訪問介護で頼めること・頼めないこと|身体介護と生活援助の確認表

Featured image 198 5d55c9e57a35bb4005cbebdf55305cc3.png 施設・在宅介護

訪問介護を頼めば、掃除も買い物も家族の食事作りも任せられる。そう考えて契約すると、利用開始後に「それは介護保険ではできません」と言われることがあります。

介護保険の訪問介護は、本人が自宅で生活するために必要な援助を、ケアプランと訪問介護計画に沿って行うサービスです。家事代行サービスとは目的と範囲が違います。

この記事では、訪問介護の身体介護・生活援助・通院等乗降介助を分け、頼めること、原則として頼めないこと、判断が分かれる場面を具体的に整理します。

訪問介護は本人の在宅生活と自立を支えるサービス

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、訪問介護を、ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、食事・排せつ・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助を行うサービスと説明しています。

すべての希望をその場で頼めるわけではありません。本人の心身の状態、住まい、家族の支援状況を確認し、ケアマネジャーが作成するケアプランと、訪問介護事業所が作成する訪問介護計画に必要な支援を位置付けます。

要介護1~5の人が在宅で利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ相談します。要支援1・2の人は、市区町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスを利用することがあるため、地域包括支援センターへ確認してください。

まだ要介護認定を受けていない場合は、先に認定申請や地域包括支援センターへの相談が必要です。

訪問介護の内容は三つに分けて考える

訪問介護の主な内容は次の三つです。

区分主な内容判断の中心
身体介護食事・排せつ・入浴などの直接介助に加え、自立支援・重度化防止のための見守り的援助など本人の状態、援助の目的、安全確保、ケアプラン上の必要性
生活援助掃除、洗濯、調理、買い物、薬の受け取りなど日常生活上の援助本人が生活するために必要か
通院等乗降介助通院などの乗車・降車、移動、受診手続き等の介助ケアプランに必要性が位置付けられているか

一回の訪問で身体介護と生活援助を続けて行う場合もあります。家族が「掃除を1時間お願いしたい」と時間だけを指定するのではなく、どの生活上の問題を解決するための訪問かをケアマネジャーと決めます。

身体介護で頼める主なこと

身体介護には、本人の身体に直接触れる介助と、その準備・後片付けのほか、本人と一緒に行う自立支援・重度化防止のための援助も含まれます。直接手を添える時間だけでなく、安全を確保し、必要なときにすぐ介助できる状態で行う見守り的援助も対象になる場合があります。

主な例は次のとおりです。

  • ベッドからの起き上がり、就寝の介助
  • 体位変換
  • 車いすやいすへの移乗
  • 室内の移動や歩行の介助
  • トイレへの誘導、排せつ介助、おむつ交換
  • 食事姿勢の調整、食事介助、水分摂取の介助
  • 全身浴、部分浴、清拭、洗髪の介助
  • 洗面、口腔ケア、整髪、ひげそりなどの整容
  • 衣服の着脱介助
  • 起床・就寝時の介助
  • 決められた条件のもとで行う服薬介助
  • 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助

「見守り」は、ヘルパーが何もしないまま付き添うことではありません。たとえば、転倒の危険がある人が自分で服を選んで着替える際に、声をかけ、安全を確認し、必要な部分だけ介助するなど、本人の能力を生かす目的で行います。

食事介助では、配膳だけでなく、姿勢を整える、食べやすい形にする、摂取を介助する、食後の状態を確認する、食べこぼしを片付けるといった一連の行為が含まれる場合があります。具体的な内容は本人の状態と計画で決まります。

一緒に行う調理や買物が身体介護になる場合もある

家事だから必ず生活援助になるとは限りません。ヘルパーが本人に代わって行う家事と、本人ができる動作を続けられるよう支える援助では、目的が異なるためです。

厚生労働省の通知は、身体介護に当たる見守り的援助の例として、本人と調理や後片付けをしながら危険や疲れを確認する支援、移動を介助して店へ行き、本人が商品を選べるようにする支援などを挙げています。

場面事前に確認すること
本人と一緒に調理する本人が担う作業、火や刃物への注意、疲れたときにヘルパーが介助する範囲
本人と買物に行く移動時の介助と、本人が品物を選ぶために必要な支援
本人と洗濯物を干す・たたむ本人が続けられる動作と、転倒を防ぐ見守り・声かけの必要性

ただ一緒に作業するだけで身体介護になるわけではありません。本人の状態に応じて、どの動作に支援が必要で、どのように安全を確保するかをケアマネジャーとサービス提供責任者に確認し、ケアプランと訪問介護計画に反映します。家事の名前や希望する料金区分だけで決めないでください。

根拠:厚生労働省「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」(平成30年3月30日通知・新旧対照表の改正後欄)

追記部分の確認日:2026年8月31日。支援内容と介護保険上の取扱いは、本人の状態・計画に基づき、ケアマネジャー・事業所・市区町村で確認してください。

生活援助で頼めるのは本人の日常生活に必要な家事

生活援助は、本人が単身で生活している場合や、本人または家族が障害、病気、その他やむを得ない事情によって家事を行うことが難しい場合に利用します。

主な例は次のとおりです。

  • 本人が使う部屋の掃除
  • 本人が使うトイレ、浴室、洗面所などの掃除
  • ごみ出し
  • 本人の衣類や寝具の洗濯
  • 本人のベッドメイク
  • 本人の衣類の整理、簡単な補修
  • 本人が食べる日常的な食事の調理と後片付け
  • 本人の日用品や食材の買い物
  • 処方薬の受け取り

掃除できる場所は、本人が日常生活で使う範囲が基本です。夫婦で使う台所やトイレなど、本人専用と分けられない場所は、本人の生活に必要な範囲と方法をケアマネジャー、事業所と確認します。

買い物では、本人に必要な食料や日用品を扱います。家族分の食材、たばこ、酒、贈答品など、本人の日常生活の維持に必要とは判断されにくい品は対象外になることがあります。購入品、予算、店、現金とレシートの扱いを事前に決めてください。

原則として介護保険では頼めないこと

介護保険の訪問介護は、家全体の家事や家族の用事を引き受ける制度ではありません。厚生労働省の案内でも、利用者以外のための家事や、日常生活の範囲を超える行為は対象外とされています。

原則として対象外の例対象外とされる理由
家族分の調理、洗濯、買い物利用者本人への援助ではない
家族が主に使う部屋の掃除利用者本人の日常生活に直接必要ではない
来客へのお茶や食事の用意来客対応は本人の通常の生活援助ではない
ペットの散歩、餌やり、世話ペットへのサービスになる
草むしり、花木の水やり、庭掃除日常的な家事の範囲を超える
窓ガラス、換気扇、エアコンの大掃除日常的な掃除ではなく特別な清掃に当たる
家具の移動、模様替え、修理日常の生活援助の範囲を超える
正月料理など特別な手間をかける調理日常的な調理とは異なる
農作業、店番、商品の販売本人の生業を手伝う行為になる
通帳・印鑑の預かり、投資や契約の代理判断訪問介護の範囲を超え、財産管理上の危険がある

「できない」と言われた家事でも、民間の家事代行、自治体の生活支援、シルバー人材センター、配食、ボランティアなどで対応できる場合があります。介護保険外サービスを同じ事業者が提供する場合は、介護保険分と自費分の時間、料金、契約を分けて確認します。

同居家族がいても生活援助が一律に使えないわけではない

同居家族がいると、生活援助は絶対に利用できないと思われがちです。しかし、厚生労働省の介護サービス関係Q&Aでは、同居家族がいることだけを理由に、一律・機械的に介護給付の可否を決めないよう示しています。

同居家族がいる場合は、次のような事情を個別に確認します。

  • 同居家族に障害や病気があり、家事が難しい
  • 同居家族も高齢で、介護や支援を受けている
  • 同居家族が日中や夜間に就労している
  • 家族関係や生活時間帯から必要な支援を行えない
  • 認知症などにより、家族だけでは安全を確保できない
  • 同居家族が育児や別の家族の介護を担っている

ただし、「家族が忙しい」と伝えるだけで自動的に利用できるわけでもありません。本人と家族ができること、できないこと、家族が不在になる曜日と時間、他のサービスで補えることを確認し、生活援助が必要な理由をケアプランに記載します。

反対に、別居の子どもが近くに住んでいるという理由だけで、毎日の家事をすべて担えると決めつけることもできません。距離、仕事、子育て、健康状態、介護頻度を具体的に伝えてください。

服薬介助と医療行為は事前の確認が必要

訪問介護の身体介護には服薬介助が含まれますが、ヘルパーが薬の種類や量を判断して飲ませるものではありません。

厚生労働省の「原則として医行為ではない行為」の資料では、本人の病状が安定していることなどの条件を医師、歯科医師または看護職員が確認し、処方・服薬指導・保健指導に従い、あらかじめ利用者ごとに分けられた薬の使用を介助する場合などが示されています。

訪問開始前に次を確認します。

  • 薬の名称、用量、服用時刻
  • 一包化や服薬カレンダーの利用
  • 飲み忘れや重複服用があったときの連絡先
  • 体調不良や拒否があったときの対応
  • 訪問看護や薬剤師による支援の必要性

血圧や血糖値などの測定結果から、その場で投薬の要否を判断することは医療上の判断です。家族が口頭で「高ければこの薬を増やして」と頼むのではなく、主治医、看護師、薬剤師を含めて手順を決めます。

たんの吸引や経管栄養は、どのヘルパーでも行えるものではありません。一定の研修を修了した介護職員と登録事業者が、医師・看護職と連携するなどの要件があります。必要な場合は、対応できる事業所かをケアマネジャーへ確認してください。

