親が亡くなった後の健康保険では、加入先の確認、資格確認書などの返却、保険料の精算、葬祭費または埋葬料の請求を行います。死亡届を市区町村へ提出しても、勤務先の健康保険や葬祭費の申請まで自動で終わるわけではありません。
最初に確認するのは、親が国民健康保険、後期高齢者医療、勤務先の健康保険、任意継続のどれに加入していたかです。制度によって提出先、請求者、給付名が変わります。健康保険の「埋葬料」と国保・後期高齢者医療の「葬祭費」は、原則として重ねて受け取るものではありません。
この記事では、2026年8月時点の制度に沿って、返却する書類、14日以内の届出、葬祭費・埋葬料の違い、必要書類、2年の時効まで順番に整理します。自治体、健康保険組合、共済組合によって金額や様式が異なるため、最後は亡くなった親の加入先で確認してください。
- 最初に親が加入していた医療保険を確認する
- 2026年は従来の健康保険証ではなく資格確認書を確認する
- 勤務先の健康保険は会社へ連絡する
- 国民健康保険の資格喪失は14日以内を目安に届け出る
- 後期高齢者医療は市区町村の担当窓口へ確認する
- 資格喪失後は亡くなった人の資格を使わない
- 国保・後期高齢者医療では葬祭費を確認する
- 会社の健康保険では埋葬料・埋葬費を確認する
- 葬祭費と埋葬料は二重に請求しない
- 葬祭費・埋葬料の必要書類をそろえる
- 申請期限は原則2年だが早めに請求する
- 医療費の還付・高額療養費も別に確認する
- 介護保険の書類も同じ日に確認する
- 保険料の還付と未納分を確認する
- 提出前に書類の控えと受付記録を残す
- 健康保険手続きチェックリスト
- よくある質問
- まとめ
最初に親が加入していた医療保険を確認する
資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータルの資格情報、保険者からの郵便物、給与明細、年金振込通知書などから加入先を確認します。75歳以上の親は原則として後期高齢者医療制度ですが、65歳以上75歳未満でも一定の障害認定を受けて加入している場合があります。
| 亡くなった親の加入先 | 主な連絡先 | 死亡時の給付 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村・国保組合 | 葬祭費 |
| 後期高齢者医療 | 市区町村の担当窓口・広域連合 | 葬祭費 |
| 勤務先の健康保険 | 勤務先・協会けんぽ・健康保険組合 | 埋葬料または埋葬費 |
| 任意継続 | 協会けんぽ支部・健康保険組合 | 埋葬料または埋葬費 |
| 共済組合 | 加入していた共済組合 | 埋葬料など |
加入先が分からないまま複数の窓口へ申請すると、二重請求や書類の取り直しにつながります。死亡後の手続き全体を管理する場合は、親が亡くなったときの手続き期限一覧に保険者名と連絡日を記録してください。
2026年は従来の健康保険証ではなく資格確認書を確認する
厚生労働省の資格確認方法についてでは、従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日に終了したと案内しています。2026年8月現在、医療機関ではマイナ保険証または資格確認書を使う仕組みです。
遺品の中に古い健康保険証があっても、現在の加入先を示すとは限りません。資格確認書、資格情報のお知らせ、限度額適用認定証、高齢受給者証などを分け、保険者へ返却の要否を確認します。マイナンバーカードは保険者が発行した資格確認書ではないため、勤務先や協会けんぽへ一緒に郵送しないでください。
勤務先の健康保険は会社へ連絡する
親が会社員として健康保険に加入していた場合、勤務先が被保険者資格喪失届を提出します。協会けんぽの案内では、死亡日の翌日が資格喪失日です。有効期限内の資格確認書がある場合は、被保険者本人分だけでなく、扶養家族に交付された分も勤務先へ返却します。
親が被扶養者だった場合は、被保険者である家族の勤務先へ連絡し、被扶養者異動届の手続きを依頼します。会社の死亡退職手続きには、最終給与、退職金、社内弔慰金、団体保険も関係するため、健康保険だけで連絡を終えないようにします。
親の被扶養者だった家族は次の健康保険へ切り替える
親が勤務先の健康保険の被保険者本人で、配偶者などの家族が被扶養者だった場合、親の死亡による資格喪失後は、その家族も同じ健康保険を使い続けることはできません。勤務先が被保険者資格喪失届を提出しても、残された家族の新しい健康保険への加入まで自動で終わるわけではありません。
主な選択肢は、市区町村の国民健康保険へ加入するか、別の家族が加入する勤務先の健康保険で被扶養者の認定を受ける方法です。国民健康保険へ加入する場合は14日以内を目安に、資格喪失を確認できる書類、本人確認書類、マイナンバー関係書類などを市区町村へ確認してください。別の健康保険の被扶養者になる場合は、その家族の勤務先を通じて手続きします。
国民健康保険の資格喪失は14日以内を目安に届け出る
