訪問看護と訪問介護の違い|医療処置・費用・利用条件の比較表

Featured image 210 6efa783e8d7ad93621ab1a50f6c56bf3.png 施設・在宅介護

親が退院して自宅療養を始めるとき、「薬の管理や傷の処置はヘルパーに頼めるのか」「看護師に掃除や買い物も頼めるのか」で迷う家族は少なくありません。

訪問看護は、主治医の指示に基づき、看護師などが療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。訪問介護は、ホームヘルパーが食事・排せつ・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行います。

この記事では、頼めること、職員、利用条件、介護保険と医療保険、費用、緊急時対応を比較し、退院前や契約前に家族が確認したい項目を整理します。

医療・療養は訪問看護、日常生活の介助は訪問介護が中心

二つのサービスは、自宅へ来てもらう点は同じでも役割が違います。最初は「誰に来てもらいたいか」ではなく、何に困っているかを分けます。

  • 訪問看護:病状の観察、医療機器・カテーテル等の管理、傷や褥瘡の処置、服薬状況の確認、療養相談、看取りなど
  • 訪問介護:食事、排せつ、入浴、着替え、移動などの身体介護と、本人の掃除、洗濯、調理、買い物などの生活援助

入浴や服薬のように、両方が関わる場面もあります。訪問看護は病状と医療上の危険を確認し、訪問介護はケアプランと訪問介護計画に沿って日常動作を支援します。役割の境目は、本人の状態と計画で決まります。

訪問看護と訪問介護の違いを比較表で確認する

比較項目訪問看護訪問介護
中心の目的病状管理、療養支援、診療の補助日常生活の介助と自立支援
主な担当者保健師、看護師、准看護師、理学療法士等介護福祉士、訪問介護員等
医師の指示訪問看護指示書が必要通常は訪問介護の利用自体に医師の指示書は不要
主な内容病状観察、医療処置、服薬管理、療養相談、看取り、リハビリ等身体介護、生活援助、通院等乗降介助
家事家事代行としての掃除・調理は対象外本人の日常生活に必要な範囲で実施
医療行為主治医の指示と看護計画に基づき対応原則対象外。一定条件の行為や研修修了者の対応には例外あり
要支援者介護予防訪問看護を利用できる場合がある市区町村の訪問型サービス等を確認
主な相談先主治医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護事業所ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問介護事業所

訪問看護で頼める主なこと

訪問看護では、主治医の指示書と訪問看護計画に基づき、本人の病状や療養環境に合わせて支援します。厚生労働省の案内には、血圧・脈拍・体温などの測定、病状確認、清拭や入浴介助、在宅酸素やカテーテルの管理、褥瘡の処置、リハビリテーション、在宅での看取りなどが挙げられています。

  • 血圧、体温、脈拍、呼吸状態などの確認
  • 病状の変化や副作用の観察
  • 処方内容に沿った服薬状況の確認と管理方法の助言
  • 点滴、注射、褥瘡や傷の処置
  • 胃ろう、尿道カテーテル、ストーマなどの管理
  • 在宅酸素、人工呼吸器、吸引などの療養支援
  • 清拭、洗髪、入浴、排せつなど療養上の世話
  • 家族への介助方法・医療機器管理の指導
  • 理学療法士等による訪問リハビリ
  • 痛みや症状を和らげる支援、在宅での看取り

実際の対応範囲は事業所ごとに異なります。すべての訪問看護事業所が、人工呼吸器、中心静脈栄養、精神科訪問看護、小児、看取りなどへ対応しているわけではありません。処置名、実施時刻、頻度、夜間の必要性を伝えて受入可否を確認します。

理学療法士が来ても、サービス名は訪問看護の場合がある

自宅へ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が来るサービスは、すべて「訪問リハビリテーション」になるわけではありません。訪問看護ステーションから派遣され、訪問看護指示書と訪問看護計画に基づいて行うリハビリは、訪問看護の一部です。

