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任意後見と法定後見の違いは?始める時期・権限・費用を比較

任意後見と法定後見の違いは?始める時期・権限・費用を比較 成年後見・財産管理

任意後見は、本人が契約内容を理解して決められるうちに、将来の支援者と任せる仕事を決め、公証役場へ相談して公正証書で契約する制度です。法定後見は、判断能力が不十分になった本人を支えるため、家庭裁判所が後見人等を選ぶ制度です。

まず、親が今できる判断と、困っている手続きを整理しましょう。必要な権限と継続費用も含めて比べることが大切です。「家族が支援者を選べるか」だけでは、選びきれません。厚生労働省「成年後見制度の種類」

制度の確認時点は2026年10月1日です。成年後見制度を見直す改正法は成立していますが、以下は現行の手続の説明です。改正内容と施行の区別は2026年の成年後見制度改正で確認してください。

図解:任意後見は監督人選任で始まる

任意後見は監督人選任で始まる。支援開始には監督人の選任が必要
2026年10月確認の現行手続。公正証書で契約 図解は当サイト作成。出典:裁判所:任意後見監督人選任等、本文の資料。2026年10月1日確認。

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図解の内容を文章で読む
  1. 公正証書で契約:本人が支援者と任せる仕事を決める
  2. 変化を把握:判断能力の低下を把握し相談する
  3. 家庭裁判所へ申立て:任意後見監督人の選任を求める
  4. 監督人選任で発効:契約の範囲で本人を代理する

2026年10月確認の現行手続。公正証書で契約

比較の出発点は、親が契約を理解して決められるか

比べる点 任意後見 法定後見
準備・利用の時期 十分な判断能力があるうちに契約 判断能力が不十分になってから申立て
支援者を選ぶ人 本人が契約相手を選ぶ 家庭裁判所が選任
仕事の範囲 契約で定める代理事務 後見・保佐・補助の類型や審判による
支援開始の条件 家庭裁判所の任意後見監督人選任 家庭裁判所の開始審判等
契約の取消し 任意後見人に取消権はない 類型・権限に応じて取消権がある

利用する制度を考えるときは、具体的な契約内容を親が理解し、自分の希望を伝えられるかを確認してください。認知症という診断名だけで一律に決まるものではありません。家族の「まだ大丈夫」という判断だけで、契約を急がせないようにしましょう。

任意後見の開始には、監督人の選任が必要

任意後見の支援が始まるのは、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、契約の効力が生じてからです。判断能力が低下した後、選任を申し立てる必要があります。契約を結んだだけで、任意後見人として親の口座や契約を扱えるわけではありません。

監督人は任意後見人の仕事を確認する立場です。本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者が選任を申し立てられます。本人以外が申し立てる場合は、本人が意思表示できないときを除き、本人の同意が必要です。裁判所「任意後見監督人選任」

例えば、母が長女と任意後見契約を結び、数年後に支払い管理が難しくなったとします。まず、監督人選任の手続きを確認してください。契約書があるだけで、そのまま任意後見人として代行を始めることはできません。発効前の財産管理を別の委任契約で任せている場合は、任意後見契約と権限・費用を分けて考えましょう。

契約範囲と取消権の違いを見落とさない

任意後見人が代理するのは、預貯金管理や介護サービス契約など、契約で定めた事務です。任せたい仕事が契約に含まれているかを確かめてください。本人が不利な契約を結んだ場合でも、任意後見人という資格だけで取り消す権限はありません。和歌山家庭裁判所「任意後見制度」

法定後見を利用する場合も、必要な代理権等が付与されているかを確認してください。保佐人・補助人が、すべての手続きを代理できるわけではありません。支援者は家庭裁判所が選ぶため、家族を候補者にしても、必ず選ばれるとは限りません。裁判所「法定後見の概要」

費用は、契約・発効手続・継続支出に分ける

任意後見の公正証書作成は、基本手数料が1契約13,000円です。登記の収入印紙2,600円、登記嘱託手数料1,600円のほか、証書の枚数、正本・謄本、郵便、出張等に応じた費用が加わります。これは契約作成の費用で、支援を続ける費用ではありません。日本公証人連合会「任意後見契約の費用」

監督人選任の申立てには、収入印紙800円、登記手数料1,400円、郵便料等が必要です。鑑定が必要な場合にはその費用も生じます。

任意後見人の報酬は契約でどう定めるかを確認し、監督人の報酬とは分けて考えてください。監督人の報酬は家庭裁判所が決め、本人の財産から支払います。家族が無報酬で任意後見人を務める場合も、監督人の費用は別に確認が必要です。裁判所「任意後見制度の概要」