厚生労働省の国民健康保険の加入・脱退についてでは、国保を脱退するときなどは14日以内に市区町村の窓口へ関係書類を提出すると案内しています。死亡届の情報が庁内で連携されても、資格確認書の返却や世帯主変更、保険料精算に別の確認が必要な自治体があります。
窓口へ行く前に、死亡した人の資格確認書、届出人の本人確認書類、死亡を確認できる書類が必要かを自治体サイトで確認します。同じ世帯に国保加入者が残る場合は、新しい世帯主名の資格情報や納付書が発行されることがあります。
後期高齢者医療は市区町村の担当窓口へ確認する
後期高齢者医療の手続きは、住んでいた市区町村の担当窓口が入口です。資格確認書、限度額適用・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証などを持っていた場合は、返却方法を確認します。
東京都後期高齢者医療広域連合の被保険者が亡くなったときでは、葬儀を行った人が市区町村の担当窓口へ申請すると葬祭費を支給すると案内しています。金額、申請様式、必要書類は広域連合や自治体で確認してください。
資格喪失後は亡くなった人の資格を使わない
医療保険の資格は死亡により喪失します。死亡後に資格確認書が手元に残っていても、亡くなった人の資格で新たな診療を受けることはできません。死亡前の入院費を後日精算する場合は、受診日当時の資格に基づいて医療機関と保険者が処理します。
病院から未払い医療費の請求が届いたら、請求期間と名義を確認して保管します。亡くなった人の口座から自動引き落としされる予定だった場合は、親が亡くなった後の銀行口座手続きと照らして支払方法を病院へ相談してください。
国保・後期高齢者医療では葬祭費を確認する
国民健康保険または後期高齢者医療の加入者が亡くなった場合、葬祭を行った人に葬祭費が支給される制度があります。申請しなければ支給されません。支給額は全国一律ではなく、条例や広域連合の規定によって異なります。
たとえば新宿区の国民健康保険の葬祭費は7万円ですが、横浜市など5万円の自治体もあります。親が住んでいた自治体の金額と申請条件を確認し、他地域の金額をそのまま当てはめないでください。
会社の健康保険では埋葬料・埋葬費を確認する
協会けんぽの埋葬料・埋葬費では、被保険者に生計を維持されていた人へ埋葬料5万円を支給します。該当者がいない場合は、実際に埋葬を行った人へ、5万円を上限として埋葬に要した実費を埋葬費として支給します。
被扶養者が亡くなった場合は、被保険者に家族埋葬料5万円が支給されます。健康保険組合や共済組合では名称や付加給付が異なる場合があるため、協会けんぽの金額だけで判断せず、加入先の規程を確認してください。
| 給付 | 主な請求者 | 支給内容 |
|---|---|---|
| 国保・後期高齢者医療の葬祭費 | 葬祭を行った人 | 自治体・広域連合ごとの金額 |
| 健康保険の埋葬料 | 被保険者に生計を維持されていた人 | 協会けんぽは5万円 |
| 健康保険の埋葬費 | 埋葬料の対象者がいない場合に実際に埋葬した人 | 協会けんぽは実費、上限5万円 |
| 家族埋葬料 | 亡くなった被扶養者を扶養していた被保険者 | 協会けんぽは5万円 |
葬祭費と埋葬料は二重に請求しない
死亡前に勤務先の健康保険から国保へ切り替わったばかりの場合、以前の健康保険から埋葬料を受けられることがあります。協会けんぽでは、資格喪失後3か月以内の死亡など一定の場合が対象です。ただし、資格喪失後に加入した健康保険から同種の給付を受けた場合は重ねて支給されません。
死亡日にどの保険へ加入していたか、直前3か月に被保険者本人として加入していた健康保険があるかを伝え、どちらへ申請するか決めます。先に両方へ書類を送らず、以前の保険者と現在の保険者へ順番に確認してください。
葬祭費・埋葬料の必要書類をそろえる
| 書類 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 所定の申請書 | 給付の種類と申請者 | 加入先の最新様式を使う |
| 死亡を確認できる書類 | 死亡日 | 事業主証明で省略できる場合あり |
| 葬儀の領収書・会葬礼状など | 葬祭を行った人と葬祭日 | 宛名が申請者と一致するか確認 |
| 費用の明細 | 埋葬費の実費 | 埋葬費を請求するときに必要 |
| 振込先口座 | 申請者名義 | 別名義口座は委任状が必要な場合あり |
| 本人確認書類 | 申請者本人 | 郵送時は写しの範囲を確認 |
| 生計維持を示す書類 | 埋葬料の請求資格 | 別居時は仕送り記録などを求められる場合あり |
葬儀社の領収書は、支払った人の氏名と費用が分かる形で受け取ります。生命保険にも葬儀費用の領収書や死亡診断書の写しを提出する場合があるため、親が亡くなった後の生命保険請求と必要部数を合わせて確認します。
申請期限は原則2年だが早めに請求する
協会けんぽの健康保険埋葬料(費)支給申請書では、埋葬料・家族埋葬料は死亡日の翌日、埋葬費は埋葬日の翌日から2年で時効になると案内しています。国保や後期高齢者医療の葬祭費も、多くの保険者で葬祭日の翌日から2年ですが、加入先の規定で確認します。