介護保険の訪問リハビリテーションは別のサービスで、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院が事業所となり、医師の指示とリハビリテーション計画に基づいて、理学療法士等が心身機能の維持回復や日常生活の自立を支援します。

確認項目訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問訪問リハビリテーション
契約上のサービス名訪問看護・介護予防訪問看護訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
主な提供元訪問看護ステーション病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院
位置づけ療養生活を支える訪問看護の一部としてリハビリを行うリハビリテーション計画に基づき、生活機能の維持回復と自立を支援する
家族が見る書類訪問看護指示書、訪問看護計画、サービス利用票、重要事項説明書リハビリテーション計画、サービス利用票、重要事項説明書
契約前の確認看護師との連携・訪問、病状変化や緊急時の連絡方法医師の診察・指示、担当職種、目標、実施時間と見直し時期

家族は「理学療法士が来るか」だけでなく、サービス利用票と重要事項説明書に記載された正式なサービス名、事業所名、保険区分、1回の時間、自己負担額を確認してください。同じ専門職が訪問しても、計画の作り方、看護師との連携、料金の算定方法が同じとは限りません。

病状観察、褥瘡や医療機器の管理、緊急時対応とリハビリを一つのチームへ相談したい場合と、生活動作の改善を中心に医師・リハビリ職へ相談したい場合では、候補が変わります。主治医とケアマネジャーへ、必要な医療管理と改善したい動作の両方を伝えて選びます。

訪問介護で頼める主なこと

訪問介護は、本人が自宅で生活するために必要な支援を、ケアプランと訪問介護計画に沿って行います。内容は身体介護、生活援助、通院等乗降介助に分かれます。

  • 食事、排せつ、入浴、清拭、着替えの介助
  • ベッドからの起き上がり、移乗、歩行の介助
  • 本人の能力を生かす見守り的援助
  • 本人が使う部屋、トイレ、浴室などの掃除
  • 本人の衣類や寝具の洗濯
  • 本人が食べる日常的な食事の調理
  • 本人の日用品や食材の買い物
  • 処方薬の受け取り
  • 対応事業所による通院等乗降介助

家族分の調理・洗濯、ペットの世話、草むしり、大掃除、家具の移動などは原則として介護保険の対象外です。詳しい範囲は、訪問介護で頼めること・頼めないことで確認できます。

服薬支援は薬を飲む介助と医学的な管理を分ける

薬に関する支援は「服薬介助」と「服薬管理」を分けて考えます。ホームヘルパーは、一定の条件のもとで、あらかじめ一回分ずつ分けられた薬を本人が飲むのを介助することがあります。しかし、薬の種類や量を判断して変更したり、症状を見て服用の可否を決めたりはできません。

訪問看護では、薬の効果・副作用・飲み忘れを確認し、主治医や薬剤師へ報告しながら管理方法を整えます。飲み忘れが続く、薬が重複している、本人が拒否する、血圧や血糖値で服用量が変わる場合は、訪問看護だけでなく主治医と薬剤師も含めて手順を決めます。

困りごと主な相談先確認すること
薬を取り出して飲む動作が難しいケアマネジャー、訪問介護一包化、服薬カレンダー、介助範囲
飲み忘れや重複服用が多い主治医、薬剤師、訪問看護薬の整理、訪問時刻、連絡条件
副作用や体調変化が心配主治医、訪問看護、薬剤師観察項目、報告先、受診基準
注射や点滴が必要主治医、訪問看護指示内容、実施者、曜日・時間
家族が薬を管理できないケアマネジャー、主治医、薬剤師、訪問看護サービスの組合せと緊急時対応

入浴介助は体調確認と日常介助の役割を決める

訪問看護にも訪問介護にも、入浴や清潔保持に関わる支援があります。どちらを使うかは、入浴時の医療上の危険と必要な介助量で考えます。

血圧変動、呼吸状態、傷、医療機器、転倒歴などを踏まえた観察が必要なら、訪問看護へ相談します。病状が安定し、移動、着替え、洗身など日常生活上の介助が中心なら、訪問介護をケアプランへ位置付けることがあります。

