介護保険で使える在宅サービスの量は、要介護度ごとの1か月の上限で決まります。この上限が「区分支給限度基準額」です。「単位」は、サービスの利用量や費用を計算するための数で、円とは異なります。本人が月に支払う金額の上限とは分けて確認してください。
要支援1は5,032単位、要介護5は36,217単位です。
介護保険の費用を円に換算する単価は、原則として事業所の所在地とサービスの種類で決まります。1単位10円から11.40円です。
限度額の範囲内で使った分は、所得に応じて1割から3割を自己負担します。限度額を超えた分は全額自己負担です。
市区町村の総合事業では単価の取扱いが異なる場合があります。後の「単位と地域区分の関係」で、介護保険給付との違いを説明します。
この記事では、公的な告示と自治体の案内で確認できた数値を使って、区分ごとの限度額と読み方を説明します。利用したいサービスと回数は、担当のケアマネジャーへ相談してください。制度の対象や限度額の扱いは、市区町村の介護保険窓口にも確認します。
月のサービス量の上限を「単位」で確認する
区分支給限度基準額は、居宅サービスや介護予防サービスを介護保険で利用できる1か月の上限です。訪問介護、通所介護、短期入所、福祉用具貸与などの単位数を合算し、ケアプランをこの枠に収めます。
限度単位数の根拠は、厚生労働省の告示「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第33号)です。令和元年10月1日適用の改正以降、単位数は据え置かれています。
限度単位数は全国共通です。円に換算する単価には、地域の人件費の違いなどが反映されます。事業所の所在地とサービスの種類で変わるため、月の限度単位数と請求に使う単価を分けて確認してください。
要支援1〜要介護5の区分支給限度基準額一覧
7区分の単位数と、1単位を10円として換算したサービス費用の目安は次のとおりです。円の欄は、本人の自己負担額を差し引く前の費用全体を示しています。
1単位10円のサービスなら、この換算になります。地域区分による上乗せがあるサービスは、円に換算した費用が高くなります。
| 要介護度 | 1か月の限度額(単位) | 1単位10円換算の費用額 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約362,170円 |
要支援1から要介護5までで、上限には約7倍の差があります。要介護2から要介護3にかけて大きく増えるため、在宅で組み合わせられるサービスの幅も変わります。
単位と地域区分の関係
介護保険給付では、原則として事業所の所在地が、1級地から7級地と「その他」のどこに当たるかを確認します。利用者の住所だけで決めず、事業所の所在地を確かめてください。
地域区分の上乗せ割合は、1級地が20%、「その他」が0%です。所在地とサービスの種類を組み合わせて単価を定めることは、厚生労働省の単価告示で確認できます。
介護予防・日常生活支援総合事業は市区町村が実施しているため、介護保険給付と単価の取扱いが異なる場合があります。
吉岡町の案内は、同町に住民登録がある被保険者が町外の事業所を利用する場合も、町の単価を使うと案内しています。住所地特例の対象者は、施設所在地の単位・単価を使います。
総合事業を利用する人は、担当の地域包括支援センターや市区町村へ、適用する単価を確認してください。
人件費の占める割合はサービスごとに異なるため、同じ市区町村でも単価が変わります。人件費割合70%のグループ(訪問介護など)の単価は、次のとおりです。
| 地域区分 | 上乗せ割合 | 1単位の単価(人件費割合70%の場合) |
|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 11.40円 |
| 2級地 | 16% | 11.12円 |
| 3級地 | 15% | 11.05円 |
| 4級地 | 12% | 10.84円 |
| 5級地 | 10% | 10.70円 |
| 6級地 | 6% | 10.42円 |
| 7級地 | 3% | 10.21円 |
| その他 | 0% | 10.00円 |
人件費割合55%のグループ(訪問リハビリテーションなど)は、1級地で11.10円です。人件費割合45%のグループ(通所介護など)は、1級地で10.90円となります。上乗せ幅が小さく、いずれも「その他」の地域は10.00円です。
福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与は、地域区分にかかわらず1単位10円です。厚生労働省の単価告示では、各地域区分とも上乗せのない割合になっています。
訪問介護と福祉用具貸与を併用する場合も、費用はサービスごとに計算してください。合計単位数のすべてに、訪問介護の単価を掛ける計算にはなりません。
