法務局から親の遺言書について通知が届いたら、まず表題を見て通知の種類を確かめます。そのうえで、遺言の内容を相続手続きに使うなら「遺言書情報証明書」を請求します。通知そのものには、誰がどの財産を受け取るかは書かれていません。
証明書の請求は、全国の遺言書保管所で、郵送または来庁により行えます。必要書類は通知の種類で変わるため、戸籍を一式取り直す前に、通知の表題と保管番号を窓口へ伝えてください。
この記事は、自筆証書遺言書保管制度の通知を受け取った相続人や、遺言で財産を受け取る人・遺言執行者に向けた案内です。
最初に手元へ置くもの
- 届いた通知と封筒
- 親の氏名・生年月日・死亡日が分かる資料
- 自分と親の関係が分かる戸籍など、既に集めてある資料
- 法定相続情報一覧図の写しがあれば、その写し
- 来庁する場合の顔写真付き公的身分証明書
通知の表題、遺言書保管所の名称、保管番号をメモします。電話で相談した内容は、通知の余白とは別のメモに残すと、原本提出が必要になったときも扱いやすくなります。
1. 届いた通知の種類を確認する
法務局の通知には、主に次の2種類があります。届いた理由と、その後に省略できる書類が同じではありません。
- 関係遺言書保管通知:相続人などの誰かが遺言書情報証明書を取得したり、遺言書を閲覧したりしたことを受け、ほかの関係相続人等へ送られる通知。
- 指定者通知:法務局が遺言者の死亡を確認した場合に、遺言者があらかじめ指定した人へ送られる通知。
表題には「遺言書を保管している旨の通知(関係遺言書保管通知)」または「遺言者が指定した方への通知」などと記載されています。古い様式では表題が異なるため、分からない場合はそのまま読み上げて確認します。通知の仕組みは法務省の通知案内を参照してください。
指定者通知を受け取ったことだけで、遺言の内容を見られる資格が決まるわけではありません。遺言書情報証明書の請求や閲覧は、相続人、受遺者等、遺言執行者等に認められています。自分の立場が不明なら、保管事実証明書で確認する方法を窓口に相談します。
ここまでの完了目安:通知の種類、保管番号、自分が請求する立場を説明できる。
2. 証明書と閲覧から目的に合うものを選ぶ
「遺言が保管されているか」と「遺言の内容を知りたい」は、請求するものが違います。銀行などに提出する書面が必要なら、通常は遺言書情報証明書を選びます。
| 手続き | 分かること・用途 | 手数料 |
|---|---|---|
| 保管事実証明書 | 該当する遺言書の保管の有無を確認する。内容は載らない。 | 1通800円 |
| 情報証明書 | 遺言書の画像情報を確認し、原本に代えて相続手続きに使う。 | 1通1,400円 |
| モニター閲覧 | 遺言書の画像などを窓口で見る。 | 1回1,400円 |
| 原本閲覧 | 保管されている遺言書そのものを見る。 | 1回1,700円 |
手数料は法務省の料金案内に基づきます。郵送費や戸籍などの取得費は別です。必要な証明書の通数を提出先へ聞くと、余分な請求を減らせます。
相続人が保管事実証明書を請求する場合は、その親の遺言書の保管の有無を確認できます。相続人以外の場合は、自分を受遺者等・遺言執行者等とする遺言書の有無を確認する仕組みです。
通知で保管が分かっており、相続人として内容の証明書を取る場合に、必ず保管事実証明書から順番に取る必要はありません。法務省の相続人等の手続き案内に沿って、目的に合う請求へ進みます。
ここまでの完了目安:請求する証明書または閲覧方法と、必要な通数が決まった。
3. 通知による書類省略を確認する
遺言書情報証明書や遺言書の閲覧では、通常、親の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍や住所を証する書類などで、相続関係を確認します。既に法定相続情報一覧図の写しがある場合は、提出できるかを確かめてください。相続人の住所まで記載された一覧図なら、住所の証明を含めて書類をまとめやすくなります。