2年あるから後回しにすると、領収書や会葬礼状を紛失しやすくなります。葬儀費用の支払いが終わった時点で、申請書、領収書、振込先を一つの封筒にまとめておくと手続きが止まりません。
医療費の還付・高額療養費も別に確認する
死亡前の診療について、療養費や高額療養費の未請求分が残っている場合があります。葬祭費や埋葬料とは別の給付です。保険者から届いた支給申請書、医療費通知、限度額関係の書類を確認し、相続人が申請できるか問い合わせます。
還付金を亡くなった人名義の口座へ振り込めない場合は、相続人の口座、続柄を示す戸籍、申立書などを求められることがあります。戸籍の集め方は法定相続情報一覧図と戸籍集めで整理しています。
介護保険の書類も同じ日に確認する
親が要介護・要支援認定を受けていた場合は、医療保険とは別に介護保険被保険者証、介護保険負担割合証、負担限度額認定証などを持っています。市区町村へ健康保険の手続きに行く際、介護保険担当窓口で返却物と保険料精算を確認すると往復を減らせます。
介護施設の最終請求や高額介護サービス費の未支給分が残る場合もあります。生前の介護費用を確認するには、高額介護サービス費の上限と申請も参照してください。
保険料の還付と未納分を確認する
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は、死亡による資格喪失後に月割りで再計算される場合があります。納め過ぎなら還付、未納があれば残額の通知が届きます。年金から特別徴収されていた場合も、死亡時期と情報反映のタイミングによって精算が生じることがあります。
還付通知が届いたら、振込先、相続人代表者の届出、戸籍の要否を確認します。還付金と葬祭費は別の手続きです。口座凍結後に振り込めない事態を避けるため、亡くなった人名義の口座を指定せず、自治体が認める受取方法を確認してください。
提出前に書類の控えと受付記録を残す
資格確認書や領収書を郵送する前に、書類一式をコピーまたは撮影します。申請日、送付先、問い合わせ先、担当部署、給付予定額を一枚に記録してください。追跡できる郵送方法を指定されている場合は、控えと追跡番号も残します。
不備の連絡は数週間後になることがあります。原本をすべて送ると他の手続きで困るため、原本提出が必要か、写しでよいかを先に確認します。死亡診断書や戸籍を複数の窓口で使う場合は、返却されるかどうかも確かめてください。
健康保険手続きチェックリスト
- 死亡日に加入していた医療保険を確認した
- 資格確認書や資格情報のお知らせを分けた
- 勤務先または市区町村へ死亡を連絡した
- 扶養家族分の資格確認書も確認した
- 国保の資格喪失届を14日以内に確認した
- 葬祭費と埋葬料のどちらが対象か確認した
- 以前の健康保険との二重請求にならないか確認した
- 葬儀の領収書と会葬礼状を保管した
- 2年の申請期限を記録した
- 医療費還付と高額療養費の未請求分を確認した
- 介護保険の証書と保険料精算も確認した
よくある質問
死亡届を出せば健康保険の手続きも終わりますか
すべては終わりません。市区町村内で死亡情報が連携される場合でも、勤務先への連絡、資格確認書の返却、葬祭費・埋葬料の申請は別に必要です。親の加入先を確認し、その保険者の案内に従ってください。
マイナ保険証として使っていたマイナンバーカードは保険者へ返しますか
マイナンバーカードを勤務先、協会けんぽ、健康保険組合へ送らないでください。返却対象になるのは、主に保険者が交付した有効期限内の資格確認書などです。マイナンバーカードは死亡により失効しますが、自治体での扱いや保管方法は市区町村へ確認します。
相続放棄を考えていても葬祭費を申請できますか
葬祭費や埋葬料は、葬祭を行った人や生計を維持されていた人に支給される給付で、亡くなった人の預金を引き出す手続きとは性質が異なります。ただし、医療費の還付金などは扱いが異なる場合があります。相続放棄を検討中なら、受け取るお金ごとに確認し、相続放棄の3か月期限と必要書類も確認してください。
制度内容の確認日:2026年8月29日。資格喪失日、資格確認書の返却、被扶養者だった家族の加入切替、葬祭費・埋葬料の請求条件は、加入していた保険者と次に加入する保険によって異なります。勤務先、保険者、市区町村の窓口へ順番に確認してください。
まとめ
親が亡くなったら、まず死亡日に加入していた医療保険を特定します。勤務先の健康保険なら会社、国保・後期高齢者医療なら市区町村へ連絡し、有効期限内の資格確認書などの返却方法を確認してください。
国保・後期高齢者医療の葬祭費と、勤務先の健康保険の埋葬料・埋葬費は、請求者や金額が異なります。二重請求を避け、葬儀の領収書を残して原則2年以内に申請します。医療費還付や介護保険の精算は別手続きなので、同じ窓口で対象が残っていないか確認してください。


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