使えるサービス量の上限は、単位数で全国共通です。単価が高い地域では、同じ単位数でも円に換算したサービス費用が大きくなります。
負担割合証で自分の支払い割合を確認する
限度額の範囲内で使ったサービスは、費用額の1割から3割を負担します。2割・3割の判定には、本人の合計所得金額と、同じ世帯にいる65歳以上の人の「年金収入+その他の合計所得金額」を使います。
下の「単身」は、同じ世帯の65歳以上が本人1人という意味です。「2人以上」も、同じ世帯の65歳以上の人数で判断します。
自分の負担割合は、市区町村が交付する介護保険負担割合証で確認してください。
- 3割:65歳以上で前年の合計所得金額が220万円以上、かつ世帯の年金収入とその他合計所得金額の合計が単身340万円以上、2人以上463万円以上
- 2割:合計所得金額160万円以上で、上記の収入要件に一定の範囲で該当する場合
- 1割:上記に当てはまらない方、市町村民税非課税の方、生活保護受給者など
負担割合証の有効期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までです。7月頃に新しい証が届きます。前年の所得が変わると割合も変わるため、届いたら内容を確認してください。判定に使う詳しい基準額は、市区町村の案内で確認します。
限度額を超えた分は全額自己負担になる
限度額を1単位でも超えると、その超過分は全額自己負担になります。超過分の費用には、1割や3割の負担割合は適用されません。
たとえば1割負担の方が限度額を1万円分超えて利用すると、限度額内の分は1割で済みますが、超過した1万円はそのまま1万円の請求になります。月の後半に緊急でショートステイを追加した、といった場面で起こりがちです。
体調の急変や家族の都合で予定外の利用が入ると、限度額を超えることがあります。サービスを追加する前に、ケアマネジャーへ残りの単位数を確認してください。
追加利用の前に「残りの単位数」を確認する
ショートステイを延長する、訪問介護を追加する、福祉用具の貸与を始めるときは、料金と、その月の予定単位数を確認してください。
ケアマネジャーへ「今月の限度単位数、現在の予定単位数、追加後に超える単位数」を分けて示してもらいましょう。全額自己負担になる部分を確認できます。
| 確認項目 | ケアマネジャーへ聞く内容 |
|---|---|
| 今月の限度単位数 | 現在の要介護度に対応する区分支給限度基準額はいくつか |
| 現在の予定単位数 | 利用予定表に入っているサービスを合計すると何単位か |
| 枠の外で扱うサービス | 限度額へ算入しないサービスや費用が含まれていないか |
| 追加後の見込み | 追加利用によって何単位増え、何単位が限度額を超えるか |
| 自己負担の内訳 | 限度額内の1~3割負担と、超過部分の全額自己負担はそれぞれいくらか |
たとえば要介護1の限度額16,765単位に対し、予定が15,500単位なら、残りは1,265単位です。ここへ2,000単位のサービスを追加すると、単純計算では735単位が限度額を超えます。
この735単位は735円ではありません。超過した単位数に、地域とサービス種類に応じた1単位の単価を掛けた額が全額自己負担になります。限度額内の部分には、負担割合証に記載された1割・2割・3割が適用されます。加算や月途中の変更によって実際の単位数が変わるため、上の例は仕組みを確認するための単純化した計算です。
限度額を超えた全額自己負担分は、高額介護サービス費の計算対象にも入りません。
必要なサービス量を確保できるよう、代替する曜日や回数、限度額の対象外となるサービスの有無、自治体独自の支援をケアマネジャーへ相談してください。追加利用を決める前に確認します。
限度額の枠に含まれないもの
区分支給限度基準額の対象外となるサービスもあります。次のサービスは、毎月の枠とは分けて確認してください。
- 居宅療養管理指導
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム。ただし短期利用は区分支給限度基準額の対象)
- 特定施設入居者生活介護(ただし短期利用は区分支給限度基準額の対象)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護(ただし短期利用は区分支給限度基準額の対象)
藤井寺市の利用方法・費用負担の案内は、これら3サービスの短期利用を限度額の対象に含めています。短期利用を追加するときは、利用するサービスの区分をケアマネジャーへ確認してください。事業所名だけで枠外かどうかを決めないようにしましょう。
住宅改修費と特定福祉用具購入費は、毎月の限度額とは別枠です。住宅改修は原則20万円、特定福祉用具の購入は同一年度で10万円が上限となります。
