成年後見を受けていた親が亡くなると、後見は終了します。家族はまず後見人へ連絡してください。後見人は、死亡の報告、終了登記、財産管理の収支計算、財産の引継ぎを進めます。家族は、これと並行して相続の手続きを進めます。この記事は法定後見の「成年後見」を中心とする、2026年10月5日時点の手順です。
情報確認日:2026年10月5日。窓口、様式、受付方法は手続きをする地域・機関の最新案内を確認してください。
手続きの前に用意するもの
- 家庭裁判所の事件番号、後見人・後見監督人の氏名と連絡先
- 死亡日、死亡診断書の写しや死亡記載のある戸籍等
- 後見登記番号、財産目録、通帳・残高資料、未払費用の請求書
- 相続人候補・遺言の有無と、財産を引き継ぐ人を確認する資料
1. 後見人と家庭裁判所へ死亡を知らせる
家族は、死亡日と現在の状況を後見人へ伝えます。自分が後見人を務めている場合は、事件を扱っていた家庭裁判所へ連絡してください。後見人は、死亡の報告書式、添付書類、終了時の報告期限を裁判所に聞きます。後見監督人がいる場合は、その人にも知らせます。
死亡届は市区町村へ、後見関係の死亡報告は家庭裁判所へ提出します。家族と後見人で、それぞれ誰が提出するかを決めてください。
「事件番号〇の成年被後見人〇が、〇月〇日に亡くなりました。私は後見人/家族です。死亡報告の書式と添付資料、管理計算・終了報告の提出期限、報酬申立ての扱いを確認したいです」
ここまでの完了目安:後見人・裁判所・監督人への連絡が済み、提出先と担当が決まった。
2. 死亡後の支払い・払戻しは、後見人の権限と許可を確認する
死亡後に成年後見人ができるのは、限られた「死後事務」です。相続人が財産を管理できるようになるまでの間に必要があり、相続人の意思に反することが明らかな場合を除いて認められます。行う契約や払戻しごとに、権限と許可の要否を確かめてください。
特定の財産を保全する行為や、支払期限が来た借金・未払費用の支払いについて、成年後見人はその行為が認められる条件を確認します。支払いのために親名義の預貯金を払い戻す場合は、裁判所の許可の対象になります。
裁判所は、電気・ガス・水道の解約、施設に残った物を預けて保管してもらう契約(寄託契約)、火葬・埋葬の契約なども許可の対象として案内しています。火葬・埋葬の許可に、葬儀一式の契約は含まれません。
後見人自身が相続人として行う場合は、この許可は不要とされます。相続人として行える範囲と、他の相続人との調整は確認してください。保佐人・補助人・任意後見人の権限は、成年後見人と同じ扱いにはできないため、事件を扱う裁判所へ相談します。
ここまでの完了目安:支払う費用、行う契約、行為者、許可の要否を整理した。
3. 必要な死後事務の許可を申し立てる
許可の申立ては、成年後見人が、後見開始を決めた家庭裁判所へ行います。申立書と、死亡診断書等の写し、または死亡記載のある戸籍等を用意してください。払戻しでは、通帳や請求書など、行為の根拠となる資料を裁判所が求める場合もあります。
申立手数料は、裁判所の共通案内で収入印紙800円分です。1通の申立書で複数の許可を求める場合も800円分です。後見人は、郵便料等を申立先の裁判所に聞いてください。必要書類と申立先は裁判所の死後事務許可の案内で確認できます。追加資料や判断までの日数は案件によるため、火葬日や支払期限が迫る場合はその事情を伝えてください。
許可を得た後、後見人は認められた範囲で手続きを行い、契約書・請求書・領収書を保管します。相続人が財産を管理できるようになったら、その人へ管理を引き継ぎます。
ここまでの完了目安:必要な許可を確認して処理し、支出の根拠資料を残した。
4. 東京法務局へ後見終了の登記を申請する
後見が終了したことを登記簿に記録する申請先は、東京法務局後見登録課です。家庭裁判所への死亡報告とあわせて、この申請も必要です。申請者は、終了の登記申請書に親の情報、対象の登記が分かる事項、終了日等を記入します。
後見人等として登記されている人や、亡くなった親の四親等内の親族などが申請できます。死亡を証する資料は、法務局が住民基本台帳ネットワークで死亡を確認できるか等によって扱いが変わります。申請者は、最新の記載例で添付書類を確認してください。
終了登記の手数料は無料で、戸籍取得や郵送等の費用は別にかかります。法務局から申請者への登記完了の連絡はありません。申請者は控えを保管し、完了を確かめる必要がある場合は法務局へ方法を問い合わせてください。
ここまでの完了目安:終了登記の申請控えがあり、不足資料の連絡に対応できる。
5. 原則2か月以内に財産管理の計算をする
後見人は、任務終了から原則2か月以内に、管理していた財産の収支を計算します。生前から終了までに入ったお金、支払ったお金、残っている財産を明らかにする作業です。後見人は、その内容を相続人等へ示します。裁判所への終了報告も、裁判所が求める内容に従って提出します。裁判所の家事事件Q&Aでも、この二つを分けて案内しています。
後見人は、通帳、現金、有価証券、不動産関係書類、未払費用や借金、預り品を財産目録と照らし合わせます。死亡後に認められた範囲で支払った費用も、日付と根拠が追えるよう記録してください。
資料不足や相続人の確認が長引き、期限に間に合わない見込みなら、後見人は期限前に家庭裁判所へ連絡してください。計算の期限を延ばす手続きなどを相談します。後見人の報酬を求める場合は、裁判所の手続きに従い、認められた額で精算します。
ここまでの完了目安:収支と残存財産が一致し、期限内の計算・報告の見通しが立った。
6. 相続人等へ財産を引き継ぎ、終了報告を出す
後見人は、相続人を示す資料や委任内容を基に、財産を受け取る人の権限と、他の相続人との関係を確認します。連絡した順番で引継ぎ先を決めるのではなく、受け取る権限を確かめます。受領書には、引継日、受取人、通帳・現金・書類等の内訳を記録してください。
相続人がいるか分からない場合や、引継ぎ先で争いがある場合は、後見人が裁判所等へ相談します。相続財産を扱う人を裁判所に選んでもらう手続きが必要になる場合もあります。その役割が「相続財産清算人」や「相続財産管理人」です。
後見人は、裁判所が求める終了報告・財産目録・引継資料を提出し、不足資料の連絡にも対応します。家族はこれと並行して、遺産分割、銀行の相続手続き、税の申告を進めてください。後見の終了手続きと、家族側の相続手続きは、それぞれ期限を管理します。
ここまでの完了目安:引継ぎの証拠と終了報告の控えがあり、追加対応と家族の相続手続きを分けて管理できる。
家族が後見人でも、相続人として受け取る財産と区別する
家族が後見人を務めていた場合も、管理していた親のお金と、相続人として受け取る財産を記録上区別します。葬儀代や立替金の精算は、支払いの根拠と相続人間の扱いを確認してから進めてください。
制度改正の説明を読むときは、施行日も確認します。現在の終了手続きには、事件を扱う裁判所の案内に従い、未施行の内容を先取りして適用しないでください。
あわせて確認したい手続き
出典・確認先
- 裁判所|裁判手続 家事事件Q&A
- 裁判所|成年被後見人の死亡後の火葬・埋葬等に関する許可
- 東京法務局|死亡の登記申請について(終了の登記)
- 岡山家庭裁判所|成年後見の手続案内
- 大阪家庭裁判所|成年後見制度