自宅の浴槽では安全を確保できない場合は、訪問入浴介護やデイサービスの入浴も候補です。浴室の段差、浴槽の高さ、手すり、シャワーチェア、家族が手伝える範囲を伝えてください。

訪問看護には主治医の指示書が必要

訪問看護は、介護保険でも医療保険でも、主治医が訪問看護の必要性を認め、訪問看護指示書を交付することが必要です。訪問看護事業所は、指示書、本人と家族の希望、心身の状態を踏まえて訪問看護計画を作ります。

一方、訪問介護は通常、利用開始のために医師の指示書を必要としません。要介護者はケアマネジャーが作るケアプランへ必要な支援を位置付け、訪問介護事業所が訪問介護計画を作成します。医療面の注意がある場合は、主治医や訪問看護から情報を共有してもらいます。

介護保険と医療保険は本人だけで決めない

訪問介護は原則として介護保険のサービスです。訪問看護は、本人の年齢、要支援・要介護認定、病気、状態、主治医の指示によって、介護保険または医療保険を使います。

要支援・要介護認定を受けた人は、原則として介護保険の訪問看護が優先されます。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合、認知症以外の精神疾患、急性増悪などで特別訪問看護指示書が交付された期間などは、要介護認定があっても医療保険の対象になることがあります。

「医療保険のほうが回数を増やせそう」と家族だけで選択することはできません。主治医、ケアマネジャー、訪問看護事業所、保険者が対象条件を確認します。保険が切り替わると自己負担、訪問回数、請求方法が変わるため、開始日と切替日を必ず書面で確認してください。

費用は時間だけでなく加算と保険区分を見る

介護保険の自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。厚生労働省の公表ページに掲載されている1割負担の例では、訪問看護ステーションからの訪問看護は30分未満471円、30分以上1時間未満823円です。

訪問介護の例では、身体介護20分以上30分未満244円、30分以上1時間未満387円、生活援助20分以上45分未満179円、45分以上220円です。いずれも基本部分の目安で、地域区分、加算・減算、時間帯、事業所の体制などにより実際の請求額は変わります。

確認する費用訪問看護訪問介護
基本料金保険区分、訪問元、職種、時間で異なる身体介護・生活援助等と時間で異なる
緊急・時間外24時間対応、緊急時訪問、早朝・夜間・深夜等を確認早朝・夜間・深夜、緊急時訪問等を確認
医療的管理特別管理、看取り等の加算を確認通常の訪問介護では医療的管理を算定しない
交通費医療保険利用時や通常地域外など契約を確認通常地域外の交通費等を確認
キャンセル料連絡期限と例外を確認連絡期限と例外を確認
月額合計訪問回数、加算、医療費を含め試算他の介護サービスと支給限度額内で試算

介護保険サービスの自己負担が高くなった場合は、高額介護サービス費の上限と申請方法も確認します。医療保険の訪問看護には別の自己負担や高額療養費制度が関係するため、事業所と加入保険へ確認してください。

24時間対応は毎日いつでも定期訪問する意味ではない

訪問看護事業所の「24時間対応」は、契約や体制に基づき、営業時間外の電話相談や必要時の緊急訪問へ対応する仕組みです。夜間に看護師が常駐し、希望すれば毎回すぐ訪問するという意味ではありません。

  • 24時間電話対応の契約と追加料金
  • 夜間・休日に連絡する電話番号
  • 電話相談後に緊急訪問する判断基準
  • 事業所から自宅までの移動時間
  • 主治医へ連絡する条件
  • 救急車を呼ぶべき症状と連絡順

意識がない、呼吸が苦しい、大量出血など明らかな緊急時は、訪問看護事業所からの折り返しを待たず119番通報が必要になることがあります。迷ったときの連絡順を、状態が安定しているうちに主治医と訪問看護師へ確認します。

