本文へ移動

相続した実家を売ったときの税金と確定申告|取得費不明5%・取得費加算・税率の計算

相続した実家を売ったときの税金と確定申告|取得費不明5%・取得費加算・税率の計算 相続・遺言・死後手続き

相続した実家を売って利益(譲渡所得)が出たら、売った年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をして、所得税・住民税を納めます。譲渡所得は「売った金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」で計算します。取得費は親が買ったときの金額を引き継ぎ、分からなければ売った金額の5%で計算できます。相続税を納めた人は、相続から3年10か月以内に売れば、払った相続税の一部を取得費に足せる特例もあります。

情報確認日:2026年10月8日。税率や特例は法令改正で変わることがあります。申告の年の国税庁の案内で確認してください。

手続きの前に用意するもの

  • 売買契約書、売却代金の入金記録、仲介手数料などの領収書
  • 親が実家を買ったときの売買契約書・領収書、建築請負契約書(あれば)
  • 相続登記の費用の領収書(登録免許税・司法書士報酬)
  • 相続税の申告書の控え(相続税を納めた場合)
  • 土地・建物の登記事項証明書(親の取得時期の確認用)

1. 親が実家を取得した時期と金額を調べる

相続した不動産は、親が取得した日と取得費をそのまま引き継ぎます。親が何十年も前に買った家なら、相続の直後に売っても長期の扱いになります。

登記事項証明書の「権利部(甲区)」で、親が所有権を取得した日付と原因(売買・新築など)を確認します。購入時の売買契約書や、建築時の請負契約書が実家に残っていないか探してください。通帳の出金記録や住宅ローンの書類も手がかりになります。

ここまでの完了目安:親の取得日と、取得費を示す書類の有無が分かった。

2. 取得費を実額か5%のどちらで計算するか決める

取得費は、親が支払った購入代金や購入手数料などを基に計算します。建物は、所有していた期間の減価償却費相当額を差し引きます。業務に使っていない実家なら、相続人が相続のときに払った登記費用や不動産取得税も取得費に含められます。

取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費にできます(概算取得費)。ただし、この方法を選ぶと相続時の登記費用などは加えられません。実額の書類が一部でも残っていれば、どちらが有利か比べてみましょう。

ここまでの完了目安:取得費の計算方法と金額が決まった。

3. 譲渡費用を集めて、譲渡所得を計算する

譲渡費用は、売るために直接かかった費用です。仲介手数料、売買契約書の印紙代、売るために建物を取り壊した費用、測量費などが含まれます。固定資産税や、片付け・日常の管理にかかった費用は原則として含まれません。

項目 例
売った金額 売買代金(固定資産税の精算金を受け取った場合は加算)
- 取得費 親の購入代金等(建物は減価償却後)/または売った金額の5%
- 譲渡費用 仲介手数料、印紙代、売却のための解体費・測量費
- 特別控除 要件を満たす場合の3,000万円控除など
= 課税譲渡所得 これに税率をかける

共有で相続して売った場合は、持分ごとに各自が計算し、それぞれ申告します。

ここまでの完了目安:特例前の譲渡所得の金額が出た。

4. 使える特例(取得費加算・3,000万円控除)を確認する

相続税額の取得費加算:相続税を納めた人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(おおむね相続から3年10か月)に売った場合、払った相続税のうち、その財産に対応する部分を取得費に加算できます。相続税がかからなかった人は使えません。

空き家の3,000万円特別控除:親が一人で住んでいた昭和56年5月31日以前の家など、一定の要件を満たす実家を売った場合に使える特例です。取得費加算の特例とは併用できず、どちらか有利な方を選びます。要件が細かいため、関連記事で確認してください。

ここまでの完了目安:使える特例と、どれを選ぶかが決まった。

5. 長期・短期の税率を当てはめて税額を見積もる

売った年の1月1日時点で、親の取得日から数えて所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得です。

区分 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
長期(5年超) 15% 0.315% 5% 20.315%
短期(5年以下) 30% 0.63% 9% 39.63%

譲渡所得は、翌年度の住民税のほか、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料の計算にも影響することがあります。売却した人が保険料の高くなる立場か、事前に確認しておくと慌てません。

ここまでの完了目安:おおよその税額と、翌年の住民税・保険料への影響が分かった。

6. 翌年の確定申告期間に申告し、納税する

売った年の翌年2月16日から3月15日までに、確定申告書(分離課税用の第三表)と「譲渡所得の内訳書」を作って提出します。会社員でも申告が必要です。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成し、e-Taxで提出できます。

特例を使うと税額がゼロになる場合も、申告をしないと特例が受けられません。取得費加算の特例を使うときは、相続税の申告書の控えをもとに計算明細を作ります。

「昨年、相続した実家を売りました。取得費の書類がなく、5%で計算するつもりです。相続税も納めています。取得費加算の特例と概算取得費を一緒に使えるか、申告書の書き方を確認したいです」(税務署の電話相談で)

ここまでの完了目安:申告と納税を期限内に終え、書類一式を保管した。

税額の計算例

親が40年前に買った実家を2,000万円で売り、購入時の書類がなく、仲介手数料などの譲渡費用が80万円だった場合の例です(長期譲渡所得、特例なし)。

項目 金額
売った金額 2,000万円
取得費(売った金額の5%) -100万円
譲渡費用 -80万円
課税譲渡所得 1,820万円
税額(20.315%) 約369万7千円

同じ売却で空き家の3,000万円特別控除が使えれば、課税譲渡所得はゼロになります。取得費の書類が見つかるか、特例が使えるかで、税額が数百万円変わることが分かります。

確定申告で用意する主な書類

  • 確定申告書(第一表・第二表・分離課税用の第三表)と譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書、取得費・譲渡費用の領収書の写し
  • 取得費加算の特例を使う場合:相続税の申告書の写しと、特例の計算明細書
  • 空き家の3,000万円控除を使う場合:市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」など

よくある質問

売って損が出たら申告は不要ですか?

利益が出ていなければ、原則として申告は不要です。なお、土地・建物を売って出た損失は、自分が住んでいた家を売った場合の特例などを除き、給与などほかの所得と相殺できないのが原則です。

代金をきょうだいで分けた場合、申告は誰がしますか?

登記上の所有者(共有者)がそれぞれの持分で申告します。一人の名義で売って代金だけ分けると、贈与と見られるおそれがあります。売る前に、遺産分割で持分や換価分割を決めておきましょう。

住民税はいつ払うことになりますか?

確定申告の内容をもとに、翌年度の住民税が計算されます。通常は申告した年の6月ごろに通知が届きます。売却代金のうち、所得税と住民税の分を使わずに残しておきましょう。

あわせて確認したい手続き

出典・確認先

ほかの記事を探す
ホームで目的から探す →
タイトルとURLをコピーしました