介護休業の取り方|93日・3回分割・申出期限・給付金

Featured image 220 786f2920a0ae355426f8d2fafcf983d8.png 介護費用の負担軽減

このページは、介護休業を「どう取るか」に絞った制度ガイドです。対象家族、申出期限、93日の分け方、介護休暇との違い、介護休業給付の確認順を説明します。

働く家族が使える制度には、まとまった期間を休む「介護休業」、通院や手続きのため短く休む「介護休暇」、残業免除や短時間勤務などがあります。一定の雇用保険加入要件を満たせば、介護休業中に休業開始時賃金日額の67%相当の介護休業給付金を受けられます。

親の介護で仕事を辞めるか迷っている場合は、制度説明だけでなく、地域包括支援センターへの相談や勤務先への伝え方も必要です。先に「親の介護で仕事を辞める前に」を確認してください。

介護休業と介護休暇の違い

比較点介護休業介護休暇
使い方介護体制を整えるため、まとまって休む通院同行や手続きで短く休む
日数対象家族1人につき通算93日まで家族1人なら年5日、2人以上なら年10日
分け方3回まで分割可能1日または時間単位
申出原則、開始予定日の2週間前まで口頭でも可能。社内様式があれば使用
賃金会社規定による。雇用保険の給付制度あり有給・無給は会社規定による
向く場面退院準備、ケアプラン作成、施設・在宅体制の調整通院、ケアマネジャーとの面談、介護サービス手続き

介護休暇は、労働基準法上の年次有給休暇とは別の制度です。ただし法律は、介護休暇中の賃金を有給にすることまでは義務付けていません。就業規則で有給か無給かを確認してください。

制度の基本は、厚生労働省の介護休業介護休暇の案内で確認できます。

対象家族と「要介護状態」の考え方

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。同居や扶養が条件になるとは限りません。離れて暮らす親のためでも、要件を満たせば制度を利用できます。

育児・介護休業法の「要介護状態」は、負傷、病気、身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態です。介護保険の要介護認定を受けていることは必須ではありません。「まだ認定結果が出ていないから使えない」と決めつけず、人事担当者へ相談してください。

会社は、対象家族が要介護状態であることを確認する書類の提出を求めることができます。ただし、証明書類は医師の診断書に限定されません。何を提出すればよいか、会社の担当窓口へ確認します。介護保険の手続きも同時に必要なら、要介護認定の申請手順を確認してください。

介護休業は93日を3回まで分けて使える

介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割できます。たとえば、最初に退院準備で14日、次に在宅介護の見直しで30日、状態が変化した時期に49日という使い方ができます。3回の合計が93日を超えないよう管理します。

93日をすべて一度に使うより、今後の変化に備えて一部を残す方法もあります。親が入院した直後、退院するとき、在宅生活の継続が難しくなったときでは、家族が動く内容が異なります。休業開始前に、人事担当者へ残り日数と過去の取得回数を確認しましょう。

法律上、希望する開始日から休むには原則として開始予定日の2週間前までに申し出ます。急な入院などで間に合わない場合は、会社へ事情を伝え、前倒しで認められないか相談します。親の入院直後に必要な作業は、親が緊急入院したときの手続きも参考になります。

介護休業給付金は賃金の67%相当

確認項目主な内容
給付率休業開始時賃金日額×支給日数×67%
加入期間原則、休業開始日前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上
対象日数・回数同じ対象家族について通算93日、3回まで
休業中の就業就業日数や賃金額により減額・不支給になる場合あり
申請先事業所を管轄するハローワーク。通常は会社経由
有期雇用休業開始時点の契約終了見込みなど追加要件あり

給付金は、会社からの給与とは別に雇用保険から支給されます。休業中に会社から一定額以上の賃金が支払われた場合や、多くの日数を就業した場合は、給付額が減る、または支給されないことがあります。

正確な受給要件、支給額、申請期限は、休業前に会社とハローワークへ確認してください。厚生労働省の介護休業給付Q&Aでは、被保険者期間、計算方法、有期雇用労働者の条件が案内されています。

介護休業の93日で整えたいこと

  • 要介護認定の申請と認定調査への対応
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談
  • 退院前カンファレンスへの参加
  • 訪問介護、訪問看護、通所サービスの調整
  • 福祉用具、住宅改修、見守り方法の準備
  • 家族間の役割分担と緊急連絡網の作成
  • 主治医、薬局、介護事業者の連絡先整理
  • 仕事へ戻った後の平日・夜間・緊急時の対応決定

介護休業の目的は、休業中だけ家族が介護を担い、復職時に元へ戻すことではありません。介護サービス、家族、地域の支援を組み合わせ、本人が働いている時間も生活が回る状態を作ります。相談内容の整理には、地域包括支援センターへの相談チェックリストを使えます。

介護休暇は通院や手続きに使う

介護休暇は、対象家族が1人なら1年度に5日、2人以上なら10日まで取得できます。会社が別の期間を定めていなければ、1年度は4月1日から翌年3月31日です。1日単位だけでなく時間単位でも取得できます。

通院の付き添い、介護サービスの契約、ケアマネジャーとの打合せ、役所での手続き、福祉用具の受取りなど、短時間で終わる用事に向いています。半日休暇しかないと思い込まず、時間単位の申出方法を確認してください。

2025年4月から、労使協定により「継続雇用6か月未満」を介護休暇の対象外とする仕組みは廃止されました。一方、週の所定労働日数が2日以下の労働者などは、労使協定がある場合に対象外となることがあります。

