要介護認定の認定調査で聞かれること|家族が準備する確認表

Featured image 171 d88615bf5ba619e78d52046056f89f33.png 介護保険・要介護認定

要介護認定の申請後に行われる認定調査では、歩行や排泄、食事、もの忘れなど、本人の生活について細かく確認されます。

調査当日、本人が緊張して普段より頑張ったり、家族に遠慮して「一人でできる」と答えたりすることがあります。反対に、認定を重くしてもらおうとして状態を誇張するのも適切ではありません。家族がすべきことは、普段の介助を具体的な場面と頻度で伝えることです。

この記事では、認定調査で確認される内容と、家族が事前にまとめておきたい記録を整理します。

認定調査だけで要介護度が決まるわけではない

市区町村へ要介護認定を申請すると、認定調査員が本人と面接し、心身の状態や生活環境を調べます。あわせて、市区町村が主治医へ意見書の作成を依頼します。

厚生労働省が示す判定の流れは、次の二段階です。

  1. 認定調査の基本調査と主治医意見書などをもとに、コンピュータによる一次判定を行う
  2. 介護認定審査会が、一次判定、特記事項、主治医意見書を確認して二次判定を行う

認定調査の役割は、病名や年齢だけを見ることではありません。本人の能力、実際に行われている介助、認知症などに伴う行動の有無を確認し、生活上どの程度の介護の手間が生じているかを判定につなげることです。

認定調査票は3つの部分で構成される

厚生労働省の認定調査員テキストでは、調査票は「概況調査」「基本調査」「特記事項」で構成されています。

調査票の部分確認される内容家族が伝えたいこと
概況調査家族構成、住環境、現在利用しているサービスなど独居か、日中一人になるか、家族が通う頻度、使っている福祉用具
基本調査身体機能、生活機能、認知機能など74項目普段できること、介助していること、行動が起きる頻度
特記事項選択肢だけでは表せない具体的な状況どんな場面で、誰が、何を、どのくらい手伝っているか

基本調査は選択式ですが、選択肢だけでは本人固有の介護の手間を表せないことがあります。その事情を介護認定審査会へ伝える役割を持つのが特記事項です。

基本調査では生活全体を確認する

基本調査の74項目は、大きく次の内容に分かれています。

  • 身体機能・起居動作:麻痺、関節の動き、寝返り、起き上がり、座位、立位、歩行、視力、聴力など
  • 生活機能:移乗、移動、食事、排尿、排便、口腔清潔、洗顔、整髪、着替え、外出など
  • 認知機能:意思の伝達、日課、生年月日、短期記憶、場所の理解、徘徊など
  • 精神・行動障害:感情の不安定、昼夜逆転、同じ話の繰り返し、介護への抵抗、物忘れに伴う行動など
  • 社会生活への適応:服薬、金銭管理、日常の意思決定、買い物、簡単な調理など
  • 過去14日間に受けた特別な医療
  • 障害高齢者・認知症高齢者の日常生活自立度

調査項目ごとに、「能力」「介助の方法」「行動などの有無」という異なる評価軸があります。家族が自己判断で選択肢を決める必要はありません。実際の状況を説明し、どの選択肢に当たるかは認定調査員に判断してもらいます。

当日できたことより普段の状態を具体的に伝える

厚生労働省の認定調査員テキストでは、確認動作と日頃の状態が異なる場合、原則として調査日より概ね過去1週間のうち、より頻回な状態をもとに選択し、その違いを特記事項へ記載するとされています。

たとえば、調査当日に一度だけ手すりを使わず立ち上がれても、普段は毎回家族が腕を支えているなら、その日常を伝えます。

認知症などに伴う精神・行動面の項目では、概ね過去1か月の頻度を確認するものがあります。夜間の外出、同じ質問の繰り返し、介護への抵抗などは、調査直前の数日だけでなく、発生した日と家族の対応を記録しておくと説明しやすくなります。

家族の記録は「場面・介助・頻度」でまとめる

「大変です」「ほとんどできません」だけでは、実際の介護の手間が伝わりません。次の3点に分けます。

  • 場面:いつ、どこで、何が起きるか
  • 介助:家族や支援者が何をしているか
  • 頻度:1日何回、週何日、月何回ほどか
生活場面曖昧な説明具体的な記録例
立ち上がり足が弱い朝は自力で立つが、夕方は週5日ほど家族が腕を支える
排泄トイレが大変夜間2回誘導し、週3回ほど衣服の上げ下げを手伝う
服薬薬を忘れる家族が毎朝薬を分け、電話で確認しないと週2回ほど飲み忘れる
金銭管理お金が分からない公共料金は家族が管理し、買い物では同じ物を重ねて買うことが月3回あった
もの忘れ認知症がある食後すぐに「まだ食べていない」と訴え、家族が説明することがほぼ毎日ある

