情報確認日:2026年10月15日
親が「終身建物賃貸借」で借りていた住宅は、親の死亡で賃借権が相続される仕組みではありません。ただし、同居していた配偶者や60歳以上の親族には、死亡を知った日から1か月以内に認可事業者へ継続居住を申し出る保護があります。条件を満たす申出には、新しい契約を結ぶ義務が事業者にあります。別居の相続人や、すべての同居家族に同じ権利があるわけではないため、契約書と本人の立場を確認してください。
まず、本当に「終身建物賃貸借」かを見る
国土交通省の制度説明によると、終身建物賃貸借は、認可事業者が、借りた人が生きている限り続き、死亡時に終わる契約を結べる制度です。一般の賃貸借契約や、有料老人ホームの利用契約と、同じようには扱いません。
親の契約書で、正式な契約名、貸主・事業者、賃借人、同居者、死亡時の終了条項を確認します。賃貸の期間と死亡時の終了を組み合わせた「期間付死亡時終了建物賃貸借」の場合も、継続契約の期間に違いがあります。
「一生住めると説明された」という記憶だけで、法律上の契約を特定しないことが大切です。契約書が見当たらなければ、親の保管資料を探すとともに、貸主や管理会社へ写しと契約の説明を求めてください。
継続居住の対象になる同居者
現行の高齢者住まい法63条が保護するのは、賃借人と同居していた配偶者、または60歳以上の親族です。その住宅の賃借人になっている人は、この「同居配偶者等」から除かれます。
| 親と暮らしていた人の立場 | まず確認すること |
|---|---|
| 同居の配偶者 | 年齢だけで除外せず、同居と契約上の立場を確認 |
| 同居の60歳以上の親族 | 年齢、親族関係、賃借人ではなく同居者か |
| 本人も賃借人として契約している | 自分の契約が続くか、複数賃借人の条項 |
| 別居の子などの相続人 | 相続人であるだけでは継続居住の保護にならない |
配偶者については、60歳未満でも制度上の対象となります。一方、親族なら年齢に関係なく対象になるわけではありません。住宅への入居時の同居条件と、死亡後の継続居住の条件を、契約と法律に照らして確認します。
夫婦など複数の賃借人がいる場合、法律の一時居住・継続居住の規定では、賃借人全員の死亡を基準にする扱いがあります。一人が亡くなっただけで、もう一人の賃借人の契約まで終わったと判断しないでください。
1か月以内の申出は、貸主側へ行う
対象の同居者は、死亡があったことを知った日から1か月を経過する日までに、認可事業者へ「引き続き居住する」旨を申し出ます。相続の戸籍や遺産分割がすべて整うまで待つ手順ではありません。
市区町村への死亡届や、管理会社への死亡の連絡だけで、継続居住の申出も済んだと思わないでください。管理会社を通じて行う場合は、正式な受領先、申出の内容、受領日を確認します。
家族は、親の氏名、住宅、死亡日と知った日、同居者の氏名・続柄・年齢、継続して住む希望を整理します。事業者が求める死亡・同居・親族関係の確認資料や、申出書の有無を聞いてください。全国共通の書式があると決めて使わず、提出先の案内に従います。
申出の控えと、受領が分かる記録を残すと、期限内に何を伝えたかを確認できます。不足書類がある場合は、その書類待ちで申出を遅らせず、期限と追加提出の扱いを事業者へ相談してください。
新しい契約を結ぶまでの居住と家賃
法律62条には、同居者の一時居住の保護があります。原則として、死亡時から同居者が死亡を知った日から1か月を経過する日まで、引き続き住める扱いです。
対象となる同居配偶者等が期限内に継続居住を申し出た場合は、新しい契約をするまでの居住が保護されます。ただし、同居者の死亡や反対の意思表示、期間付契約の満了など、条文の例外もあります。
この間は、従前の契約と同じ家賃を支払います。「親が亡くなったので、新契約まで家賃が不要」とは考えないでください。誰がどの口座から払うか、引落しの停止への対応、共益費などの扱いを事業者に確認します。
元の契約によって、新しい契約の扱いが違う
通常の終身建物賃貸借では、条件を満たす申出を受けた事業者は、同居配偶者等と新しい終身建物賃貸借を結びます。法律が認める別の契約の申出を併せて行う場合には、その契約の扱いになります。
元が期間付死亡時終了建物賃貸借で、期間満了前に親が亡くなった場合は、原則として、元の期間が満了する時まで続く契約を結ぶ規定です。元の終期を消して、無条件に一生住める契約へ変わるものではありません。
新しい契約の条件は、法律63条では原則として従前と同一です。前払家賃の額は、従前と同じ算定の基礎によるという規定があります。前払金の精算、新たな契約の費用、保証の扱いについては、計算の根拠と契約書を示して説明を受けてください。
制度の認可と、生活支援の契約は別
2025年10月から、終身建物賃貸借の認可手続きは、住宅ごとから事業者の事前認可と住宅の届出へ簡素化されています。古い案内だけで認可の有無を判断せず、住宅が所在する都道府県等の担当へ確認します。
見守り、身元保証、死後事務などの契約が付いている場合、それらは住宅の継続居住の権利と別の確認事項です。残された家財の処理についても、継続居住を申し出る家族の判断を省き、すぐ処分してよいとは考えません。
申出を受け付けてもらえない、法定の対象か争いがある場合は、期限を意識して認可担当や法律専門家へ相談してください。契約名、賃借人・同居者、年齢・続柄、死亡を知った日、申出の記録が、状況を具体的に説明する材料になります。
参照資料
あわせて読みたい記事
執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT
