要介護認定の申請方法|必要書類・主治医意見書・結果まで

Featured image 195 78b995c238ad423ad2583d108c122af9.png 介護保険・要介護認定

親が一人で入浴できなくなった。薬の飲み忘れが増えた。退院後はベッドや訪問介護が必要になりそうだ。こうしたとき、介護保険サービスを利用する入口になるのが要介護・要支援認定の申請です。

申請先は、家族が住む市区町村ではなく、原則として親の住民票がある市区町村です。申請後は認定調査と主治医意見書の作成が行われ、介護認定審査会の判定を経て結果が通知されます。

この記事では、初めて申請する家族が準備するもの、申請後の流れ、結果を待つ間に介護が必要な場合の相談方法まで、順番に整理します。

介護サービスが必要になりそうなら早めに相談する

要介護認定は、「寝たきりになってから申請するもの」ではありません。次のような変化が続き、本人や家族だけでは生活を支えにくくなったときが相談の目安です。

  • 一人で入浴するのが難しくなった
  • 立ち上がりや歩行に支えが必要になった
  • トイレの失敗や後始末が増えた
  • 食事の準備や服薬管理ができなくなった
  • 認知症による外出、火の不始末、金銭管理の心配がある
  • 家族が毎日通わなければ生活できない
  • 入院中で、退院後に介護用ベッドや訪問サービスが必要になりそうだ

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、介護保険サービスを利用するには、まず市区町村で要介護認定を申請すると案内しています。ただし、要介護認定を受けなくても利用できる介護予防・生活支援サービスがあるため、どちらが合うか分からない段階では地域包括支援センターへ相談できます。

「認定されるほどではないかもしれない」と家族だけで判断せず、親の生活で困っている場面を具体的に伝えてください。

65歳以上と40~64歳では認定の条件が違う

介護保険の対象者は、年齢によって二つに分かれます。

区分対象者要介護認定を受ける条件
第1号被保険者65歳以上介護や支援が必要になった原因を問わず申請できる
第2号被保険者40~64歳の医療保険加入者介護が必要になった原因が、介護保険法令で定める16の特定疾病であることが必要

40~64歳の人は、事故によるけがなど、特定疾病以外の原因で介護が必要になっても、介護保険の要介護認定の対象にはなりません。脳血管疾患、初老期における認知症、末期がんなどが特定疾病に含まれますが、病名だけで決まるわけではありません。主治医と市区町村の介護保険担当窓口へ確認します。

申請先は親の住民票がある市区町村

申請先は、原則として親の住民票がある市区町村の介護保険担当窓口です。親と離れて暮らす子どもが自分の住所地の役所へ申請するものではありません。

市区町村によっては、地域包括支援センターでも申請を受け付けています。本人や家族のほか、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設などへ提出の代行を依頼できる場合もあります。

ただし、申請日が「家族が申請書を書いた日」ではなく、市区町村が申請書を受理した日になる扱いもあります。郵送や代行を利用するときは、いつが申請日になるかを確認してください。

親が施設へ入所して住民票を移している場合や、住所地特例の対象施設に入っている場合は、保険者が現在の居住地と異なることがあります。介護保険被保険者証に記載された保険者名を確認し、分からなければ施設または市区町村へ問い合わせます。

市外へ引っ越すときは14日以内に認定の引継ぎを申請する

要介護・要支援認定を受けている親が一般住宅などへ市外転居し、介護保険の保険者が変わる場合、転入日から14日以内に転入先の市区町村へ申請すると、原則として改めて介護認定審査会の審査を受けずに、前住所地の要介護度・要支援区分を引き継げます。14日は、転入届を書いた日ではなく、新しい自治体へ転入した日から数えます。

時点家族が確認・手続きすること
転出前転出元の介護保険窓口と現在のケアマネジャーへ転居日を伝え、受給資格証明書を発行するか、認定情報を自治体間で連携するか確認する
転入後14日以内転入先の介護保険窓口で「転入継続」の認定申請を行う。受給資格証明書が交付されていれば提出し、本人確認書類や40~64歳の医療保険資格情報など、自治体が指定する書類を確認する
証明書を受け取っていないときマイナンバーによる情報連携で証明書を省略できる自治体もある。証明書がないから手続き不要とは考えず、前住所地で認定を受けていたことを窓口へ伝える
介護サービスを続けるとき転居前のケアマネジャーから情報を引き継ぎ、転入先の地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へ、サービス開始日と新しい事業所を事前に相談する
施設へ入所するための転居住所地特例の対象施設では、住民票を移しても転出前の市区町村が保険者のままになる場合がある。転入継続を申請する前に、介護保険被保険者証の保険者名と施設の案内を確認する

転入日から14日を過ぎると、前住所地の認定区分を引き継げず、転入先で新規申請になるのが原則です。新規申請では申請日が認定の開始日になるため、転居直後に介護サービスを使う予定がある場合は、転居前から転入先の窓口とケアマネジャー候補へ連絡してください。すでに14日を過ぎている場合は、自己判断でサービスを止めず、転入先の介護保険担当窓口へ直ちに相談します。