介助をしているため事故が起きていない場合も、その介助を省略しないでください。「転んでいない」だけでなく、「家族が毎回付き添っているため転倒していない」と伝えると、予防のために生じている手間が分かります。

本人が「できる」と答えたときの補足方法

本人の前で家族が否定すると、本人が傷ついたり、話しにくくなったりすることがあります。まず本人の話を遮らず、そのあと事実を短く補足します。

歩行や移動

「本人の言うとおり室内は歩けます。ただし家具につかまり、家族が後ろから見守っています。先週は2回ふらつきました」のように、できる部分と支援が必要な部分を分けます。

排泄や着替え

「トイレまでは一人で行きますが、衣服を整えるところは毎回手伝っています」と、動作を途中で区切ります。

服薬や金銭管理

「本人は管理しているつもりですが、薬は家族が一包ずつ用意しています」「通帳と公共料金は家族が管理しています」と、実際の管理者を伝えます。

認知機能や夜間の行動

本人の前で伝えにくい内容は、事前にメモを用意し、認定調査員へ別に渡せるか市区町村へ確認します。自治体によって対応方法が異なるため、調査日を決める際に相談してください。

調査前に準備しておく資料

提出が必須とは限りませんが、次の資料があると日常の状況を説明しやすくなります。

  • 1週間分の介助記録と、認知症などに伴う行動の1か月分のメモ
  • 現在の薬が分かるお薬手帳や服薬一覧
  • 通院先、主治医、最近の入院・転倒などの記録
  • デイサービス、訪問介護、訪問看護などの利用日程
  • 杖、歩行器、車いす、介護ベッドなどの使用状況
  • 同居・別居家族が訪問する曜日と、担当している介助
  • 本人が一人になる時間帯

主治医が普段の介護状況を十分に把握していないこともあります。申請後の受診時には、家族が困っている生活上の変化を主治医へ伝えてください。主治医意見書の記載内容を家族が指定するものではありませんが、診察室で見えにくい日常を共有することはできます。

調査日に発熱・入院直後など普段と違う状態なら連絡する

厚生労働省の認定調査員向け手引きでは、急病などで状態が一時的に変化し、適切な調査ができないと判断される場合は、その場で調査を行わず、状態が安定してから改めて調査日を設定する扱いです。家族だけで延期を決めず、調査前に市区町村または日程調整をした担当者へ連絡してください。

当日の状況家族の対応
発熱、急な痛み、強い眠気などがあり、質問や動作確認が難しい調査員が来る前に連絡し、当日実施するか、状態が安定してから日程を組み直すか確認する
入院・手術の直後で、心身の状態が安定していない病院の相談員や市区町村へ、退院見込みと普段の状態を伝え、調査時期を相談する
調査は受けられるが、普段より極端に調子がよい・悪い当日の状態だけでなく、概ね過去1週間でより頻回だった状態と、違いが生じた理由を伝える
普段の様子を知る家族が同席できない早めに日程変更の可否、別の支援者の同席、介助記録を渡す方法を市区町村へ確認する

調査日を遅らせれば必ず適切な結果になる、という意味ではありません。認定は調査票だけでなく、特記事項、主治医意見書、介護認定審査会の審査を経て決まります。日程を変更した場合も、介助の場面・内容・頻度を記録し、主治医へ生活上の変化を共有します。

認定調査当日の確認表

  • 調査には普段の様子を知る家族や支援者が同席する
  • 調査直前だけでなく、普段の状態を説明する
  • できる動作と、実際に介助している動作を分ける
  • 福祉用具を使っている場合は、使用時の状態を伝える
  • 介助の内容を「誰が・何を・何回」で説明する
  • 夜間の介助や見守りを忘れず伝える
  • 本人が一人になる時間帯を伝える
  • 介助しているため起きていない事故や失敗も説明する
  • 認知症などに伴う行動は、発生頻度と家族の対応を伝える
  • 誇張や誘導をせず、記録した事実を伝える
  • 伝えにくい内容を個別に伝えられるか事前に確認する
  • 調査員の氏名、調査日、伝えた内容を記録する

調査後と認定結果が届いたあと

調査後は、説明した内容と追加で伝えるべき点をメモします。主治医の受診予定や意見書の作成状況について不明な点があれば、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。

結果が生活実態と合わないと感じたときは、まず市区町村へ認定調査票や判定資料の開示手続き、結果の理由を確認します。開示できる資料や申請方法は自治体によって異なります。

本人の状態が認定後に悪化・変化した場合は区分変更申請、当初の処分そのものに不服がある場合は審査請求という制度があります。どちらが適切かを決めつけず、市区町村や都道府県の窓口へ期限も含めて相談してください。

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参考にした公的情報

本記事は2026年8月30日時点の公的情報をもとに整理しています。認定調査の日程、資料の提出・開示方法、相談窓口は自治体によって異なるため、申請先の市区町村でご確認ください。

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