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相続した農地の届出と手放し方|農業委員会への3条の3届出・貸す・売る・国庫帰属

相続した農地の届出と手放し方|農業委員会への3条の3届出・貸す・売る・国庫帰属 実家じまい・空き家

親から農地を相続したら、法務局での相続登記とは別に、農地のある市町村の農業委員会へ「農地法第3条の3」の届出をします。期限は、農地の権利を取得したことを知った日からおおむね10か月以内です。届出をしないと10万円以下の過料の対象になります。自分で耕作できない場合は、農業委員会に貸し手・買い手探しを相談し、貸す・売る・転用する・国に引き取ってもらう、の順に検討します。

情報確認日:2026年10月8日。届出書の様式、添付書類、相談窓口は農業委員会ごとに違います。農地の所在地の最新案内を確認してください。

手続きの前に用意するもの

  • 農地の登記事項証明書(地目が「田」「畑」か、現況はどうか)
  • 固定資産税の課税明細書か名寄帳(親名義の農地をもれなく把握するため)
  • 遺産分割協議書、または相続登記の完了証(届出の添付資料として求められることがあります)
  • 農地の場所が分かる地図、現況の写真、これまで耕作・管理していた人の連絡先
  • 代理人が届け出る場合は委任状と本人確認書類

1. 親名義の農地と、現在の使われ方を調べる

実家の周りの田畑だけでなく、離れた場所の農地や、すでに荒れている農地も届出の対象です。名寄帳で親名義の土地を一覧にし、地目が田・畑のものを抜き出します。登記上は田畑でも、現況が宅地や山林になっている場合は、扱いを農業委員会に確認してください。

近所の人や親族に貸していた農地は、口約束のこともあります。誰が耕作しているか、賃料や年貢のやり取りがあるかを聞き取り、記録しておきます。

ここまでの完了目安:親名義の農地の一覧と、各農地の利用状況が分かった。

2. 誰が農地を相続するか決め、相続登記を進める

農地も他の遺産と同じく、遺言か遺産分割で取得する人を決めます。法定相続人が相続や遺産分割で取得する場合は、農地法の許可はいりません。一方、相続人でない人が遺言で農地を譲り受ける(特定遺贈)場合は、農地法第3条の許可が必要です。

相続登記は2024年4月から義務になっています。取得者が決まったら、法務局で名義変更をしましょう。

ここまでの完了目安:農地の取得者が決まり、相続登記の準備ができた。

3. 農業委員会へ3条の3の届出を出す

届出先は、農地がある市町村の農業委員会です。複数の市町村に農地があれば、それぞれに届け出ます。届出書には、取得者の住所・氏名、農地の所在・地番・面積、権利取得の原因と日付、今後の利用の意向などを書きます。様式は各農業委員会のウェブサイトで入手できます。

「〇月に亡くなった父から〇〇地区の畑を相続しました。農地法第3条の3の届出をしたいです。私は遠方に住んでいて耕作できないため、貸し出しや売却の相談もあわせてお願いできますか。届出に添付する書類を教えてください」

届出書の「農地の利用の意向」欄で、貸したい・売りたい意向を伝えると、農業委員会が借り手探しなどの支援を案内してくれることがあります。

ここまでの完了目安:届出を提出し、受理の控え(希望した場合)を受け取った。

4. 自分で耕作するか、貸す・売るかを決める

農地は、耕作されないまま放置すると雑草や害虫で周囲の農地に迷惑をかけます。1年以上耕作されていない農地は、農業委員会の利用意向調査の対象になることもあります。続けられるかどうかを早めに判断しましょう。

選択肢 主な相談先 ポイント
自分や家族で耕作 — 草刈りだけでも続ける体制が必要
貸す 農業委員会、農地中間管理機構(農地バンク) 機構を通すと賃料の受け取りや返還の取り決めが明確になる
農地のまま売る 農業委員会、地元の農家・JA 買い手は農業をする人に限られ、農地法第3条の許可が必要
転用して売る・使う 農業委員会、市町村の都市計画担当 農地区分によって転用が難しい場合がある

ここまでの完了目安:農地ごとに、耕作・貸す・売る・転用のどれで進めるか決めた。

5. 貸す・売る・転用する場合の許可や手続きを確認する

農地を農地のまま貸したり売ったりするには、原則として農業委員会の許可(農地法第3条)が必要です。農地中間管理機構を通して貸す場合は、別の手続きで権利が設定されます。

農地を住宅や駐車場などに変える「転用」は、自分で転用するなら第4条、転用目的で売買・貸借するなら第5条の許可(市街化区域内は届出)が必要です。農業振興地域の農用地区域にある農地は、原則として転用できません。区域の確認は市町村の農政担当で行えます。

ここまでの完了目安:必要な許可の種類と、申請の時期・窓口が分かった。

6. 手放せない場合は国庫帰属などの方法を検討する

借り手も買い手も見つからない場合、相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」を利用できることがあります。農地も対象ですが、審査手数料と、承認後に10年分の管理費相当額の負担金が必要です。土地の状態によっては対象外になります。

農地のほかに財産がほとんどなく、借金もあるような場合は、相続放棄も選択肢です。ただし、相続放棄は農地だけでなく全ての財産を手放すことになり、原則として相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

ここまでの完了目安:手放す方法の候補と、申請の準備に必要なことが分かった。

放置した場合に起きること

耕作されない農地は、雑草や病害虫、不法投棄の原因になり、近隣の農家とのトラブルにつながります。農業委員会は毎年、農地の利用状況を調べており、遊休農地と判断されると、所有者に今後の利用の意向を確認する調査が行われます。意向どおりに利用されないまま農地中間管理機構との協議の勧告を受けると、その農地の固定資産税の評価が引き上げられる(約1.8倍)仕組みもあります。

相続放棄をした場合でも、放棄の時点で農地を現に占有していた人は、次に管理する人に引き渡すまで、その財産を保存する義務を負います。放棄すれば何もしなくてよい、とは限りません。

届出書を書くときのポイント

  • 地番・地目・面積は登記事項証明書のとおりに書く(現況が違う場合は備考欄に記載)
  • 相続人が複数で共有している場合は、共有者全員の氏名と持分を書く
  • 「今後の利用の意向」は、自作・貸付希望・売却希望など、今の考えを正直に書く
  • 遺産分割がまだなら、その旨を伝えて提出方法を相談する

よくある質問

相続登記をしたら、農業委員会への届出は不要ですか?

不要にはなりません。登記と届出は別の手続きです。登記を済ませても、農業委員会への届出は必要です。

生産緑地を相続しました。何が違いますか?

相続税の納税猶予や、市町村への買取りの申出など、生産緑地特有の手続きと期限があります。相続税の申告期限(10か月)に関わるため、早めに市町村と農業委員会に相談してください。

遺産分割がまとまる前に10か月が過ぎそうです。

農業委員会に事情を伝えて相談してください。相続人全員の共有として届け出る扱いをする委員会もあります。期限を過ぎてから黙って放置するより、早めに連絡しておくことが大切です。

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