申請前に用意する基本情報

必要書類や本人確認方法は市区町村で異なります。いきなり窓口へ行くより、親の住所地の公式サイトを確認するか、介護保険担当窓口へ電話すると二度手間を防げます。

一般に準備するものは次のとおりです。

準備するもの確認する内容
要介護・要支援認定申請書窓口、公式サイト、郵送などで入手する
介護保険被保険者証65歳以上の人に交付される。紛失時は窓口へ相談する
医療保険の資格情報40~64歳の第2号被保険者は、加入する医療保険を確認する
本人確認・番号確認書類マイナンバー、本人確認書類、代理権確認書類など。自治体の案内に従う
主治医の情報医療機関名、診療科、医師名、所在地、電話番号
申請者・連絡先本人との関係、日中に連絡が取れる電話番号
認定調査の希望調査場所、同席する家族、連絡可能な曜日と時間

自治体によっては、家族が申請する場合の委任状、代理人の本人確認書類などを求めます。一方で、本人や一定範囲の家族、申請代行が認められた事業者では必要書類が異なることもあります。別の自治体の持ち物一覧をそのまま使わず、親の住所地の案内を確認してください。

主治医意見書は家族が作成を依頼して持参する書類ではない

要介護認定では、認定調査と並んで主治医意見書が重要な資料になります。主治医意見書には、病気の状態だけでなく、認知機能、日常生活の自立度、医療的な管理、サービス利用時の注意点などが記載されます。

一般的な流れでは、申請を受けた市区町村が、申請書に記載された主治医へ意見書の作成を依頼します。家族が病院から意見書を受け取り、申請書と一緒に提出するものではありません。作成費用も申請者の自己負担ではありません。

申請前後に主治医へ、要介護認定を申請したことを伝えておくと確認が進みやすくなります。診察時には、病名だけでなく次の生活状況を伝えてください。

  • 家の中と外でどのくらい歩けるか
  • 入浴、着替え、排せつに介助が必要か
  • 食事や薬を自分で管理できるか
  • 認知症による困りごとがあるか
  • 夜間の見守りや家族の付き添いが必要か
  • 最近の転倒、入院、急な体重減少があるか

複数の医療機関へ通っている場合は、どの医師を主治医として記載するかを市区町村や病院へ相談します。親の現在の生活機能と、介護が必要になった原因を把握している医師かどうかが判断材料になります。

普段診てもらっている医師がいない場合も、申請を諦める必要はありません。厚生労働省の案内では、主治医がいない場合は市区町村が指定する医師の診察が必要になるとされています。まず担当窓口へ相談してください。

申請から結果通知までは四つの段階で進む

申請後は、おおむね次の順番で進みます。

段階行われること家族が確認すること
1 申請市区町村が申請書を受理する申請日、連絡先、主治医情報を控える
2 認定調査・主治医意見書調査員が本人の状態を確認し、市区町村が主治医へ意見書を依頼する調査日時を調整し、普段の介護状況を記録する
3 一次・二次判定全国共通の方法による一次判定後、介護認定審査会が審査する追加書類の連絡に対応する
4 認定・通知市区町村が要介護度を認定し、結果を通知する認定区分、有効期間、負担割合証などを確認する

認定調査では、調査当日だけの様子ではなく、普段の状態と介護の手間を伝える必要があります。本人が調査員の前で「全部一人でできます」と答えても、実際には毎朝家族が着替えを手伝っているなら、場面、介助内容、頻度を補足します。

具体的な準備は、関連記事「要介護認定の認定調査で聞かれること」で確認できます。

結果通知は原則30日以内だが遅れることもある

介護保険法では、要介護認定の処分は申請日から原則30日以内とされています。厚生労働省の案内も、申請から認定通知までは原則30日以内としています。

ただし、認定調査の日程調整、主治医意見書の回収、介護認定審査会の開催などに時間がかかり、30日を超えることがあります。市区町村が期間内に処分できない場合は、遅れる理由と処理見込み期間を通知する扱いです。

申請から日数がたっても調査の連絡がない、主治医の診察を受けたのに結果が届かない場合は、次の点を市区町村へ確認します。

  • 申請書は受理されているか
  • 認定調査の日程は決まっているか
  • 主治医意見書は市区町村へ届いているか
  • 追加で必要な書類がないか
  • 結果通知のおおよその時期

病院や施設へ移った場合は、調査場所と連絡先の変更を早めに伝えます。状態が安定せず調査できない場合は、申請を継続するか、時期を改めるかも担当窓口と相談してください。

認定結果は非該当、要支援1・2、要介護1~5

認定結果は次のいずれかです。

  • 非該当
  • 要支援1・2
  • 要介護1~5

数字が大きいほど、介護に必要な手間が多いと判断された区分です。ただし、病気の重さや家族の大変さだけで決まるものではありません。全国共通の認定調査項目、主治医意見書、一次判定、介護認定審査会の二次判定を経て決まります。

