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小規模宅地等の特例で実家の相続税を下げる手順|家なき子・老人ホーム入所の要件と申告

小規模宅地等の特例で実家の相続税を下げる手順|家なき子・老人ホーム入所の要件と申告 相続・遺言・死後手続き

親が住んでいた実家の土地は、要件を満たす家族が相続すると「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」で、330㎡までの部分の相続税評価額を80%減らせます。使えるのは、配偶者、同居していた子、持ち家のない別居の子(いわゆる家なき子)などです。親が老人ホームに入っていても、介護認定を受けていたなどの条件を満たせば対象になります。ただし、相続税がゼロになる場合でも申告書の提出が必要で、原則として申告期限までに遺産分割を終えておく必要があります。

情報確認日:2026年10月8日。要件は相続開始の時期によって異なります。最終判断は国税庁の案内や税理士・税務署で確認してください。

手続きの前に用意するもの

  • 実家の土地・建物の登記事項証明書、固定資産税の課税明細書(地積の確認)
  • 親の戸籍(出生から死亡まで)と相続人の戸籍、親の住民票の除票か戸籍の附票
  • 土地を取得する人の住民票・戸籍の附票(過去の住所が分かるもの)
  • 親が老人ホームに入っていた場合は、介護保険証の写し、施設の入居契約書
  • 遺産分割協議書の案、相続人全員の印鑑証明書

1. 実家が「被相続人の居住用」だったかを確認する

特例の対象は、相続開始の直前に親(被相続人)や、親と生計を一にしていた親族が住んでいた家の敷地です。親が最後まで実家で暮らしていたなら、通常はこの条件を満たします。

減額されるのは土地の部分だけで、建物は対象外です。土地が330㎡を超える場合は、330㎡までの部分に80%の減額が適用されます。ほかに事業用や貸付用の土地もあるときは、組み合わせの上限があるため、税理士に相談してください。

ここまでの完了目安:実家の土地が居住用の宅地にあたること、面積がわかった。

2. 誰が取得すると特例が使えるかを判定する

取得する人 主な要件
配偶者 取得するだけで対象。保有・居住の継続は不要
同居していた親族 相続開始の直前から申告期限まで、その家に住み続け、土地を保有し続ける
別居の親族(家なき子) 親に配偶者がいない/親と同居していた相続人がいない/相続開始前3年以内に自分・配偶者・3親等内の親族・関係する法人が所有する国内の家に住んだことがない/相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがない/申告期限まで土地を保有する

「家なき子」の要件は2018年の税制改正で厳しくなりました。たとえば、自分の持ち家がなくても、配偶者の親が持つ家に住んでいれば対象外です。過去3年間の住まいの持ち主を、一つずつ確認してください。

ここまでの完了目安:特例を使える候補者と、その人に必要な継続要件がわかった。

3. 老人ホーム入所中だった場合の要件を確認する

親が亡くなる前に老人ホームへ移り、実家が空き家になっていても、次の条件を満たせば実家の敷地は「居住用だった」と扱われます。

  • 相続開始の直前に、親が要介護・要支援の認定(または障害支援区分の認定)を受けていた
  • 入っていた施設が、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅など、法令で定める施設だった
  • 親が施設に入った後、実家を事業に使ったり、新たにほかの人の住まいとして貸したりしていない

認定は入所時ではなく、相続開始の直前に受けていたかで判断します。介護保険証の写しを保管しておきましょう。

ここまでの完了目安:施設の種類、介護認定、入所後の実家の使い方を確認した。

4. 取得者を決めて、申告期限までに遺産分割をまとめる

特例は、要件を満たす人が実際に土地を取得した部分にだけ使えます。誰が取得するかで税額が大きく変わるため、遺産分割の話し合いの段階で判定結果を共有しましょう。

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。期限までに分割がまとまらないと、原則として特例は使えません。その場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添えて提出し、分割後に更正の請求で特例を適用する方法があります。

「実家の土地は、小規模宅地等の特例が使えるかどうかで相続税が変わります。家なき子の要件に当てはまるのは〇〇なので、土地は〇〇が取得し、代わりに預金を〇〇と△△で分ける案で考えたいです」

ここまでの完了目安:土地の取得者が決まり、申告期限までに遺産分割協議書を作れる見通しが立った。

5. 申告書に特例の明細と添付書類をつけて提出する

特例を使うと相続税がゼロになる場合でも、相続税の申告書の提出が必要です。申告書には特例の計算明細をつけ、遺産分割協議書の写しと印鑑証明書などを添付します。家なき子の場合は過去の住所や住まいの所有関係が分かる書類、老人ホーム入所の場合は介護認定や入居契約が分かる書類も求められます。

申告書の作り方は国税庁の案内に沿って確認できます。土地の評価や要件の判定に不安があれば、提出前に税理士か税務署に相談しましょう。

ここまでの完了目安:特例を適用した申告書を期限内に提出し、控えを保管した。

6. 申告期限まで保有・居住の要件を守る

同居していた親族や家なき子は、申告期限まで土地を保有し続ける必要があります。同居親族はそこに住み続けることも条件です。期限前に売却したり引っ越したりすると、特例が使えなくなります。

実家を売る予定がある場合は、売却の時期を申告期限の後にするか、特例を使わない前提で計算するかを、相続人で事前に決めておきます。

ここまでの完了目安:申告期限までの保有・居住を守り、その後の売却・活用の予定を立てた。

特例を使った場合の計算例

実家の土地(200㎡)の相続税評価額が3,000万円で、家なき子の要件を満たす子が取得した場合の例です。

項目 金額
土地の評価額 3,000万円
特例による減額(330㎡以内なので全体の80%) -2,400万円
特例適用後の評価額 600万円

相続税は遺産全体から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いて計算するため、土地の評価額が下がると、相続税がかからなくなるケースも多くあります。それでも、特例を使う場合は申告書の提出が必要です。

申告で間違えやすい点

  • 共有で相続した:特例が使えるのは、要件を満たす人が取得した持分だけです。
  • 家なき子の3年の判定:単身赴任先の社宅、配偶者の実家に住んでいた期間など、住まいの持ち主を一つずつ確認します。
  • 申告期限前の売却:同居親族・家なき子が期限前に売ると特例が使えません。
  • 親が施設に入った後の実家の使い方:入所後に親族以外へ貸した場合は対象外になります。

よくある質問

相続税がかからないなら、申告しなくてもいいですか?

特例を使わなければ基礎控除の範囲に収まる場合は、申告は不要です。特例を使って初めて税額がゼロになる場合は、申告書の提出が必要です。

二世帯住宅でも使えますか?

建物の構造や登記の仕方(区分登記かどうか)で扱いが変わります。登記事項証明書を持って税理士に確認してください。

相続税の申告は誰に頼めばいいですか?

土地の評価や特例の判定は専門性が高いため、相続税に詳しい税理士への依頼が一般的です。自分で作る場合も、税務署の相談窓口で、特例の要件と添付書類を事前に確認しておきましょう。

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