手すりの設置や入浴用いすの購入は、毎月の枠を使わず、この別枠の限度額で確認します。
要介護度ごとに使えるサービスの考え方
使える回数は、サービスの時間帯や事業所の体制加算などによって変わります。「要介護3なら週何回」と一律に決めず、次の考え方で必要なサービスを検討してください。
- 要支援1・2:介護予防サービスや市区町村の総合事業から、本人に必要な支援を検討します。認定区分だけで利用回数を決めず、サービス内容と回数を地域包括支援センターなどへ相談します
- 要介護1・2:たとえば入浴や食事の準備など、助けが必要な場面を具体的に伝え、訪問・通所などをどう組み合わせるか相談します
- 要介護3〜5:限度額が大きくても、利用できる回数が自動的に決まるわけではありません。介助が必要な時間帯や家族が対応できない日も伝え、必要なサービスを組み立てます
- どの区分でも、予定するサービスごとの単位数を利用票や見積りで確認します。「週何回」だけでなく、1回の時間や加算、月額で算定するサービスの有無も確かめます
厚生労働省のケアプランの解説は、本人や家族の希望、心身の状態、介護や支援の必要性に応じてサービスを組み合わせると説明しています。総合事業の案内も、本人の状況や希望を踏まえた計画づくりを示しています。
使ったサービスの分だけ自己負担が発生します。必要な量を見極めて計画を立てれば、限度額を使い切る必要はありません。
ケアマネジャーへ単価と月の予定量を聞く
担当のケアマネジャーへ「この事業所の、このサービスは1単位いくらか」を確認してください。利用票や見積りで、月の予定単位数とサービスごとの単価を見比べます。
総合事業を含む場合は、市区町村の取扱いも確認してください。月の限度額に対して、あと何単位使えるかを確かめます。
自己負担が高額になった月は、高額介護サービス費で払い戻される場合があります。限度額を超えた全額自己負担分は対象外です。自分の対象額を、市区町村の窓口へ確認してください。
この記事の数値は、公的資料に基づいています。制度が改定されることもあるため、自分のサービスと費用は、担当のケアマネジャーと市区町村の介護保険窓口へ確認してください。
確認日:2026年8月17日。以下の公的情報をもとに、単位数および単価を確認しています。
参考資料の題名と、負担割合を判定するときの世帯人数の範囲は、2026年10月9日に公式資料の該当部分で補足確認しました。自分に適用される割合は、市区町村へ確認してください。
単価の決まり方、総合事業との違い、短期利用時の限度額、利用回数の考え方は、2026年8月31日に追加確認しました。
限度額と自己負担を確認する順番
利用票や見積りを受け取ったら、月の限度単位数、地域とサービスごとの単価、本人の負担割合を一緒に確認してください。サービス量を決める前に、次の順番で確かめます。
- □ 現在の要介護度と認定の有効期間
- □ 予定するサービスごとの単位数と月合計
- □ 利用する事業所・サービスごとの1単位の単価(総合事業は市区町村の取扱いも確認)
- □ 負担割合証に記載された1割・2割・3割の区分
- □ 住宅改修など、区分支給限度基準額とは別枠のサービス
- □ 限度額を超える場合の全額自己負担額
- □ サービスを増減すると生活にどんな影響が出るか
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参考にした公的情報
- 厚生労働省法令等データベース「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額(平成12年2月10日厚生省告示第33号)」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第252回)資料「地域区分について(報告)」
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第172回)資料1「地域区分について」
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
- 堺市「要介護度別・区分支給限度基準額」
- 広島市「サービスの支給限度額」
- 目黒区「区分支給限度額(介護保険から給付される一か月あたりの上限額)」
- 大和市「介護保険における住宅改修費の支給手続きについて」
- 泉佐野市「特定福祉用具購入について」
- 厚生労働省掲載「在宅医療に関する諸費用」
- 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
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