通知が届いたら、区分だけでなく次も確認します。

  • 認定年月日
  • 認定の有効期間
  • 介護保険被保険者証の記載
  • 介護保険負担割合証の有無と適用期間
  • 結果に納得できない場合の問い合わせ先

結果が届いた時点で親の状態が大きく変わっている場合は、認定の有効期間中でも区分変更申請を検討できます。単に希望する区分と違ったという理由だけでなく、現在の介護状況をケアマネジャーや市区町村へ具体的に相談します。

結果が届いたらケアプラン作成先へ連絡する

認定を受けただけでは、訪問介護やデイサービスが自動的に始まるわけではありません。利用するサービス、回数、事業所などを整理したケアプランを作成します。

認定結果在宅サービスの主な相談先
要支援1・2地域包括支援センター
要介護1~5居宅介護支援事業所のケアマネジャー
非該当市区町村または地域包括支援センターへ総合事業などを相談

施設入所を希望する場合は、希望する施設への申込みも必要です。在宅と施設のどちらにするか決められないときは、病院の退院支援担当者、地域包括支援センター、ケアマネジャーへ相談します。

ケアマネジャーへ依頼するときは、本人の希望、家族ができる介護、できない介護、予算、通院予定、住まいの段差などを伝えます。「家族が頑張れば何とかなる」という前提にせず、平日の日中や夜間に誰が対応できるかまで確認します。

結果を待てないときは暫定ケアプランを相談する

退院日が近い、家族が仕事へ戻る、介護用ベッドがすぐ必要など、認定結果を待てないことがあります。この場合は、市区町村、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所へ「申請中だがサービスを先に利用したい」と相談します。

要介護認定の効力は、原則として申請日にさかのぼります。認定結果が出る前でも、見込まれる区分で暫定ケアプランを作成し、サービスを始められる場合があります。

ただし、家族の判断だけで事業者と契約するのは避けてください。実際の認定区分が見込みより低い、非該当になる、利用額が支給限度基準額を超えるなどの場合、費用の調整や自己負担が生じる可能性があります。利用前に次を確認します。

  • 暫定ケアプランを誰が作成するか
  • 想定している要介護度
  • 認定結果が想定と違った場合の費用
  • 介護保険の対象外になる可能性がある費用
  • 契約を変更・終了する条件

急いでいるときほど、サービス開始日、回数、料金説明を記録に残してください。

更新申請と区分変更申請を混同しない

要介護認定には有効期間があります。有効期間後も介護保険サービスを利用する場合は、期限前に更新申請が必要です。申請できる時期は被保険者証や市区町村からの案内で確認します。

一方、認定期間中に親の状態が大きく変わったときに行うのが区分変更申請です。

申請の種類使う場面
新規申請初めて認定を受ける、または認定が切れた後に改めて申請する
更新申請現在の認定の有効期間後も引き続きサービスが必要
区分変更申請認定期間中に心身の状態や必要な介護が大きく変化した

更新案内を待っている間に状態が悪化した場合は、更新まで待つべきか、区分変更が適切かをケアマネジャーと市区町村へ確認します。

要介護認定を申請するときの確認表

  • 親の住民票がある市区町村を確認した
  • 介護保険被保険者証の保険者名を確認した
  • 市区町村の介護保険担当窓口を確認した
  • 地域包括支援センターの担当区域を確認した
  • 65歳以上か、40~64歳の第2号被保険者かを確認した
  • 40~64歳の場合は特定疾病に該当するか相談した
  • 市区町村指定の申請書を用意した
  • 介護保険被保険者証を用意した
  • 必要な本人確認・番号確認書類を市区町村へ確認した
  • 代理申請に委任状などが必要か確認した
  • 主治医の医療機関名、診療科、医師名を確認した
  • 主治医へ認定申請したことを伝えた
  • 認定調査の連絡を受ける家族を決めた
  • 認定調査に同席できる日を確認した
  • 普段の介助内容と頻度を記録した
  • 申請日と受付窓口を控えた
  • 申請中に転院・転居した場合の連絡先を確認した
  • 30日を超える場合の見込みを市区町村へ確認した
  • 結果前にサービスが必要なら暫定ケアプランを相談した
  • 結果後のケアプラン作成先を確認した
  • 認定区分だけでなく有効期間も確認した
  • 更新申請の時期を予定表に記録した

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参考にした公的情報

本記事は2026年8月30日時点の公的情報をもとに、要介護・要支援認定の一般的な流れを整理したものです。申請書、本人確認、代理申請、郵送受付、認定調査、暫定ケアプランの扱いは市区町村や本人の状況によって異なります。実際の申請前に、親の住所地の介護保険担当窓口または地域包括支援センターへご確認ください。

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