関係遺言書保管通知が出ている場合は、相続人の氏名・生年月日・住所の記載や、相続人とその住所を証明する書類などを省略できます。ただし、請求者自身の氏名・住所を示す住民票の写し等は必要です。また、親の相続人がその後亡くなり、その相続人として請求する「数次相続」では、追加の関係を証明する戸籍が必要になることがあります。
指定者通知の場合も、2026年3月から省略できる範囲が広がっています。情報証明書や遺言書閲覧の請求では、遺言者の最後の住所・本籍・死亡年月日の記載を省略できます。ただし、それだけで相続人関係の添付書類一式が不要になるわけではありません。
保管事実証明書などでは、指定者通知を受けた人や相続人等について、遺言者の死亡を証明する書類の添付も省略できる場合があります。請求の種類ごとの条件は、現行の記載事項・添付書類の省略案内と2026年3月の変更説明で確認できます。
「父の遺言書について、この表題の通知が届きました。保管番号は○○です。子である私が情報証明書を1通請求します。通知によって省略できる戸籍はどれですか。自分の住民票と、住所入りの法定相続情報一覧図があれば足りますか」
通知と手持ちの書類を列挙し、追加で取得するものだけを確認します。通知の写しを添える必要があるか、原本を返してもらう方法も聞いておきましょう。
ここまでの完了目安:省略できるものと必要なものを分け、提出書類を確定した。
4. 郵送または予約した窓口で請求する
証明書の交付請求は、全国どこの遺言書保管所でもできます。すべての法務局の出先窓口で扱うとは限らないため、遺言書保管所一覧で対象の窓口を選びます。
郵送なら、現行の請求書、必要な添付書類、収入印紙による手数料、返信用封筒と切手などをそろえます。返信先は請求者の住民票上の住所です。戸籍等の原本返却を希望する場合は、原本に相違ない旨と記名を付したコピーを添える方法を確認します。
来庁する場合は予約が必要です。顔写真付き公的身分証明書を持参し、請求書はできる範囲で事前に記入しておきます。審査に時間がかかり、証明書の受取りが後日になる場合もあるため、遠方から行くなら郵送受取も相談します。
閲覧は来庁して行います。モニターなら全国の遺言書保管所で利用できますが、原本を見る場合は原本を保管する遺言書保管所へ行きます。閲覧だけでは相続手続き用の証明書を受け取ったことにはならないため、必要なら情報証明書を別に請求してください。
ここまでの完了目安:請求書類を提出し、不足書類の連絡先と証明書の受取方法を確認した。
5. 証明書を受け取り、銀行・登記へ進む
情報証明書を受け取ったら、遺言者名、保管番号、全ページがそろっていることを確認します。遺言の対象となる財産、受け取る人、遺言執行者の指定を読み、銀行や登記の窓口へ提出する資料をそろえます。
法務局に保管されたこの遺言については、家庭裁判所の検認は不要です。相続人に原本が返されるわけではなく、情報証明書を原本に代えて手続きに使います。ただし、証明書を取っただけで預金の払戻しや不動産の名義変更は完了しません。
別の日付の遺言が見つかった、財産の記載が現状と合わない、解釈について家族で意見が分かれる場合は、その資料も残して弁護士などへ相談します。遺言執行者が指定されている場合は、連絡を取り、誰がどの手続きを進めるか確認します。
請求の受付日、証明書の受取日、各提出先へ出した日を分けて控えます。届いた通知も、証明書や返却された戸籍と一緒に保管してください。
この手続きの完了目安:通知の確認から必要な証明書の受領まで終え、銀行・登記など次の手続きの担当と提出先が決まった。
あわせて確認したい手続き
制度・公式案内の確認日:2026年10月5日。必要書類の省略は、通知の種類と請求者の立場を伝え、請求先の遺言書保管所で確認してください。