休む以外の両立支援制度もある

制度内容使う場面
所定外労働の制限契約上の勤務時間を超える残業の免除を請求毎日の帰宅時刻を安定させたい
時間外労働の制限原則、月24時間・年150時間を超える時間外労働を制限長時間残業を抑えたい
深夜業の制限原則、午後10時から午前5時までの勤務を制限夜間に親の見守りが必要
短時間勤務等短時間勤務、フレックス、時差出勤、介護費用助成等日常的な通院・送迎・介助と両立したい
テレワーク会社制度により在宅勤務などを利用移動時間を減らし緊急連絡に備える

事業主は、対象家族1人につき利用開始から連続する3年以上の期間で2回以上利用できるよう、短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成などのうち、1つ以上の制度を設ける必要があります。内容は会社ごとに異なります。

休業だけを人事へ申し出るのではなく、「毎週水曜は通院」「午後6時までに帰宅」「月末のケア会議に出席」のように、必要な時間を具体的に伝えます。会社制度と法定制度を組み合わせると、93日を使い切らずに働き続けられる場合があります。

2025年4月から会社の対応義務が強化

2025年4月1日から、介護に直面したと申し出た労働者に対し、会社が介護休業・両立支援制度、申出先、介護休業給付について個別に周知し、利用意向を確認することが義務になりました。面談、書面、本人が希望した場合のFAX・電子メールなどで行います。

会社には、研修、相談窓口、利用事例の提供、利用促進方針の周知など、制度を利用しやすい雇用環境を整える義務もあります。また、40歳前後の労働者へ、介護に直面する前から制度情報を提供することが求められます。

「前例がない」「忙しい時期なので取得しないでほしい」と利用を控えさせるような周知・意向確認は認められていません。改正内容は厚生労働省の介護離職防止に関する法改正のポイントで確認できます。

休業中の家計も先に確認する

介護休業給付金が67%相当でも、普段の手取り額の67%がそのまま振り込まれるとは限りません。計算の基礎は休業開始時賃金日額で、上限額・下限額があります。会社から休業中に賃金が支払われる場合は、給付額が調整されます。

給付金は給与と同じ支給日とは限らず、申請から入金まで時間がかかることがあります。休業前に、給与の最終支給日、給付金の申請予定日、入金までの見込みを会社へ確認し、当面の生活費を準備します。

健康保険・厚生年金保険料、住民税、会社の福利厚生費などの扱いも確認が必要です。介護休業には、育児休業と同じ社会保険料免除の仕組みが当然に適用されるわけではありません。給与から天引きできない期間は、会社へ直接支払う場合があります。

場面別の使い分け例

急な入院:まず年次有給休暇や介護休暇で病院対応を行い、退院後の体制づくりに時間が必要なら介護休業を申し出ます。介護休業の開始まで2週間を切っているときは、会社と開始日を相談します。

毎月の通院:1日休む必要がなければ、介護休暇を時間単位で使います。通院日が定期的なら、時差出勤や短時間勤務も合わせて相談すると、年間5日を早期に使い切るのを防げます。

遠距離介護:帰省のたびに長時間の移動が必要な場合は、介護休暇だけでは足りないことがあります。数日間の介護休業、テレワーク、連続休暇を組み合わせ、現地でケアマネジャーや事業者との面談をまとめて行います。

認知症の進行:短時間勤務や残業免除で日常を維持し、サービス変更や施設検討が必要な段階で介護休業を使う方法があります。93日を最初に使い切らず、状態変化に備えて分割することも検討します。

申出前に勤務先で確認する4点

  1. 介護休業開始予定日の2週間前までに、どの様式で申し出るか
  2. 介護休業・介護休暇中の賃金が有給か無給か
  3. 介護休業給付の申請を会社経由で行うか、本人が行うか
  4. 復職後に使える短時間勤務、残業免除、時差出勤などがあるか

介護休業の申出と介護休業給付の申請は別の手続きです。休業開始日だけでなく、会社へ提出する書類、ハローワークへの申請担当、必要な証明書を先に確認してください。

要介護認定の調査日と仕事が重なる場合は、家族が必ず同席しなければならないとは限りません。ただし、本人だけでは日常の困り事を十分に伝えられないことがあります。準備は要介護認定の訪問調査チェックリストで確認できます。

よくある質問

Q. パートや契約社員でも使えますか?
日々雇用など一部を除き、要件を満たせば利用できます。有期雇用労働者の介護休業や給付金には、契約終了の見込みに関する要件があります。雇用形態だけで判断せず、人事とハローワークへ確認してください。

Q. 親が要介護1でなくても対象ですか?
介護保険の認定区分だけで決まりません。2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態かどうかで判断します。認定前や、介護保険の対象年齢に達していない家族でも対象になり得ます。

Q. 介護休業中に少し働けますか?
会社と合意して一時的・臨時的に就業する場合がありますが、就業日数や賃金により給付金が減額・不支給になる可能性があります。自己判断で勤務せず、会社とハローワークへ先に確認してください。

Q. 申出を理由に降格や解雇をされませんか?
介護休業等の申出・取得を理由とする解雇その他の不利益取扱いは法律で禁止されています。制度を使わせてもらえない、不利益な扱いを受けた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談できます。

申出日と復職後の働き方まで決める

介護休業で体制を整え、介護休暇で通院や手続きに対応し、短時間勤務や残業制限で日常を回します。申出書を出す前に、休業開始日・終了日、休業中に整えること、復職後の勤務条件を勤務先と共有してください。

退職するか迷っている場合の相談順と最初の7日間の動き方は、親の介護で仕事を辞める前にで整理しています。

制度内容の確認日:2026年8月29日。対象者、労使協定、賃金の扱い、社内様式は勤務先で、介護休業給付の受給要件と金額はハローワークで確認してください。

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