相談に持っていくのは、制度名より困りごとのメモ

  • 親が自分でできること、説明や付き添いがあればできること
  • 手続が止まっている口座、介護契約、不動産等と期限
  • 希望する支援者、本人の希望、家族間の意見の違い
  • 月の収入・支出、財産、既にある契約書

将来の契約は公証役場、今の支援全体は自治体の成年後見相談窓口や地域包括支援センターに相談できます。権限や契約条件で迷うときは、弁護士等に聞いてください。

例:離れて暮らす父には、契約と見守る体制の両方が必要

以下は制度選びを考えるための架空の例です。父は一人暮らしで、日々の支払いは自分でできています。長女は遠方に住み、父から「今は自分で決める。将来、難しくなったらあなたに頼みたい」と言われています。

この例では、父が何を任せるかと、判断能力の低下を誰が把握して監督人選任につなぐかを相談してください。父と長女が年に数回しか会わない場合は、変化に気づく方法も必要です。契約書を保管するだけでは、支援開始の時期を見逃すおそれがあります。

本人の希望を聞き、連絡頻度、支払い忘れが増えたときの連絡先、医療・福祉の担当者との情報共有の方法を決めてください。見守る体制と、監督人選任によって契約を発効させる手続きを、それぞれ用意する考え方です。裁判所「任意後見監督人選任」

父が既に契約内容を理解できず、預金の手続きも止まっている場合は、今必要な支援を相談してください。将来の任意後見契約を作ることだけに時間を使わないようにしましょう。契約できるかは、公証人が本人や関係者の説明、医師の診断等を参考に個別に判断します。診断名や家族の印象だけで決めるものではありません。日本公証人連合会「判断能力がやや低下した場合」

契約前に、見積書の4項目を確認する

見積もりでは、同じ仕事を頼む条件で比べてください。「契約作成」の費用なのか、「将来の支援開始まで」の費用も含むのかを確かめましょう。これらを混ぜて比べると、後から加わる費用を見落とします。

費用の区分 確認したい内容
公正証書・登記等 基本料、追加枚数、正本・謄本、郵便、出張の有無
契約の相談・作成支援 専門家報酬、修正回数、契約範囲の確認を含むか
別の契約 財産管理委任や見守り等を組み合わせるか、その費用
発効後 任意後見人の報酬、監督人の報酬、実費の扱い

公正証書の基本手数料13,000円を、契約に関する総額として案内している見積もりは、内訳を確かめましょう。日本公証人連合会は、別の財産管理等の委任契約も結ぶ場合、その契約についてさらに手数料が必要になると説明しています。日本公証人連合会「作成費用」

長女が無報酬で支援する場合も、監督人の報酬は別に確認してください。監督人への報酬の有無と金額は、家庭裁判所が判断します。

初回相談で聞くと、支援の空白を見つけやすい質問

  • 今困っている仕事は、任意後見の発効前に誰がどんな権限で扱いますか。
  • 親の判断が変わったとき、誰が監督人選任の相談・申立てを進めますか。
  • 預金、住まい、介護契約のうち、契約案に入っていない仕事はありますか。
  • 支援者候補が病気になった場合、どんな備えが考えられますか。

相談先の回答を聞いたら、「この仕事を長女に任せる」という内容を、父本人に具体例で説明して確かめてください。本人の希望を、家族全員が便利だと感じる契約に置き換えないようにしましょう。

とりあえず申し立て、合わなければ撤回できますか?

費用や契約範囲を調べる相談と、正式な申立ては分けて考えてください。任意後見監督人選任の申立て後は、取り下げるにも家庭裁判所の許可が必要です。裁判所「任意後見制度の概要」

よくある疑問

任意後見なら、家族だけで完結できますか?

契約相手が家族の場合も、発効には裁判所による監督人選任が必要です。任意後見人は、報告や監督を受けながら仕事を進めます。

既に認知症なら、任意後見は絶対に使えませんか?

契約内容を理解して、自分で決められるかを確認してください。認知症という診断名だけで、一律に決まるものではありません。判断能力が十分でない場合は、法定後見等を含めて相談しましょう。

家族信託があれば、後見は不要ですか?

財産管理と、介護サービス契約などの支援は範囲が異なります。家族信託と成年後見の比較も併せて確認してください。

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