退院前から病院・主治医・在宅チームをつなぐ

点滴、酸素、吸引、カテーテル、褥瘡処置などがある場合、退院後に事業所を探し始めると必要な曜日に間に合わないことがあります。退院支援担当者へ早めに相談し、主治医、ケアマネジャー、訪問看護、訪問介護、薬局、福祉用具事業者の役割を決めます。

  1. 退院後に必要な医療処置と生活介助を書き出す
  2. 本人と家族ができること、できないことを分ける
  3. 主治医へ訪問看護の必要性と指示内容を確認する
  4. ケアマネジャーへ訪問介護との組合せを相談する
  5. 事業所へ受入可否、開始日、緊急対応を確認する
  6. 退院前カンファレンスで連絡先と手順を共有する
  7. 薬、物品、医療機器、介護用品を退院日までに準備する

急な入院時に必要な準備は、親が急に入院したときの手続きと持ち物にもまとめています。

二つのサービスは併用して役割を分けられる

訪問看護と訪問介護は、どちらか一方だけを選ぶものではありません。たとえば、訪問看護が傷の処置と服薬管理を行い、訪問介護が入浴、食事、掃除を支援する組合せがあります。

同じ時間帯に同じ支援を重複して頼むのではなく、曜日と時間ごとに目的を分けます。本人の状態が変わったら、ヘルパー個人や看護師個人へ追加を頼むのではなく、ケアマネジャーと各事業所へ連絡し、計画を見直します。

要介護認定がまだの場合は、要介護認定の申請方法を確認し、地域包括支援センターや市区町村へ相談してください。認定前でも医療保険の訪問看護を利用できる場合がありますが、主治医と訪問看護事業所による確認が必要です。

事業所選びは対応できる処置と連絡体制を見る

訪問回数や料金だけでなく、本人に必要な処置と希望時間へ対応できるかを比べます。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、職員数、対応できる医療処置、24時間電話対応、緊急訪問、看取り、キャンセル料などを確認できます。

  • 必要な医療処置の受入実績
  • 看護師、准看護師、リハビリ職の人数
  • 希望曜日に担当できる職種
  • 24時間の電話対応と緊急訪問の有無
  • 土日・祝日の定期訪問
  • 看取りや疼痛管理への対応
  • 主治医、薬局、ケアマネジャーとの連絡方法
  • 担当者不在時の代替体制
  • キャンセル料と予定変更の期限
  • 家族への報告方法

訪問看護・訪問介護を始める確認表

  • 要介護度と認定有効期間を確認した
  • 介護保険負担割合証と健康保険情報を確認した
  • 訪問看護を使う保険区分を確認した
  • 主治医に訪問看護の必要性を相談した
  • 訪問看護指示書の依頼先を確認した
  • 病名、既往歴、アレルギーを一覧にした
  • 薬の名称、量、時刻を一覧にした
  • 医療処置の内容と実施時刻を整理した
  • 本人ができることと家族ができることを分けた
  • 身体介護と生活援助の希望を分けた
  • 訪問看護と訪問介護の担当範囲を決めた
  • 希望曜日と訪問時間を確認した
  • 必要な医療処置の受入可否を確認した
  • 看護職とリハビリ職の担当曜日を確認した
  • 24時間連絡の契約と料金を確認した
  • 夜間・休日の電話番号を登録した
  • 救急搬送を判断する症状を主治医へ確認した
  • 主治医、家族、事業所の連絡順を決めた
  • 基本料金、加算、交通費の見積りを受け取った
  • キャンセル料と変更期限を確認した
  • 薬・処置物品・介護用品の保管場所を決めた
  • 状態変化時に計画を見直す連絡先を確認した

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参考にした公的情報

本記事は2026年8月30日時点の公的情報をもとに、訪問看護と訪問介護の一般的な違いを整理したものです。利用できる保険、訪問回数、医療処置、緊急対応、料金は、本人の病状、主治医の指示、自治体、加入保険、事業所の体制によって異なります。利用前に、主治医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、希望する事業所へご確認ください。

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