、不動産会社・司法書士・売主で共有できた。
関連する手続き
出典・確認日
2026年10月5日確認。本文中の法務省・法務局の案内を参照しました。個別の本人確認方法と必要書類は、登記を担当する司法書士または管轄法務局へ確認してください。