買い物と現金の扱いは記録方法まで決める

生活援助として買い物を頼む場合、トラブルになりやすいのは現金と購入品です。

事前に次を決めます。

  • 一回の予算上限
  • 購入する品目と代替品の可否
  • 利用する店舗
  • ポイントカードを使うか
  • 現金の受け渡し方法
  • レシートと釣り銭の確認方法
  • 商品が売り切れていた場合の連絡方法

通帳、キャッシュカード、暗証番号をヘルパーへ渡して現金を引き出してもらうことは避けます。金銭管理が難しくなっている場合は、家族だけで抱えず、地域包括支援センターや社会福祉協議会へ日常生活自立支援事業などを相談します。

通院等乗降介助は運賃まで介護保険になるわけではない

通院等乗降介助は、要介護者に対し、訪問介護員が自ら運転する車両への乗車・降車を介助し、乗車前後の移動や受診手続きなどを一連で支援するサービスです。すべての訪問介護事業所が実施しているわけではありません。

利用するには、通院等に必要であること、乗降時の介助が必要な理由などをケアプランへ位置付けます。単にタクシーの代わりとして送迎だけを頼むサービスではありません。

また、車両で移送するための運賃は介護保険の対象外です。介助の利用者負担とは別に、運賃、待機料金、迎車料金などがかかる可能性があります。契約前に次を確認します。

  • 自宅内の準備や玄関までの移動を支援するか
  • 病院内の受付や移動をどこまで支援するか
  • 診察中の待機に対応するか
  • 往路と復路の予約方法
  • 介護保険の自己負担と運賃の内訳
  • キャンセル料と時間変更の扱い

院内介助は、病院側の対応や本人の状態によって扱いが変わります。家を出てから帰宅するまで誰がどの部分を支援するかを、ケアマネジャー、事業所、病院と確認してください。

利用開始前に一回の訪問内容を具体化する

訪問介護を始めるときは、「週2回、掃除と食事をお願いする」だけでは不十分です。一回の訪問で何を、どの順番で、どこまで行うかを具体化します。

確認項目具体例
訪問の目的安全に入浴する、昼食を食べる、衛生的な寝室を保つ
曜日・時間火曜と金曜の午前、通院日は変更する
身体介護浴室までの移動、洗身、着替え
生活援助本人の寝室とトイレの掃除、洗濯
本人が行うこと洗濯物を分ける、調理の盛り付けをする
家族が行うこと日用品の購入、通院予約、週末のごみ出し
緊急時転倒、発熱、応答がない場合の連絡順
記録方法連絡ノート、事業所の記録、家族への連絡条件

初回訪問には可能なら家族も立ち会い、入室方法、鍵、貴重品、ペット、火の元、緊急連絡先を確認します。合鍵を預ける場合は、保管、持ち出し、返却のルールを書面で確認してください。

頼みたい内容を断られたときの確認順

ヘルパーから「できません」と言われたとき、その場で押し問答をせず、理由を分けて確認します。

  1. 介護保険の対象外なのか
  2. ケアプランや訪問介護計画に入っていないのか
  3. 本人の状態が変わり、安全に実施できないのか
  4. その事業所では対応できないのか
  5. 時間内に予定した支援を終えられないのか

計画に入っていない支援が新たに必要になった場合は、ヘルパー個人へ頼み続けず、ケアマネジャーとサービス提供責任者へ連絡します。本人の状態が変わったなら、サービス担当者会議やケアプランの見直しを相談します。

介護保険外の家事代行や自治体サービスで補う場合も、訪問時間が重ならないか、事故時の責任、料金を確認してください。

訪問介護を頼むときの確認表

  • 要介護認定の区分と有効期間を確認した
  • 要支援の場合は地域包括支援センターへ訪問型サービスを確認した
  • 訪問介護で解決したい生活上の問題を書き出した
  • 本人が自分でできることを確認した
  • 家族ができることと、できないことを分けた
  • 家族が不在になる曜日と時間を確認した
  • 身体介護と生活援助を分けて説明を受けた
  • 一回の訪問内容と順番を確認した
  • 掃除する部屋と場所を決めた
  • 調理する人と食事の範囲を決めた
  • 買い物の品目、予算、現金管理を決めた
  • 服薬介助の条件と連絡先を確認した
  • 医療的な支援は主治医・看護職と相談した
  • 通院介助は自宅から院内までの担当を確認した
  • 介護保険の自己負担と保険外費用を分けて確認した
  • キャンセル料と日程変更の期限を確認した
  • 合鍵の保管・返却方法を書面で確認した
  • 貴重品と通帳・暗証番号を渡さないようにした
  • 緊急時の家族への連絡順を決めた
  • 連絡ノートなど記録の共有方法を決めた
  • 頼めない家事を補う別サービスを確認した
  • 状態が変わったときの連絡先を確認した

関連記事

参考にした公的情報

本記事は2026年8月24日時点の公的情報をもとに、介護保険による訪問介護の一般的な範囲を整理したものです。実際に利用できる支援は、本人の要介護度、心身の状態、家族状況、ケアプラン、市区町村の総合事業、事業所の体制によって異なります。契約前にケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問介護事業所へご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました